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こづかい0円の谷さんの営業力

このところ、『定額制夫の「こづかい万歳」』を語るnoteと化している弊アカウントですが、まだ続きます。

5回連続、累計1万文字を超えた。我ながら狂っている。でもやるぞ。なぜか勝手に右手の親指が文字を打っているんだ……。

まだ続くのかよ!と、さまぁ~ずの三村さんの声が聞こえてきますが、続けろよ!と、錦鯉の渡辺さんの声も聞こえてきます。どちらも幻聴だと思いますが。

ふたつ手前のnoteで「欲」の話をしましたが、『~「こづかい万歳」』でダントツにその「欲」が無い、令和時代の仏陀と呼ぶに相応しい男、「谷健」氏について語らせてほしい。語らせろ。語る。

彼のこづかいは、なんと0円。

0円である。思わず脳内にエアロスミスの『Walk This Way』が流れる。

かつてソフト○ンクのケータイのCMで、この曲をバックに、大々的に「0円」と打ち出された広告が打たれ、あたかもケータイが0円で手に入るかのように宣伝して、総務省からめっちゃ怒られたことがあった。

ケータイにはユニバーサルサービス料という手数料が必ず与えられ、当時はそれが8円だったので、ケータイを買うにはどんなに切り詰めても絶対に8円はかかるのですが、それを知らないユーザーが、本当に0円で入手できると思ったがために、メーカー側との間に齟齬が生まれてしまい、最終的に孫社長が謝罪し、CMも打ち切られたという事件。

なぜそんなに事細かに覚えているのかというと、その少し後に勤めていた会社はソ○トバンクのケータイも扱っており、上記の理由で評判が最悪だったので、営業中によく嫌がられたからです。

一方で、当時はド○モが覇権を握っており、特にご年輩の方々には、天下のN○Tの傘下だから信頼性が高いと豪語するドコ○信者が多かった。今ではその評判が、見事に覆ってしまっていますが……。

ちなみに私はauユーザーであり、個人的な結論としてはauこそが最強。昔は電波が弱いとよく云われており、今でも山間部だとそうなのかもしれんが、大阪や京都の都市部や郊外で使うぶんにはなんの問題もありません。

au最高。そういえば家には未だに矢井田瞳さんのauのクリアファイルがある。いつもらったんだこれ。20年以上も前のやつだぞ。あれ?ケータイの話だったっけ?

ついつい話が逸れてしまいましたが、思えばケータイ、ひいてはスマホの登場によって、安価、あるいは無料で楽しめる娯楽が増えました。

アマゾンプライムやネットフリックスは安い月額料金で映画やアニメが視られるし、Spotifyは月980円で国内外のたくさんの音楽が聴ける。

大抵の電子書籍サイトは途中まで試し読みができるようになっていて、人気作は数冊ぶん無料で読めたりする。ジャンプを買わなくても、ジャンプの今週の新連載作品を公式サイトで読めてしまう。

こづかい0円の谷さんはアマプラとネトフリに加入しており、夫婦で毎晩1本ずつ映画を視ているのだという。いかにも令和時代らしい生活風景だ。

その月額はこづかいに含まれないのか?とか、アマプラとネトフリ両方はいるの?どっちか片方のサービスでよくね?とか、ちょっと疑問は残りますが、まあそれはスルーするとして、谷さん個人が趣味や娯楽に使うこづかいは0円。

外食はおろか、ビッグカツやうまい棒などといった駄菓子も買えない。昭和時代の小学生のこづかい以下で令和時代を生きている。強すぎる。

しかし、お菓子が買えないなら自分で作っちゃえばいいじゃない、という、マリー・アントワネットさんもその発想はなかったと言いそうな、そんなサバイバル術を心得ているのです。というわけで、彼はよく、自作のお菓子を作ります。

そのお菓子を職場でみんなに配っており、そのお返しとして、本を貸してもらったり、ゲームソフトをくれたりするのだそう。物々交換。もはや令和や昭和を超越した、弥生時代の文化に立ち返っている。

相手になんらかの貢献をすることで報酬をいただく、という意味では、プロ奢ラレヤーさんやレンタルなんもしない人さんがやっていることにわりと近いですが、プロ奢さんやなんもしない人さんと違うのは、物理的な生産性があるところでしょうか。

とはいえ、お菓子を日常的に配っている人が、誰でもあんなふうに他人に積極的に親切にしてもらえるとは思えない。

谷さんがあんなに貢献を受けている背景にはきっと、人柄の良さはもちろん、描かれていないところでの能力があるのであろう。あと単純に、この人はコミュ力、というか、営業力がめっちゃ高いのだと思う。

そもそもこの回は、前半はポンタポイントを貯めまくる人に再会して、ポンタポイントの仕組みが変わって残念でしたねと慰めるところを、横から入ってきた谷さんが空気を塗り替えてしまったという回ですからね。

営業力というのは、いかに空気を読まずに自分の意見を押し通すかという力でもあるのです。

テレビの通販番組のCMがわかりやすいと思います。あれ、バラエティ番組の途中でいきなり出てきて、なんだ?と感じつつ、思わず視てしまう。そして、最後にフリーダイヤルが紹介される頃に、さらにお得な特典が紹介され、これは時間限定なのだと煽る。

空気の塗り替えがめっちゃ上手い人、それが谷健さんなのではないか?というのが、私の個人的な見解です。どんな境遇であっても、自分が楽しめるように、あるいは、周囲にメリットがあるように景色を塗り替える。

ただ、それが本当にメリットがあるのかどうかは、誰にもわからない。

そのあたりにこの話の闇があるのですが、まあ、0円ケータイはめっちゃ叩かれたけど、その後に出た8円ケータイ(上記のことで叩かれたので、今度は8円という破格で持てるケータイがあることを宣伝した。なお、上記のことで叩かれたので、大々的なCMは打たれなかった)はそこそこ売れたし、それから時が経って、格安SIMのシステムも生まれて、その恩恵を受けている人も少なからずいるのだし、支出を切り詰めることは、先進的とはいえるかもしれない。

しかし、こづかい0円というのは、さすがにひもじすぎるというか……。夫婦で視るアマプラ・ネトフリの代金、そしてスーパー銭湯など家族みんなで行くところでの出費についてはこづかいに計上されないらしいので、娯楽費がゼロというわけではありませんが。作中ではスーパー銭湯が例に出ていましたが、カラオケやスポッチャなどにも家族で行って楽しんでいるのかも。というか、そう思わせてくれ。

たぶんだけど、谷さんは人間が好きで、他人といるのが苦しくならないタイプなのではないかと思う。だからこそ職場で好かれるし、初対面の吉本先生にここまでプレゼンできる。

すげえ、とは、素直に思う。でも、私には無理だ。

0円で合法的に読める漫画サイトは、今どきはたくさんある。そもそもこの『~「こづかい万歳」』も、最初はどこかの無料おためしで読んだ。

多くの漫画サイトはクリック時の広告収入で収益を得ているという話なので、たとえ無料で読んだとしても、作者にはちゃんと利益が還元されるのだという。

しかし、時には金を出して買いたいものだってある。幸い私はこづかい制ではないので、買いたい漫画は自由に買える。なので単行本を買った。みんなも買おうぜ、『定額制夫の「こづかい万歳」』。

吉本先生のこづかいを増やす企画、などというものもあるぞ。

あ、次回からは通常運転に戻りますんで……。

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