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実存主義哲学が人気を博した理由

実存主義とは人間性哲学の1つであり、デンマークの哲学者セーレン・キルケゴールが最初に用いた言葉だと言われている。

キルケゴール以外にも、ニーチェやサルトル、ドストエフスキー、フランクルやカミュなど、実存主義者と言われる哲学者は存在する。

例えば、サルトルが「実存は本質に先立つ」と述べたりフランクルは「意味への意志」を重要視するなど、実存主義哲学では、生きる意味を自ら作り、見つけ出す事に価値を置いている。

この実存主義的な考え方はカウンセリングにも用いられている。

哲学なので、科学的な証明以上に主観的な一面が強く、従来のカウンセリング理論(精神分析理論、自己理論など)からは批判も受けたようだが、僕は必要だと考える。

僕と同じように実存主義的なカウンセリングへのアプローチの重要性を認めている國分康孝さんの本になぜ実存主義的なアプローチが必要かが書かれていた。

その理由は、従来のカウンセリング理論では「実存神経症」に太刀打ちできないからである。

実存的うつ病とかとも言ったりするが、「生きる意味が見出せない」「何をすれば良いか分からない」と言った訴えに対して、従来の理論ではどうにもならなかったのだ。

だから、実存主義的アプローチを受け入れざるを得ないのだが、そもそもどうして実存神経症が増加しているのかに対する國分氏の見解が興味深かったので紹介したい。

彼は4つあげている。

まず1つ目に、依存出来る安定性のある価値観が粉砕された事をあげている。

例えば、忠君愛国や立身出世などの価値観が多様性によって崩れつつある。

すると、一生安泰だと思ってその価値観にしがみついてきた人たちは、しがみつく場所を失うわけである。

その結果、自分の価値観を失い、どう生きたら良いか分からないとなるのだ。

2つ目に、社会の都市化傾向を挙げている。

都市化が進むと、誰とも知らない人との浅い関わりが増える。

すると関わりが表層化し「甘え、甘えられる」という相互依存の関係が持てなくなるのだ。

それによって慢性的な孤独を経験した人は、その孤独の中でどう生きるかの答えを実存主義に求めるそうだ。

3つ目は、伝統的な考え方が人生を不幸にする事もあると気づき出した事である。

例えば、二元論は罪障感を生みやすい。その点で実存主義は「天上天下唯我独尊」の考え方なので罪障感を感じずに済むんだそう。

最後の4つ目に自己疎外を挙げている。

自己疎外とは、自分を周りや組織に合わせる事で自分の本心や願いを殺してしまう事である。

例えば、学歴社会の日本では「大学どこ?」という質問は嫌というほどされる。

それは、その人個人としてではなく、大学という組織でその人を判断しようとしているからである。

つまり、どこかの集団や組織に属する事がアイデンティティとなり、属していないと生きていけないという錯覚に陥ってしまう。

その為に自分を殺し、組織に染まろうとして、自己疎外が起きるのだそうだ。

他にもあるかもしれないが、國分氏曰く、これらの4つの要因によって実存神経症が生まれ、その対処をするのに実存主義的アプローチは有効なんだそう。

僕も実存主義哲学の考え方は好きだ。人生やカウンセリングにおいてもその考え方には立っている。

実存主義哲学が人気を博した理由。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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