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経済

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2021年4月の記事一覧

政府債務と高度経済成長

反緊縮カルトが流布する「政府債務の増加が高度経済成長の推進力だった」について検証する。 1965年度に不況対策で公債発行されるまでは均衡財政で国債の残高は増えていない。 対GDP比は高度成長期の始まりと終わりでは+1%ポイントにとどまる。財政赤字は高度成長期の後半だけで、その寄与度も大きいとは言えない。 反緊縮カルトは息を吐くように嘘をつくので要注意。 付記一時的な資金繰りのための短期証券の増加は経済成長の「果」であって「因」ではない。対GDP比はむしろ低下している。

資金過不足の対GDP比

D.アトキンソンと脇田成が企業の過剰貯蓄を取り上げていたので、内閣府「国民経済計算」で確認する。 +/-(黒字/赤字)は純貸出/純借入(運用/調達)の意味で、利益/損失ではないことに注意。 この3つを以下の通りに接続。 1955~1979年度:1990年基準(1968SNA) 1980~1993年度:2000年基準(1993SNA) 1994~2019年度:2015年基準(2008SNA) MMT的に家計と企業を合わせて「民間」にするとアトキンソンと脇田が指摘する企業

日本の賃金が上がらない理由

D.アトキンソンに続いて脇田成も賃金が上がらない現象を取り上げているが、認識が古すぎて分析が足りていない。なお、以下では主に大企業について述べる。 画期は1997年だ。この年、不良債権の先送りが限界となって、山一証券や北海道拓殖銀行など金融機関が相次いで破綻し、金融危機が勃発した。 これ以降、日本企業は頼りにならない銀行を見切って、財務基盤強化にまい進した。さながら要塞を固めるように、銀行から借りていた金を返し、人件費を節約し、内部留保(利益剰余金)を大幅に積み増したのであ

大企業の労働分配率の推移

昨日の記事の補足。 このアトキンソンの記事の4ページ目に「日本の労働分配率の推移」のグラフがあるが、2000~2018年度と期間が短いので、大企業(資本金10億円以上)について1960~2019年度を示す。2009年度以降は純粋持株会社の分を調整している。 労働分配率とは付加価値(人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益)に占める人件費の割合のことだが、分母から支払利息等を除くと1980~1990年代の上昇トレンドが消える。 企業の人件費の抑制の度合い

アトキンソンの日本経済分析はほぼ正確~「ケチ」よりも「シビア」が妥当

D.アトキンソンが当noteと同じことを言い始めた。 議論の結果、「日本経済の最大の問題は、企業の緊縮戦略にある」ということで意見が一致しました。 「企業の緊縮戦略」とは、簡単にいえば、日本企業が労働者の賃金を下げるだけで、投資も増やさず、配当も控え、浮いたお金を内部留保金としてためこんでいることを指します。つまり、日本で内需が足りていないのは、消費にまわるべき個人のお金を企業が吸い上げて、貯金していることが原因なのです。 デフレの正体も、経済成長率が低いのも、ここに主因が

「自殺者急増」予想が外れた理由

自殺が1997→1998年のように急増して3万人を突破しなかったことは、テレワーク仮説を持ち出さなくても、二つの要因で説明できる。 僕は去年、自殺者が急増して、また3万人を突破すると考えていました。経済的な状況が悪化。家にこもることでセロトニンの出が悪くなる。他人に泣き言を言えない。一人酒が増える。治療が必要でも感染が怖くて病院に行かない……。これだけの悪条件がそろえば、自殺者が大幅に増えると心配したんです。 なぜなんだろうと考えて、仮説を導きました。テレワークなどをする

中野剛志の上野千鶴子批判

中野剛志は理解した上で方便として虚偽の説明をしているのか、それとも本当に理解していないのか分からないが、不正確な言説が多すぎる。 内閣府男女共同参画局の資料にリンクしてこのように書いているがミスリーディングである。 とりわけ、コロナ禍では、男性よりも女性の就業者数の方がはるかに大きく減少しました。 コロナ禍は、女性に対してより深刻な打撃を与えているのです。 確かに、コロナ禍の前のピークと渦中のボトムの差は男よりも女の方が大きいが、元々、女は季節変動が大きいサービス業に

「日本は唯一の衰退国」とデマを叫ぶために不適切なグラフを示す人々

反緊縮偽MMTカルト(教祖:藤井聡)の熱烈な信者になってしまった原口一博議員が、USドル換算GDPの1995年→2019年の増加率のグラフを日本が唯一の衰退国である証拠として頻繁に提示している。 同じものをアップデートされたデータから作成。OECD37か国中、トップ3がバルト三国で、唯一のマイナスが日本である。 上のグラフと同じ順に人口増加率を示す。バルト三国は日本以上に人口が減少していることから、原口議員は日本経済が成長しない原因は人口減少ではない、と主張している。

原口議員が「反論できるんだったら反論してほしい」と言うので反論する

原口一博議員が「消費増税でデフレスパイラルになったことに反論できるんだったら反論してほしい」と言っているので反論する。 藤井聡作成のこの一枚👇には四つの誤りがある。 ①デフレは1997年4月の消費増税からではない。 ②景気はバブル崩壊後の低迷から脱して拡大基調にあった。 ③消費は激減していない。 ④物価下落と需要減少が相互作用的に進むデフレスパイラルになっていない。 消費者物価指数が明確に低下トレンド入りしたのは、1997年4月の消費税率引き上げからではなく、その2年半

原口議員の挑発に乗ってみる

原口一博議員が藤井聡作成のグラフについて「この現象を違うという人がおられたら反論をお願いしたい」と挑発しているので乗ってみる。 グラフは厚生労働省「毎月勤労統計調査」から四半期単位のきまって支給する給与(実質)である。2020年Q3の98.1で終わっているが、Q4には99.5に上昇している。 2014年4月の8%引き上げ時に注目すると、急落は引き上げの前から進行している(赤マーカーは消費税率引き上げ直前の四半期)。 藤井と原口の説明では消費税率引き上げによって給与が名目

インチキ統計を批判するなら自己批判も

中野剛志が批判している「変な学者」とは藤井聡に間違いないと思われる。 そう言えば、アーレントだ何だと哲学者ぶって大衆社会批判や全体主義批判をしながら、統計学的な手法を振り回している変な学者がいますが、おそらく彼は何も分かっていないのでしょう。もっとも、その人は、その統計ですらインチキして大衆を煽動しようとしているから、論外ですけれどね。 ちょび髭とか生やして、まなじり吊り上げて怒鳴っているような顔には気をつけましょうとかですか(笑)。 藤井のインチキ的なグラフのナンバー