パペティア・ミュージアム

日本でオンリーワンの人形劇専門図書館が運営する公式noteです。 2年後の”2023年…

パペティア・ミュージアム

日本でオンリーワンの人形劇専門図書館が運営する公式noteです。 2年後の”2023年”は日本で現代人形劇がスタートしてから、なんと100年が経ちます! 100周年のメモリアルイヤーに向けた様々な取り組みを「パペティア・ミュージアム」として展開していこうと思っています。

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「人形劇の図書館」ご利用方法

 1971年から活動をしている「人形劇・トロッコ」が、旗揚げ20周年の1991年に開設したのが、「人形劇の図書館」です。開館から30年経った現在でも、日本で唯一の人形劇の専門図書館です。  人形劇とその関連図書は約1万冊以上、各種の資料は数万点を収集しています。収集している資料には貴重なものも多く含まれ、江戸時代の「伝統人形芝居」の書物や浮世絵から、 明治時代以降の「近代人形劇」、大正・昭和時代の「現代人形劇」のポスター・チラシまで、多様な日本の人形劇の流れを確認することが

    • 蔵書紹介:『八王子車人形調査報告書』

      八王子車人形調査報告書 記録作成の措置を講ずべき無形の民俗文化財 八王子市教育委員会 2020  車人形とは幕末頃に西川古柳(永岡柳吉1825-97)によって三人遣いの人形を一人で遣えるように考案されたもので、人形遣いはロクロ車に腰を下ろし、人形を身体の前に持ち、弓手という構造で人形の左手を操作し、人形の脚は遣い手の足先に挟んで舞台の床を踏み演技する。この人形が床の上で演技することが、一般に宙で演技する他の人形芝居との最大の差異である。  当初は説教節により演じられた、東京

      • 蔵書紹介:『ILKA SCHÖNBEIN UN THÉĀTRE CHARNEL』(2017年)

        『ILKA SCHÖNBEIN UN THÉĀTRE CHARNEL』 Naly Gērard  Marinette Delannē(写真) I'OEIL(フランス)刊 2017   イルカは、ドイツの人形劇芸術家。彼女の上演を最初に観たのは1994年のフランス・シャルルビルメジェール世界人形劇フェスでのことでオフ公演の街頭上演、市立劇場の傍で建物の壁に囲まれた狭い抜け道の折階段、そこが屋根のないイルカ劇場だった。  早く行かねば座れないと聞いたから1時間ほど前に行ったがも

        • 現代に生きる”えびすまわし”ーー「えびす様と人形劇」対談 <15年そして未来>

           写真は、今年の1月5日、兵庫県の西宮神社で開催された「百太夫神社祭」にて、撮影したものです。偶然、カメラのほうにえびす様が向いていて、お酒を勧められているみたいでしょう? とても、めでたい気持ちになります。  えびす様の人形を遣うのは、人形芝居えびす座の座長・武地秀実さん。武地さんは西宮の情報紙「ともも」の編集長を担う傍ら、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、「えびすまわし」(人形浄瑠璃の源流となったと言われます)の復興を自ら行ってきました。私(研究員・佐藤譲)は

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        • 蔵書紹介:人形劇の図書館
          11本

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          蔵書紹介:『Le Guignol des Champs-Elysees』(1889年)

          Le Guignol des Champs-Elysees Adolphe Tavernier & Arsene Alexandre Librairie CH.Delagrave 1889  ギニョール本紹介の第2弾。  ギニョールは「片手遣い」の人形で、フランス・リヨンで1808年頃にムルゲが始めた人形劇の主人公の名前だが、それがそのままフランスの片手遣い人形の代名詞にもなった。日本でも1920年代にはその存在が知られ、やはり片手遣い人形(指人形という俗称は正しくない)

          蔵書紹介:『Le Guignol des Champs-Elysees』(1889年)

          蔵書紹介:『Schattenspiel aus Szetschuan』(1964年)

          Schattenspiel aus Szetschuan Gestaltung Claus Hansmann Ehrenweirth Verlag Munchen 1964  ドイツで出版された「影戯」の美術写真集。ドイツ語タイトルは「セチュアンの影絵劇」とあるので、「四川の影戯」と訳せる。四川はいくつかある中国影戯系の一つで、唐山、西安、楽亭などの他の系統に比して大型で特徴的な存在だったようだが現在は存続されていないようだ。  中国影絵の研究というか紹介は、日本よりも

          蔵書紹介:『Schattenspiel aus Szetschuan』(1964年)

          蔵書紹介:『Guignols et marionnettes : leur histoire』(1911年)

