うつ病と行動主義
僕のカウンセリングの基盤として置いている物が大きく3つある。
「実存主義」「精神分析」「行動主義」
この3つである。
実存主義に関しては普段から書く事も多いが、他の誰でもない自己の実存に関する哲学で、その中でも「意味」の発見の重要性を信じている。
精神分析は言わずと知れたフロイトが構築した理論であるが、僕自身、抑圧された強い感情や恐怖、欲求による精神への影響は強く信じている。
今日は3つ目の行動主義について書く。
行動主義と言えば、パブロフの犬やJohn Watsonのリトル・アルバートなどの実験で有名だが、人の行動は全て周りの環境から学ばれる物であり、環境の重要性を強調している。
行動主義の心理学には大きく3つの理論があり、「古典的条件付け」「オペラント条件付け」「社会学習理論」がある。
これらの行動主義の理論は生き物の行動の動機に関する研究にとどまらず、精神疾患との関係についても研究がなされている。
例えば、うつ病を行動主義的に考えるとその原因は正の強化の喪失による物だと考えられる。
「正の強化」とは、例えば、会社で昇進が決まると俄然やる気が出るだろう。
これは仕事へのモチベーションへの正の強化だと言える。
なので、正の強化の喪失とはまさにその逆で、自分にとって嬉しい事やポジティブな物が無くなる事をいう。
例えば、離婚や失恋、失業など、自分の人生にとって大切なもの(正の強化)を失うことによってうつ病は起こり得ると考えている。
実際、離婚や失業などの喪失によってうつ病に発展するケースは多い。
また、正の強化の喪失によって人の活動量は減ると言われている。
実際、うつ病の人やその他精神疾患の方を見ると、好きな事をしたり外に出たり出来ない人も多い。
また、精神疾患に関係なく、人は落ち込んでいたり気分がネガティブな時ほどアクティブではなくなるだろう。
まさにその通りで、人は落ち込んだ時や精神を病んでしまった時、活動量が減少する。
その結果、周りの人との交流も減ってしまう。
そして、孤独感の増幅と人との繋がりという1つの正の強化を失うことになり、悪循環である。
これも行動主義的な考え方では理に適っている。
人は原因と結果を必然的な関係で結びつける傾向がある。
「うつ病だから外に出れない」「うつ病だから人に会いたくない」、この考え方も原因と結果を必然性で結びつけているだけである。
しかし、行動主義では真逆の考え方をする。
外に出ず、人との交流を避ける事によってうつ病は発達し悪化すると考えるのだ。
行動主義の考え方は一見すると実存主義に反するように見えるかもしれない。
僕自身普段から、大切なのはどこにいて何をするかではなく、それをどう感じるかだと述べている。
一見普通の環境の重要性を否定してるように見えるだろう。
しかし決してそうではない。
実際、環境の重要性には強く賛同している。
我々の感情や考え方、恐怖心を作り出すのは紛れもなく我々を取り巻く環境なのだ。
そして、行動主義では、うつ病は「正の強化」の喪失による物だと考える。
ただ1つ、生きる意味と選択肢だけは失ってはいけない。
何を失ったとしても、希望と選択肢さえ持っていれば人間は闘える。そして、絶望にも不条理にも打ち勝つ事が出来る。
僕はそう信じている。
うつ病と行動主義。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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