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「読書感想文」を考える


夏休みの宿題の1つに読書感想文がある。
 
「読書感想文への配慮について」ちょうど記事を書こうとした日に、
芥川賞・直木賞の発表があり、
市川沙央さんの受賞会見を見た。

「読書バリアフリー」

市川さんの「読書バリアフリー」という言葉に私は大きなショックを受けた。私も、特権層にいるのだと打ちのめされていた。
 
どこかのメディアでも引用されていたが、同様に同じ箇所を引用する。

私は紙の本を憎んでいた。
目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、―5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知な傲慢さを憎んでいた。

市川沙央・著「ハンチバック」p.27

私は特権を利用して、町の小さな書店を2か所まわっても入手できず、
大型店舗で平積みされている残3冊のうちの1冊を手に取り、
暑さがしのげるまでの時間を利用して、そのままカフェで読み切った。

同日、在籍した大学のゼミのネットワークで
「読書バリアフリー」について先生といくつかの意見を交わした。
そして、先生は市川沙央さんと新井裕樹さんの往復書簡を紹介してくれた。

私が無知な特権者であることに「ごめんなさい」という申し訳なさと
無知であることを教えてくれた市川さんへ「ありがとう」という気持ちが
今もどっかり私の心の中に複雑に絡まったまま沈み込んでいる。
 

日本語学習者への読書バリアフリー

読書感想文の宿題の大前提は、
日本語で読んで日本語で書くというものである。
 
小中学生で、日本語に不慣れな日本語学習者は、
1冊を日本語で読むこと事態ハードルが高い。
例えば、翻訳本があるようなベストセラー
・「はらぺこあおむし」
・「ハリーポッター」シリーズ
・村上春樹 の著作 など
を読むにしたって、感想文を書く時には日本語で書くことを要求される。
 

そもそも、日本語以外の本を手に取る環境が、
学校の図書室や、地域の図書館や、町の本屋さんにあるだろうか?
 

―否、そんな環境は、ない。
 

Amazonなどで入手するにしても、
海外からの取り寄せる郵送料込みの本の価格は決して安くない。
 
多様な人が暮らすようになり、学校にも多様な子どもが在籍する中で
多言語話者・日本語学習者に対する「読書バリアフリー」をも
私はここに提言しておきたい。
 
読書感想文を書いて提出することについてはまた後日投稿します。


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