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脳画像は見よう!でも初めは見過ぎるな!

このnoteでは以前にも脳画像について、思うところを度々書かせて頂いています。

正直、知識的には自分より詳しいという方のほうが多いと思います。

だいたい、脳画像については優秀な方が書かれた成書も多く出ていますし、有名な先生による講習会も頻繁に行われています。

脳に関する確かな知識を得るのが目的なのであれば、そちらから学んで頂いた方が確実であろうと思います。



じゃあ、私がここで何をお伝えしようというのか。



それは、リアルな日々の臨床における、脳画像の扱い方について、です。



私なりに、ここ数年は脳画像について一所懸命に勉強してきました。


そして、興味を持ってくれた人には、できる範囲で教えたりもしてきました。


そして思ったんです。


みんな、脳画像が見れないというのもあるけど。


それ以上に、使い方がわからないんじゃないかな、と。


脳画像の見方が難しいのは確かですが。


知識云々の前に。


そもそも、臨床でどう使うのかが、きっとわからないんだと思いました。


料理をしたことのない人にいきなり包丁を持たせても、調理は難しいですよね。


ここから説明するのはあくまで私のやり方で、正解というわけではありません。

その人なりのスタイル、というものが、あると思います。

ただ。

0→1を作るより、1から派生させた方が容易なのは、わかって頂けると思います。

いちおう、私が自分なりに失敗を繰り返しながら、現時点でたどり着いたスタイルなので。


読んでくださった皆様の、土台としての「1」に、して頂けたらと思います。


よろしければ、読んでみてください。

①新患介入前は、サラっと見る

これは時間的な問題もありますが、介入前に脳画像を見るときは、あくまでパッと見程度で済ませるようにしています。

自分の場合は、障害部位がどの辺りかを簡単に映像的にイメージできる程度、という感じです。

「どこが障害されていそうだから、どんな症状が想定できそうか」

ということは、この時点ではあまり考えない方が良いと思っています。


なぜか。


先入観により評価が歪まないようにするため、です。


これについては今までいろいろ考えてきました。


事前の情報収集が大事であることは、PTなら誰でも学生の頃から叩き込まれているので、当初はその一環として脳画像もしっかり見て、と思っていました。

脳画像を事前にしっかり見る事で、注意すべき点が想定できたり、どういったところを評価すべきか、ということが把握しやすくなると思っていました。

確かに、想定しやすくなるし、把握しやすくなります。


いや。


想定しやすくなった「気がする」し、把握しやすくなった「気がします」。


そう。


それは、患者さんをセラピストの「思考の枠」にはめ込んだから、楽になったというだけで。


実は、危険です。


思考の枠の外側のものを見逃すリスクがあります。


そしてそれは経験上、かなりの高確率で起こるように感じます。


思考は選択肢が少ない方が楽なので、一度少なく設定すると、選択肢の外にあるものを改めて考慮するのは非常に難易度が高くなります。


非注意性盲目、とも言えるかもしれません。


いずれにせよ。


まだ何も知らない方に対し、無意識に「決めつけ」をしないこと。


これを大事に考えています。

②介入しながら、脳画像を思い出す

①の流れを読むと。

「なら、見ないほうが良くない?」

と思いますよね。

そこに答えたいと思います。

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