原口議員の挑発に乗ってみる
原口一博議員が藤井聡作成のグラフについて「この現象を違うという人がおられたら反論をお願いしたい」と挑発しているので乗ってみる。
グラフは厚生労働省「毎月勤労統計調査」から四半期単位のきまって支給する給与(実質)である。2020年Q3の98.1で終わっているが、Q4には99.5に上昇している。
2014年4月の8%引き上げ時に注目すると、急落は引き上げの前から進行している(赤マーカーは消費税率引き上げ直前の四半期)。
藤井と原口の説明では消費税率引き上げによって給与が名目ベースで減ったかのように聞こえるが、そうではなく、引き上げ後にむしろ増加している。
名目ではプラスだが実質ではマイナスなのは、デフレから脱却して物価が上昇したためである。
2013年と2019年(暦年)を比較すると、
きまって支給する給与(名目)+1.7%
消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)+6.8%
きまって支給する給与(実質)-4.7%
となる。消費税率+5%ポイントによるCPIの上昇は+3%弱と推計されているので、きまって支給する給与の実質ベースでの減少の主因はインフレ(←円安等)だったことになる。
きまって支給する給与の2021年3~5月の急落も、主因は2019年10月の消費税率引き上げ(+軽減税率導入)ではなく新型コロナウイルス感染症だったことは間違いない。
1997年からの日本経済の変調も、消費税率引き上げが主因ではない。
原口議員は藤井のグラフの前に、財務省作成のグラフ👇に意味不明の批判をしているが、
2000年代に給与が名目ベースで減少した主因は、大企業が株主主権論に基づく資本効率重視経営に転換して労働から資本への大規模な分配シフトが生じたためであり、消費税率の3%→5%への引き上げとは直接の関係はない。
消費税率引き上げが家計消費と経済全体の足を引っ張ってきたことは間違いないが、藤井はその影響をあまりにも過大評価している。というよりも、消費税以外の要因に気付かせないためにストーリーをでっち上げている感がある。
東京大学卒→松下政経塾の原口議員は藤井に心酔しているようだが、なぜこれほど明明白白なデマに引っ掛かるのか不思議である。
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