「日本は唯一の衰退国」とデマを叫ぶために不適切なグラフを示す人々

反緊縮偽MMTカルト(教祖:藤井聡)の熱烈な信者になってしまった原口一博議員が、USドル換算GDPの1995年→2019年の増加率のグラフを日本が唯一の衰退国である証拠として頻繁に提示している。

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同じものをアップデートされたデータから作成。OECD37か国中、トップ3がバルト三国で、唯一のマイナスが日本である。

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上のグラフと同じ順に人口増加率を示す。バルト三国は日本以上に人口が減少していることから、原口議員は日本経済が成長しない原因は人口減少ではない、と主張している。

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しかし、このデータそのものは正しくても、日本経済の分析に用いることは適切ではない。

上の成長率の順に1人当たりGDPを示すと、水準が低い国は高成長、高い国は低成長の傾向が見て取れる。

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上のグラフを1995年の1人当たりGDPの順に並べ替えると下になる。日本は3位、下の3つがバルト三国である。

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バルト三国の驚異的な経済成長は、旧東ドイツが西ドイツからの投資によって経済格差を縮めたこととほぼ同じで、先進国からの対内投資を積極的に受け入れてキャッチアップに成功したものである。他の東欧諸国やアイルランドも同様で、事情が全く異なる日本の参考にはならない。

そもそも、ドル換算GDPを成長率の比較に用いることが適切ではない。1995年は円が対ドルで史上最高に過大評価された年なので、この年を基準にするとその後のドル換算の成長率は大幅に引き下げられてしまう。

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1997-98年には金融危機があったので、1995年を基準にすると日本の成長率は相対的に低くなってしまう。日本経済のパフォーマンスを他国と比較するのであれば、バブル崩壊後のバランスシート調整がほぼ完了して新たな成長ステージに移行した時点を基準にするのが適当である。

世界経済がITバブル崩壊から立ち直り、日本も戦後最長の景気拡大期に入った2002年を基準にすると、日本の成長率はそれほど低くはない。

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旧共産圏やアイルランドなどの対内投資で急成長した小国を除いて自国通貨建ての1人当たり実質成長率を比較すると、原口議員が示すグラフと比べると全く違う印象になる。

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上のグラフから韓国とイスラエルを除く。マイナス成長はギリシャとイタリアで、日本は英仏と大差ない。

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反緊縮カルトは「日本は唯一の衰退国」と言いたいがために、経済成長率の国際比較には不適切なドル換算GDPや名目GDPを持ち出してくるが、反則である。

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