ロッキー・ザ・ファイナル(2006)
夢への挑戦を続ける不屈のボクサー、
ロッキー最後の勇姿に共感
不屈のボクサー、ロッキーが奇跡の復活を遂げました! 失意のどん底にあえぐロッキーが再起をかけて、世界王者とのタイトルマッチに挑む姿が大きな感動を呼んだ第1作『ロッキー』(’76年)から30年の節目となった2006年に、『ロッキー・ザ・ファイナル』は16年ぶりの新作として公開されました。
60歳になったシルベスター・スタローンが再びロッキー役に挑んだ本作もまた、第1作に負けない感動を与えてくれます。
アカデミー賞作品賞に輝いた名作『ロッキー』で挫折を乗り越え、栄光をつかみとるロッキーの姿に、励まされ、勇気をもらった人は多いはず。監督・脚本を手掛けたスタローンが、本作で試みているのは、再び勇気と励ましを与えること。夢も希望もない人生に悩んでいるなら、自分で行動を起こさなければならないと、ロッキーの身をもって伝えます。
ただし、現実は甘くはありません。50代になったロッキーが求めたのは、栄光や成功など大きな夢ではなく、自分らしく生きられる場所、小さなリングでした。ロッキーは勝敗を競わないエキシビジョン・マッチで復帰を果たします。
元世界ライトヘビー級王者だった俳優アントニオ・ターヴァーと戦うクライマックスのボクシングシーンの迫力は、シリーズ最高といっても過言ではありません。欲も邪念もなく、ただ自分を確認するために戦うロッキー、いやスタローンのひたむきな姿に心から感動します。
16年前、私は映画雑誌の編集者としてマスコミ向けの試写で、この作品を観ましたが、他の映画の試写会に比べて、圧倒的に中高年の男性が多く、『ロッキー』が多くの若者たちに与えた影響の大きさを感じました。
そんな『ロッキー』をリアルタイムで映画館で観た世代もまた、ロッキーとともに歳を取り、ロッキーの境遇に思うところがあったのでしょう。クライマックスでは、鼻をすすり上げる音が響いていたのが印象的でした。
そして、今、私も本作のロッキーと同年代になり、ちょっと似たような境遇にいます。私はまだまだ自分のなりたいものになれていません。いつまでこんな状態なのか情けなくもなるのですが、諦めたら、ずっとこのままなだけ。とにかく前を向いて進むしかないのでしょう。
『ロッキー』シリーズの完結編。「失意のどん底から何度も立ち上がったロッキーは、もう決してリングには戻らない。最後の雄姿をしっかり目に焼き付けよう……」と公開時は思ったのですが、2015年に公開された『クリード チャンプを継ぐ男』でトレーナーとして復活しましたね。(;^_^A
いくつになっても、元気で自由なスタローンの姿に何だか楽しくなってきます!
良いことも悪いこともさまざまな経験を経て、いっそう頑固で寡黙になったロッキーですが、ボクサーを夢見る若者との熱い交流を描いた『クリード』シリーズもなかなか良い作品です。
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