Vフォー・ヴェンデッタ(2005)
映画界の革命児ウォシャウスキー兄弟が
腐敗した政府打倒を託した仮面の騎士
イギリスでは、11月5日は「ガイ・フォークス・ナイト」という記念日で、かがり火や花火大会が開催され、ハロウィンよりも人気のイベントだとか。ところが、その起源はなかなかダークなのです。
ガイ・フォークスとは、1605年11月5日に、宗教の対立から、国会議事堂に火薬を仕掛けて、国王や議員を暗殺しようとした“火薬陰謀事件”の首謀者で、逮捕され、処刑される直前に飛び降り自殺を図ったという壮絶な最期を遂げた人物です。
おそらく政府や権力に対し、相当な恨みのあるであろうガイ・フォークスをモチーフにしたイギリスの同名劇画を映画化した本作は、政治色の強いアクションスリラーです。
製作・脚本を手掛けたのはウォシャウスキー兄弟(現在は姉妹)。『マトリックス』3部作後に放つ作品として、公開時は大きな注目を集めました。
やはり『マトリックス』3部作の創造主、ウォシャウスキー兄弟はあなどれません。革新的なアクションと独創的な世界観、人類の存在意義を見つめた深遠なテーマで多くの人々の心を捉えた第1作『マトリックス』。「映像革命を起こす」と豪語しはじめた第2作以降は、見た目の革新性のみに走ってしまいましたが、第3作で好き放題にCGを乱発した後は、再び冷静な思考力を取り戻したようです。
斬新でクールな『マトリックス』の面影を追い求めて観ると、拍子抜けするに違いありません。でも、傲慢な政治家たちに辟易しているならハマること請け合いです。圧制への革命という古びたテーマを見事に現代によみがえらせました。
果たしてVの正体と彼の行動の目的は? という興味で物語を引っ張りますが、ガイ・フォークスをはじめ、イギリスの宗教史や革命史に関する予備知識がないとストーリーの理解に苦労します。
キーワードとして散りばめられたチャイコフスキーや、ゲーテ、シェークスピアなど、歴史的文学や芸術に関する教養も必要になります。何より政治や社会に関心がなければ、ウォシャウスキー兄弟が綿密に練り上げたセリフは馬の耳に念仏という状態でしょう。
しかし、小難しいセリフを理解しようと一心に映画を見続けた後には、さすがはウォシャウスキーとも言うべき驚きの仕掛けが待っています。美しさの中に、毒と皮肉をたっぷり効かせたラストの映像が見事!
素顔を隠して仮面の騎士Vを演じるのは、『マトリックス』のエージェント・スミス役で人気を博したヒューゴ・ウィーヴィング。
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不気味な仮面をつけたパレードもあるよ!
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荒唐無稽な面白さ
唯一無二のアクションシーン
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