          Guignols et marionnettes : leur histoire J. M. Petite  Librairie Felix Juven 1911 『ギニョールとマリオネット その歴史』は、1911年刊だからちょうど190年前の本。  1911年は明治44年で、帝国劇場が開場し、大逆事件もあった、何よりも明治時代終焉の年。  ギニョ―ルとマリオネットがどう違うのかといえば、直訳的には「片手遣い人形と糸操り人形」だが、マリオネットは糸操りだけでなく、人形

          蔵書紹介:『Guignols et marionnettes : leur histoire』(1911年)

          蔵書紹介:『鳥羽絵三国志』(1720年)

          鳥羽絵三国志 版元 寺田興右衛門 書林 前田梅吉  29丁  享保5年(1720)庚子正月刊(明治後摺) 和本は頁数ではなく丁を使う。29丁とは片面に絵や文章を摺って二つ折りにしたのが29枚で、ページ数にすれば58頁ということだ。  鳥羽絵は、いわば一コマ漫画の原形のような滑稽絵で異様な程に手足が長く描かれた戯画で、風刺画ともいえ、江戸から明治頃にかけて流行し、『鳥羽絵〇〇』という題名の出版が続いた。  この『鳥羽絵三国志』(29丁)には、「西宮の傀儡師』が描かれ、「西宮

          蔵書紹介:『鳥羽絵三国志』(1720年)

          蔵書紹介:『日曜学校に応用したる 絵噺と人形芝居』(1927年)

          日曜学校叢書第2編 『日曜学校に応用したる 絵噺と人形芝居』 日曜学校叢書刊行会編 法蔵館  昭和2年(1927)  日本で最初の「現代人形劇」の本といえる。表示は「人形芝居」だが、当時「人形劇」というのはあまり使われておらず、「伝統人形芝居」と違う流れである「人形劇」表記がこの頃からひろまっていく。  出版社の法蔵館は1850年創立の京都東本願寺近くにある老舗の仏教出版社で、はじめてこの本を手にしたときに、お寺さんに置いてあるお経本と同じだと思った。今でも手にすると抹香が

          蔵書紹介:『日曜学校に応用したる 絵噺と人形芝居』(1927年)

          蔵書紹介:『人形劇 誰が一番馬鹿だ?』(1927年、ウイット・フォーゲル 辻恒彦 訳 金星堂)

          社会文芸叢書第5編 『人形劇 誰が一番馬鹿だ?』 ウイット・フォーゲル 辻恒彦 訳 金星堂  1927.3  1923年10月に試演会をおこない、3年後の大正15年(1926年)には築地小劇場で旗揚げ公演を行った「人形座」は、当時のモダニズムの流れを汲んだ新興芸術としての「人形劇」が新しい表現芸術であると認識させ、これをきっかけにして若き芸術家たちが競うように「人形劇」に取り組んだのだ。  人形座旗揚げ公演の脚本『誰が一番馬鹿だ?』も出版され、ブームといえるほどに読まれた。

          蔵書紹介:『人形劇 誰が一番馬鹿だ?』(1927年、ウイット・フォーゲル 辻恒彦 訳 金星堂)

          蔵書紹介:『人形劇運動』(1943、園池公功 他監修)

          人形劇運動 園池公功 他監修 中川書房 1943  太平洋戦争の泥沼の時代、「国策人形劇」といわれるプロパガンダ人形劇があった、というかそれしかできない時代の出版物。国策だから予算も統制されていた紙の手当てもあり、それなりの人形劇出版物があるも、この表紙ほどにその趣旨を明快に表現しているのは他にない。  デザインは伊藤熹朔で、人によってはどこか反戦的な意図を見出すかもしれないけれど、当時の戦争画には同様に見えるような絵もあったりするので、その時代が狂気の精神性を根底に持って

          蔵書紹介:『人形劇運動』(1943、園池公功 他監修)

          蔵書紹介:パウル・クレー『Hand Puppets』(片手遣い人形)

          Paul Klee (パウル クレー) Hand Puppets(片手遣い人形)    英文 151p Hatje Cantz社(独)2006年     画家パウル・クレーは色彩、絵画理論についての著作もあるほどの「色彩と線の魔術師」といわれた、20世紀を代表する画家のひとり。  この『Hand Puppets』(片手遣い人形)は、息子のフェリックスのために作った人形の写真集。 こちらの写真は表1(表の表紙)です。  人形たちの素材には身近にあった木、布、廃材等を使っ

          蔵書紹介:パウル・クレー『Hand Puppets』(片手遣い人形)