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メンタルリソースという身の守り方


実は、私はメンタル的にダウンして会社を1ヶ月と少し休職したことがあります。


その頃は、とにかく自分の幅と視座を経験で高めて、経営にインパクトをもたらしてやろうと、領域を一気に広げ、鼻息荒くして毎日朝早くから遅くまで、自分勝手に仕事の負荷をかけていました。

幸いにも、元々バランス力があって、プロデューサーを経験しているので、マルチな仕事はとても得意でした。よく例えるのですが、たこ焼きを焦がさずにずっと作り続けているような感覚で、常にバランスと視野と予測をもって四方八方にいろんなたこ焼きをつくっていました。


プランナーとしてコミュニケーションのプランニングをしたり、営業視点でアカウントプランニングや時には営業をしたり、子会社の立ち上げからブランディングをしながら営業戦略を書いたり、新規事業開発のチームにも入って顧客ヒアリングしまくったりと、多くの質感の違う仕事を全く並行して行っていました。

自分の物事の見方やビジネスの捉え方が変わっている自覚もあり、自分にとっては違う頭を常に使い続けて半ば気持ちの良い感覚でした。

でも同時に逆の視点から捉えると、自分ができること、期待されることを捨てきれず自分でやり続けてしまったことで、いつの間にか数面しかなかった自分の表面が何十面にもなっていて、面が広がることで自分という人間が薄く消費されていく感覚に気付くまでとても時間がかかりました。当然稼働も過多で、気づけば自分の中で人にも仕事にも向き合う余裕がなくなり、パタッと休職させてもらうことになりました。

自分の面を広げすぎちゃう図がアメーバみたいになっちゃいました

どの面も自分だし、薄く見られたくない、ちゃんとどの面でも相手にとっても自分にとっても期待を超えるパフォーマンスをしたい、一人の人間として受け取られたいという気持ちでした。


ちなみに、私が休んだ瞬間の話もすると、土日に温泉旅行に行き、「超リフレッシュできた、さあ来週も頑張るぞ。」と温泉に浸かりながらも思っていたのですが、東京に帰ってきて週明けの月曜日の早朝に出社してPCに向かったときに、まったく頭も気持ちも動かせず「あ、これは無理かも」と思い、上司たちに連絡して休ませてもらいました。リフレッシュして帰ってこようと思ったら、思ってる以上に険しくて高い山を登っていたことに気づき、元の場所に戻れなかったような感覚です。


また、今振り返ると、その頃は会社に対しても人に対しても各所に対してネガティブな気持ちになることが多く、実際に言葉も発してしまったりしていて精神的に余裕がないと、その関わっている面の多くに影響を与えてしまうことも理解しました。


メンタルリソースという考え方


無事復帰して、今となっては結果良い経験と消化しているのですが、復帰してから少しものの見方が変わり、メンバーと向き合っているふとした時に考えが浮かびました。

「物理的なリソースだけじゃなくて、精神的なリソースってあるよな。それに気づくことがとても意味があることなんじゃないか」

たとえば、

  • 月曜朝のミーティングが精神的に重くて、ミーティング前後数時間そのことばかり考えて他の仕事が手につかない

  • あの人とのミーティングがあることで、精神がすり減って会社に行きたくなくなるから家でやる

  • プランニングすることが苦手で考えられない自分に嫌気が差して、向き合えなくなる

これ、実際に私の例なのですが、共感する人も多いんじゃないですかね?

私は、マネージャーの経験もありますし、今もマネージャーをしているのですが、スケジュールから見える稼働状況や、メンバーとの1on1でも中々気づけない、精神の稼働とそれによる物理的リソースのブロックがあるのだと思います。そしてこれがいつのまにか積み重なっていって、気づかぬうちに自分の気持ちのリソースがなくなってストレスが飽和してしまう。


カレンダーでは読み取れない、ホントのスケジュール


これを私は「メンタルリソース」と(勝手に)呼んでいて、社内でも共有するようにしました。


このことにふと気づいてから、メンバーにもメンタルリソースの考え方を自分の経験を元に話しながら

  • 今一番精神的にカロリーがかかる業務は何か?

  • どうしてもそのことばかり考えて他の仕事が手につかないことってある?

など、ふとしたタイミングで聞いてみています。


すると、私と同じように

  • この昼の打ち合わせがどうしても苦手で、これ終わったら今日気持ち的には終わりにしてます

  • この人との向き合い方に悩んでずっと考えちゃうのが、週で一番時間使ってます

など、今まで何となくは把握していたつもりだけど、そんなにカロリーがかかっていたのか、と発見することが多かった。スケジュールや稼働状況で把握している視点では見えない、また別の世界線でのリソースがあるんだなあ、と強く実感しました。

ちなみに、解決としては、

  • 有意義でないならそもそも打ち合わせをなくして、代替案を一緒に考える

  • メンタルリソースを使う場面の解決のヒントになる考え方や、アプローチなどを共有しながら、その改善を継続して会話していく

など、直接的なアプローチを実際に行ってみましたが、メンタルリソースの負荷は、少しずつ軽減しているようで、こういう視点でのアプローチもあるのだな、と自分でも勉強になっています。


長く働ける自分になるために



最近、起業家のメンタルケアの話題を見ることが多いですが、メンバーやリーダーの面でも、こうやってメンタルリソースをお互いが把握することが大事だと思いますし、メンタルリソースという共通の言語があれば、すこし自己開示しやすくなるんじゃないかとも感じています。


当たり前ですが、仕事はいろんな面で精神的に負担がかかるものだと思っています。ただ、その面はその人の個性によって違っていたり、自分への負荷のかけ方によっても材質が違っていたりするので、そういう部分も知ることは、長く自分の働き方をデザインする上で大事なんじゃないかなと思っています。また自分としては、マネージャーがそこを並走してあげることが人によっては大事なのかなと思っています。


かくいう自分は、多面的に責任を持ちたいがために、各面でまさにメンタルリソースのかかることが多くあったと自覚しています。それには正面突破で解決しようとしたり、無視して突っ走っていた部分もあったので、今は視点を変えて、そもそもの面を余裕をもたせたり、その中でも自分のメンタルリソースがかかる部分をできるだけ把握して、その解決のアプローチも、時には人を巻き込みながら実施したりしています。物理的なリソースだけじゃなく、メンタルリソースに余裕を持つことが、安心も安定も生むと思っています。


メンバーを抱えているマネージャーの方や、すこし仕事に負担を感じている瞬間がある人の参考に少しでもなればと思い、noteに綴ってみました。


今でも、自分の向き合い方を変えればよかったと後悔することは多々ありますが、アプローチの方法や考え方をインプットする重要性を身をもって感じたという話でした。


※私は心理学の専門家ではないので、あくまで感覚の話です。専門的なフィードバックなどはいただけるととても嬉しいですし、違う考えなどは参考になることだと思うので、是非いただければと思います。



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