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音痴がわからない

普段の生活で、歌を口ずさむということがまずありません。

脳内で曲が鳴っていることはよくあっても、実際に声に出してそれを歌うということはない。

両親はむしろしょっちゅう歌を口ずさむ人で、オトンの井上陽水&忌野清志郎『帰れない二人』は568万回くらい聞いたし、オカンの今井美樹『PRIDE』は9625万回くらい聞いた。

そのような環境で育ったにもかかわらず、自分はふとした時に歌を口ずさむということがない。カラオケは好きなので、歌うこと自体が嫌いなわけではありません。なんというか、別に自分が歌手なわけでもないのにところ構わずに歌うという行為が、どうにも恥ずかしいというか。

カラオケはなぜ平気なのかいうと、個人的にあそこは素人が自己満足で歌って酔い痴れるための施設であると認識しているからです。

バッティングセンターに行くからといってプロの野球選手を目指しているわけではないし、ゴルフ場に行くからといってプロゴルファーになりたいわけではないのと同じことです。

あくまで自分は、アマチュアの世界で楽しむためにカラオケに行くという考えなのですが、ここでひとつ、ずっと引っかかっていることがあります。

自分が音痴なのかどうか、全くわからない。

カラオケの機械には採点機能というものがあり、その点数を見ればわかるだろうという話ですが、あの機械、人間にゴマを擦っているのかなんなのか、だいたい60点以上しか出さない。誰がどう歌っても出さない。

むかし友達とカラオケに行ったとき、酔っ払った勢いで、全くデタラメな音程で歌ったら何点が出るのか、あるいは全く歌わなかったら0点なのか、などという検証をして遊んだことがありますが、いずれもそれなりに高い点数が出て、15点とか3点とかのひどい点数はまず出ません。

まあ10年くらい前の検証なので今はもっと精密な採点がなされているのかもしれませんが、これだとたとえば75点とかのそこそこの点数を取っていても、実際はすげえ音痴という可能性もある。

今まで他人に歌が上手いと言われたことはほとんどないので、たぶん上手くはないことは自覚していますが、ではどのくらいのレベルの歌唱力なのかについては未だに謎。滑舌が悪いのでヒップホップに不向きであることはわかる。

自分の歌唱力がわからなければ、当然のごとく他人のそれもよくわからず、プロの歌手はみんな上手いと思っているし、声量が大きくて凄いとか高い声が出せて凄いとかはわかるものの、それがアマの歌い方と技術的にどう違うのかはさっぱり理解できない。

以前、テレビのカラオケ番組で、オードリーの若林さんがTHE YELLOW MONKEYの『SPARK』を歌っていて、出演者一同からあまりにも下手すぎると酷評されイジられるという場面があったのですが、自分は正直、「そんなに下手かなあ……?」という感想でした。確かに棒読みっぽい歌い方ではあったのものの、音は合っているように感じたのですが、どうなのだろうか。

楽器の演奏に関してはもっとわからず、よく云われる「今のJ-POPヒット曲はクオリティが下がった」というのもいまいち実感できない。クオリティが下がったとは、音のことなのか技術のことなのか曲構成のことなのか、いずれにしても全く理解できない。

ただ、歌詞に関しては最近のヒット曲のほうがクオリティが高いと思います。平成のヒット曲の歌詞はだいたい「頑張ろう」「騒ごうぜ」「愛してる」「寂しい」の4パターンくらいしかない(※個人の見解です)のに対して、official髭男dismの『Pretender』のようにポジティブにもネガティブにも受け取れる歌詞、米津玄師さんの『Lemon』のように対象となる相手によって意味合いが変わる歌詞など、昔より多様化している……ような気がする。

ただ、現代の中高生はTikTokで曲を覚えるらしいので、必ずしも新しい曲を聴いているとは限らないようです。「TikTok 流行りの曲」でググると、えっ?と思うような往年のヒット曲が出てきます。

我々の世代だと、「'80年代の曲は懐メロ」「'90〜00年代はマイ世代」「2010年代以降は今ふう」という区切りがあるのですが、そういうのがなくなってきているのかも。

何はともあれ、どんな曲を聴いても、どんなふうに歌っても、それぞれの自由です。そろそろ年末年始料金じゃなくなったはずなのでヒトカラへ……、いや、今日は成人式だった。もしかして混んでいるのでは……。

新成人の皆様、おめでとうございます。最近はどんな曲が流行っているのか教えてください。邦楽歌詞論を書いてみましたが、正直、上記の2曲と『青春コンプレックス』くらいしか知らんのです。イキってすみません。


サウナはたのしい。