怪談百物語#39 髪結い
小さい頃はよく髪を結ってもらっていた。
母や祖母に暇があればいつもおねだりしていた。
みつあみだったりポニーテールだったり。
色んな髪型になる自分の姿が面白かった。
結い終わると決まって三面鏡の前でポーズを取る。
祖母の結納と共にうちにきたらしい鏡。
いろんな角度から見られてとても楽しかった。
祖母も母も亡くなり、私は隣の県に引っ越した。
千葉の隅っこは田舎っぽくて住みやすい。
うるさい都会から少し離れて心を休める。
今は紙を結ってくれる相手もいない。
祖母の遺品である三面