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夜更けに読むとちょっと刺激強め。

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30歳テレビディレクターの独り言、読んでみてくださいな。
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2022年1月の記事一覧

『鉛の芯』 〜しがないテレビマンの独り言短編小説〜

『鉛の芯』 〜しがないテレビマンの独り言短編小説〜

臙脂色の六面が、ガラス机をカラカラと音を立てながら転がって、冷たい床に落ちた。軽い衝突音と共に、パラリ散らばる黒鉛。ハァと溜め息をつき、重い腰を曲げ拾い上げる。

なんで、こんな時代錯誤な、無駄が多いものを僕は使っているのだろう。書き消ししたいならシャーペンやフリクションでいいのに。

でもね、わざわざ鉛筆を使うのには理由があるのだよ。黒一色なのにもかかわらず、多彩でおおらかな表情を一文字一文字に

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