ブラック校則は廃止できる? ~ニュースとドラマを例に考える、新しい学校の変え方~
「ブラック校則」という言葉を聞いたことはありますか?
2021年頃から話題になっている、主に中学校、高校に存在する常識的におかしな校則のことをこう呼びます。
そんなルールは変えればいいじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、子どもたちは今まで大人に、社会に対して何かを働きかけて、変えることができたという経験が無かったらどうでしょうか?
成功体験のない子どもたちは、果たして自分から声をあげられるのでしょうか?
今回は、今も学校に残る「ブラック校則」という理不尽なルールについて。
生徒たちから声をあげにくい原因の考察から、思いを声に出すことで、実際学校を変えた事例を紹介します。
髪色が黒以外だと不良? 〜”地毛証明書”は本当に必要か〜
いくつかの都立高校では、頭髪が乱れている=不良である という固定観念を理由に、「地毛証明書」の提出が求められています。そもそも「地毛証明書」とは何でしょうか?
地毛証明書は、学校側が染めているように見える生徒に「染めていない」ことの証明を求めたものです。
素行不良生をあぶり出すためのルールが、そうでない普通の生徒に心労を負わせています。
他人と比べて地毛の色が違うだけで、素行不良を疑われるのは理不尽ですよね。
ちなみに私は幼少期から病気を患い、スキンヘッドで生活しています。にも関わらず、学校や組織から「ファッション感覚」でやっていると疑われたら、確実に嫌な気持ちになると思います。
そもそも、不良生徒は金や茶髪に染めたり、派手な髪型にしている、といった固定観念も古いものになりつつあるのかもしれません。
「地毛証明書」の提出のような、一般生徒に辛い思いを強いる「ブラック校則」は、
下記ニュースで紹介されているように、各地に存在することがわかっています。
真冬の登下校でのコート着用禁止
他校の生徒と交流禁止
ツーブロック禁止・下着の色指定
既に諦めているから、声をあげられない?
理不尽な「ブラック校則」に対して、生徒が声をあげることはできないのでしょうか。
2022年12月17日(前編)・24日(後編)に放送された土曜NHKドラマ『ひきこもり先生 シーズン2』(以下、ひきこもり先生)では、「生徒たちが声をあげなければ、なかったことになってしまう」というテーマが扱われています。
作中で、最近の子どもたちについて「妙にいい子だけど、みんな同じ顔に見える。何も言わない、反応しない」と先生達が語る場面があります。
生徒が関わったとされる事件で修学旅行が中止になった際にも、生徒たちは文句を言わず、どこか諦めきっている表情でした。
作中では「ひきこもり先生」陽平が生徒たちに積極的に関わり、学校や保護者に向けて意見を代弁しました。そこでようやく、生徒たちは「自分たちが声をあげていない」ことに気付きました。
私が思うに、生徒たちは大人からの過度な期待を背負い、普段から束縛されてしまうことによって、自分の気持ちを訴えかけることが無かったのだと思います。
つまり、訴えかけて何かが変わった成功体験がなかった。
だから、声をあげることの大切さがわからなかったのだと考えます。
生徒が学校に変革をもたらす? 現実で起こり始める新たな取り組み
現実でも、生徒たちが「ブラック校則」の変更に取り組む事例が2021年頃から話題になっています。
生徒会主導でアンケートを取って、校則を変えた例
生徒が中心となって、自分たちが通いやすい学校にするために、ブラック校則の見直しを始めました。議題に上がった「髪型」では、従来禁止だったツーブロックをOKとしつつも、ラインを入れることや、片方だけを刈り込むことは禁止にするなど、新たな基準を作りました。先生たちも柔軟に対応し、学校に新たな校則が生まれました。
生徒参加の校則議論が活発に
岐阜県の高校では、自由な服装で通学する試みを実施。生徒や保護者へのアンケートに基づき、校則の変更を検討し始めました。
広島市の女子中高では、生徒の有志約20人が変えたい校則のアンケートを取り、生徒同士で議論して学校側に伝えました。その結果、スマートフォン持ち込みが原則禁止から条件付き容認に変わりました。
以上の事例のように、生徒の思いを学校側に伝えることによって、校則を変えることが可能です。
生徒たちには、学校を変える確かな力があるのです。
「ブラック校則」に挑むことを諦めないで!
本来、ルール(校則)がどうして必要なのか、学校が生徒たちに説明する責務があります。一方的な取り決めで生徒たちに押し付けていては、「大人の我慢を、子供もしなければならないのか?」という「ひきこもり先生」陽平の指摘通り、子供に我慢を強いてしまいます。
思うに『ひきこもり先生』では、普段から学校側が我慢を強いていたせいで、生徒たちは「自分たちが訴えかけても何も変わらないだろう」と諦めてしまっていたのではないでしょうか。
しかし、声をあげない生徒たちの気持ちは学校側から「ないこと」として扱われ、胸中に隠していた思いが封殺されてしまうことに気づきました。作中で修学旅行が簡単に中止になってしまったように。
今回取り上げた実際の事例を見てわかるのは、生徒と学校が同じテーブルに座り「そのルール(校則)が本当に必要なのか」を考え、話し合うことが大切です。
生徒と学校が双方納得の上で、「ブラック校則」を改める。そういったプロセスを経ることで、学校側に強制されて我慢するのではなく、生徒たちが納得して守る「校則」に生まれ変わるのです。
生徒が校則を変えた事例が世間に広まれば、自分たちの学校の「ブラック校則」を無くす勇気を持った生徒が全国に現れるはずです。
「ブラック校則」を変えたいと訴えかければ、生徒たちの気持ちを「なかったこと」にできなくなります。
学校側も校則を押し付ける前に、生徒たちの思いを確認するようになれば、過ごしやすい学校というのが増えていくだろう、と私は思います。
POINT!
日本の学校には、「地毛証明書」の提出など、一部の生徒を苦しめる「ブラック校則」が存在している。
生徒たちが声をあげても何も変わらないだろう、と諦めてしまうと「ブラック校則」は変えられない。
一方で、生徒主導で意見を集めて学校と議論し、「ブラック校則」を変えた事例がメディアに取り上げられはじめている。
生徒たちは声をあげることで、学校を変える力を持っている。今後、たくさんの事例が全国から上がる世の中になれば、それに勇気付けられた「ブラック校則」を変えようと立ち上がる生徒が現れるはず。
学校と生徒たちが話し合い、より過ごしやすい学校を目指していくことが大切。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?