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マトリックス リローデッド(2003)

荒唐無稽だけど唯一無二のSFアクション映画
悔しいけれど、面白すぎるシリーズ第2作

今年、なんと18年ぶりにSFアクション映画『マトリックス』シリーズの続編が公開されます!

壁を俊敏に垂直走行するトリニティ、弾丸を瞬時によけるネオ、変幻自在で殺してもすぐ生き返るエージェント……。1999年に公開された『マトリックス』はキャラクターたちの斬新なアクションと映像世界で多くの人々に衝撃を与えました。

映画界でも、『マトリックス』以降、マーシャルアーツを駆使し、ワイヤーに吊るされるヒーローが続出し、画期的なアクションシーンやそれらを可能にする視覚効果も次々に編み出されました。

でも、やはり本家本元には敵わないと思わせたのが、シリーズ2作目の『マトリックス リローデッド』でした。

世界が注目した待望の第2作で求められたものは、未だかつて見たことのないアクションにほかなりませんが、監督のウォシャウスキー兄弟はその期待に見事に応えました。第1作で観客の度肝を抜いたフローモーションテクニックをも一蹴してしまうほどの革新的なアクションシーンは悔しいけれど面白過ぎます!

【ストーリー】
近未来、コンピュータの中の仮想現実から逃れたわずかな人間たちは人類最後の地下都市ザイオンで暮らしていました。
しかし、人類滅亡をプログラムされた25万のセンティネルズの侵略が72時間後に迫っており、この危機を回避できるのは、《救世主》と予言されたネオだけでした。

ネオ対100人のエージェントによるアクロバティックな大乱闘、日本刀を巧みに扱うモーフィアスとバイクを颯爽と乗りこなすトリニティーが活躍する臨場感溢れる高速道路チェイス、さらに煙のように物体を通り抜けるツインズの登場など、次第にエスカレートしてゆくアクションの数々はスタイリッシュであると同時に、正直言って苦笑ものなのですが、徹底してクールなキャラクターたちの中にみなぎる気迫と最新鋭の視覚効果に圧倒され、笑いは感嘆や賞賛へと変わります。実際、当時、映画館で観た際、ネオがスーパーマンよろしく空をぶっ飛ぶシーンには、観客たちから多くの拍手が贈られていました。

また、物語の〈鍵〉になるキャラクター、キーメイカーの活躍にも笑いが止まらないのですが、その一方で、映像は機敏かつ流麗に、クールで美しく見せることを徹底し、完成したシークエンスの完璧さには感動さえ覚えます。

娯楽性だけを追求した映像とは対照的に、哲学的な人類進化論や真実味ある機械文明論、難解なサイバー用語で埋め尽くされたセリフによってストーリーは複雑さを増し、現実こそが仮想現実であると明かした第1作以上に衝撃的なマトリックスの真相に直面します。

〈なぜマトリックスが生まれたのか〉という答えは、未だに戦争を止めない現代社会への痛烈な批判のようでした。

そして、人類の救世主という運命を受け入れたために、ネオは終始選択を迫られるのですが、この「選択」というキーワードは本作においては実にふさわしく思えました。

さまざまな要素が混在するこの映画の見どころを、〈観客自身が選択せよ〉と言っているようにも思え、それはよりアニメーションに近づいた荒唐無稽なアクションに眉をひそめる人々への防御策とも受け取れたからです。

そんな観る者を惑わす巧みな構成により「ウォシャウスキー兄弟にまたしてもやられた」とうならされた瞬間に訪れる掟破りのラストシーン! これは本作を2003年のリアルタイムで、映画館で観た方なら分かるのではないでしょうか?(ソフトやサブスクで観れる現在、この衝撃は味わえません)

なんと、映画はストーリーの途中で終ってしまうのです。続きは、半年後に公開されるシリーズ3作目の『マトリックス レボリューション』までお預けにされました。

第3作の公開まで映画のことが頭から離れなくなる2003年、私たちはウォシャウスキー兄弟が設計した仮想現実、マトリックスの中で生かされていると言っても過言ではありませんでした( ´艸`)。

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私は本作が一番面白かったのですが、やはり1作目が圧倒的な人気ですね。12月公開のシリーズ4作目『マトリックス レグザクションズ』は1作目の続編ということで、楽しみですね!

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