イギリスのお菓子vol.10「イギリス式マカロン、マカルーン」
「今日はマカルンを作りました⭐️
マカルンとは、卵白に砂糖とアーモンドプードルを混ぜてクッキーの形にして焼いた、イギリスのお菓子です♪」
という、始まり方を想定していたのですが、ちょっとマズいことに気がつきました。英語のレシピにある菓子名は
Macaroons
どうやって発音するんだろう、と思い念のために辞書で調べたら発音は「マカルーン」でした。まぁ、まぁ、そうだよね。けど、え?え?意味は・・
マカロン⁉︎
・・えー、ということで、私が本日作り上げた菓子は、単なる
マカロンでした!
イギリス式マカロンの見た目
いや、ちょっと思ったんですよね。材料がマカロン風だな、と。実際、同じレシピ本でいかにも「マカロンです‼︎」といった風貌のほかのお菓子もあり、その材料とほぼ同じでした。よく見たら、それもしっかり「mini」ではありますが、「macaroons」と書いてありました。
なぜ今回作ったお菓子が、「マカロン」だと気づくのにこれほど時間がかかったかといえば、その見た目があまりにも日本で出回っている「マカロン」と異なったからでした。
勝手に「イギリス式」と名づけてみましたが、この「イギリス式マカロン」のでき上がりはこんな感じです。
本の写真はもっと表面が丸くなめらかでしたが、色やアーモンドの飾りなど、大方このような感じです。日本人が想像する「マカロン」とはだいぶかけ離れていますよね。
マカロンとは
それもそのはず、マカロンとは元来イタリア生まれで、1530年代にはフランスの宮廷で広まり人気に火がつきました。いまやフランスを代表する菓子となり、とくにカラフルな2枚の生地をバタークリームではさむ形が特徴的で有名ですが、これは意外にも登場したのは20世紀に入ってから。
それゆえ私たちが想像するマカロンとは、「フランス式」や「モダン」マカロンを指します。イギリスの食に詳しく、自身もシェフでありブログなどを通してイギリスの食の歴史について執筆しているネイル博士は、マカロンがイギリスに入ってきた正確な時期はわからないけれど、フランスで流行り始めてからそう遠くない時期ではないか、と推測しています。(参照記事:British Food a History)
macaroonsとはフランス語のmacaronの昔の英語訳ですが、イギリスのマカロンとは、その当時のままのスタイルを意味するようで、イギリスではよく「ビスケットとメレンゲとケーキの間のようなもの」と表されます。
まだオーブンシートといった便利なものがなかった時代、このマカルーンを作るのはアーモンドを湯むきしてひいて粉にするなど、アーモンドプードルを作る段階から始めるなど手間がかかったようです。しかも卵白を使うせいか天板にひっつきやすく、当時ははがしやすいように、ひっついても食用OKなライスペーパーを敷いていたそうです。今でもそうするのが伝統的な手法とみなされています。(参考文献:“Macaroons” The Great British Booking of Baking 2010: 46 Print.)
実際に作ってみて:改善点
そうして、これが「マカロン」とは気づかずに作ったマカルーンですが、なんといっても見栄えに失敗しました。ほかのビスケットのレシピに「焼くと溶けるので、成形はしなくともよい」という項目があり、それを読んだ直後だったのでその思いが頭からはなれず、スプーンで天板に生地を落としこんだまま、なにもせず焼きあげてしまいました。
考えてみればバターが入っていないので、オーブンに入れても生地は硬く、そのままなんのゴマカシも効かず、ケバケバなままでき上がってしまいました。
トッピングも、いろんな種類があったほうが楽しいかと思い、むきアーモンドどのほかにカシューナッツやくるみ、ヘーゼルナッツまでのっけてしまいましたが、やはりレシピどおりアーモンドだけにしたほうが統一感がでてよかったです。
モダンなマカロンとの違いは、この本に限ればマカルーンには大さじ1分のコーンフラワー(コーンスターチ)が入っていることです。砂糖はまたいつもの調子で大胆切り下げ、175gのところを70gにして正解でした(成功するのは毎回、この砂糖調整のみ!?)。
本によると、外側はクリスピーで、でも中は
gooey ネッチョリ
なはずですが、焼きすぎでしょうか、「中までボリボリ」でした。次回は生地の表面を、スプーンでなめらかにならすのが必須!と肝に銘じました。