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コーヒーとアングラ時代のクレヨンしんちゃん

酒を呑むことに関しては、かなり早い段階から興味を持っていて、中1の頃に若気の至りでオトンのビールの飲み残しを拝借してブッ倒れるなどしたのですが、そういえば、コーヒーを初めて飲んだのはいつだろう。

我が家の両親はかつて、朝と夜にインスタントコーヒーを飲む習慣があり、子供でも手が届く戸棚の上にネスカフェエクセラの瓶が常備してあったのですが、どういうわけか、それを開けてみようという気持ちになったことはない。

昔の『クレヨンしんちゃん』で、コーヒーは子供が飲んじゃダメと言われたしんちゃんが、みさえさんの目を盗んでこっそりコーヒーを作る話がありましたが、それを視ても、別に真似しようと思いませんでした。ケツだけ星人よりよっぽど真似しやすいのに。

というか、人体の中でもいちばん重い部位であるケツを重心に置きつつ、あの超高速反復横跳びのような俊敏な動きをするの、相当な身体能力が必要じゃね?

今でこそ親子で楽しめるアニメの代表格とされていますが、当時の『クレヨンしんちゃん』はPTAが子供に見せたくないテレビ番組の代表格で、つまり子供がしんちゃんの下品な行動や言動を真似するから、とのことですが、ケツだけ星人を真似する子供なんていなかった。というか、物理的にできなかった。

ちんちんにぞーさんを書くのを真似している者はいたかもしれないが、外でそれを披露している子供は見たことがない。おねえさんをナンパする幼稚園児も見たことがない。

とはいえ、地域によっては学校内で『クレヨンしんちゃん』禁止令が出ていたらしいので、たまたま地元がさほど影響を受けていなかったのかもしれません。

ちなみに、家には原作の漫画の単行本があり、フツーに読んでいたので、初期にはみさえ&ひろしの夜の営み回があるのを知っていたし、園長先生がヤ◯ザっぽいというネタもかなり生々しかったので、そもそも教育的な作品ではないということをなんとなく感じ取っていました。

昔のしんちゃんは、今みたいなかわいらしさは微塵もなくて、完全に周りの大人をバカにしているクソガキでしたし。

なので、背徳的なことをフィクションでやってくれる存在が、自分の中でのしんちゃんだったわけですが、コーヒーを飲むというのは、いまいち他のエピソードに比べて、ワルっぽさというか、絶対やっちゃいけないことという感じがしない。

このエピソードがいつの放送なのかを調べてみたところ、1995年の6月5日とのこと。しんちゃんの顔が丸みを帯びてきて、初期は抑揚の少ない声だったのが起伏に富んだ高い声に移行してきた時期だと思います。

配信などで最初の頃の放送を視聴するとわかりますが、開始当初のしんちゃんはほとんど感情をあらわにすることがないし、声は男性が担当しているのかと思うくらい低い。なんとなくアングラ感があるのです。

それが、だんだん毒が抜けてメジャー志向になっていったのが1995年ごろ。翌年には妹のひまわりが生まれていて、お兄ちゃんになったしんちゃんは、以前ほど過激なことをしなくなっていきました。ちんちんにぞーさんを書くのをやめたのがこのあたりだと思う。

……なぜコーヒーの話からクレしん考察になっているのか。

意外に自分が昔のアニメ版クレしんについてそこそこ語れるガチ勢であったことに素で驚いていますが、経験とは無意識のうちに積み重ねられるもので、たとえ自分ではインパクトのある事象と感じていなくとも、深く脳に刻まれているようです。

しかし、私の脳にはコーヒーの記憶があまりない。引き出しの引き出しの引き出しを引き出していけば見つかるのかもしれませんが、自販機の下の小銭のように奥のほうに挟まっているらしく、なかなかどうにも出てこない。

高校生の頃には、もうコーヒーを自分で淹れて飲んでいた気がする。親の前でも飲んでいた。さすがに高校生なので、子供は飲んじゃダメとは言われなかった。

その前の中学生はどうだろう。これがどうにも思い出せない。我が家には袋タイプの森永ココアも戸棚に常備してあったので、ココアは飲んでいたが……。

中学生と高校生の間のどこかのタイミングでコーヒーデビューをしているはずなのだが、どうにもこうにも思い出せない。初めてビールを呑んだ時に一瞬で気分が悪くなって気絶したことは今でもよく覚えているのに。

ということはつまり、ネスカフェエクセラの味にそこまで深く感動しなかったということなのだろうか。以後も習慣的に飲み続けていたので、決して不味いとは感じなかったはずだが、10代のメモリーに刻まれるほどではなかったか。

むしろクレしんのメモリーのほうがよっぽど多いし。容量をクレしんに使いすぎましたな。というのはともかく、コーヒーデビューの適正年齢って、そういえば何歳なのでしょうね。

酒やタバコのように法律で20歳からと決められているわけではないので、仮に小学生が飲んだとしても、親が小学生に飲ませたとしても、社会的に裁かれるということはまずありません。

一般的に1杯のコーヒーに含まれるカフェインは約120mgらしく、10~12歳までの子供が1日にカフェイン摂取量の目安は約85mgとのこと。つまり、小学生にとっては、1杯のコーヒーだけでもカフェインの過剰摂取ということになるそうです。

一方で、早熟な子供ならば平気だったりする例もあるらしく、体重が50kgを超えたらコーヒーOKという見方もあるという。でも、高校生の頃、たぶん体重が50kgあったかなかったかだと思うのですが、フツーに1日に3杯は飲んでいたな……。

むしろ、それより10kg前後ふえた現在のほうがカフェインの消化能力が低くなっているようで、今はコーヒーは1日に2杯までしか飲みません。 

別にそう決めているというわけではなく、2杯めで、なんかもうええわ……、となるのです。どれだけ美味いコーヒーであってもそうなる。頑張れば3杯めもいけるのだろうけど、これ以上はよろしくないな、という危険信号が出てくるのです。

……酒を呑んでいる時も、いつもそれが出てくればいいのにね。

なんだろう、やっぱりちょっとアングラな雰囲気があるほうが楽しいのだろうか。内面は今でも14歳だし。

園長先生の初登場回のしんちゃんの第一声「地上げ屋さんだ」は、今でも思い出すと吹いてしまいます。

サウナはたのしい。