原口議員が「反論できるんだったら反論してほしい」と言うので反論する

原口一博議員が「消費増税でデフレスパイラルになったことに反論できるんだったら反論してほしい」と言っているので反論する。

藤井聡作成のこの一枚👇には四つの誤りがある。

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①デフレは1997年4月の消費増税からではない。
②景気はバブル崩壊後の低迷から脱して拡大基調にあった。
③消費は激減していない。
④物価下落と需要減少が相互作用的に進むデフレスパイラルになっていない。

消費者物価指数が明確に低下トレンド入りしたのは、1997年4月の消費税率引き上げからではなく、その2年半後の1999年後半からである。原口議員は未だにデフレが続いていると思っているようだが、8年前の2013年初には終わっている。

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2002年からはデフレ下でも戦後最長の景気拡大が続いたのでスパイラルには陥っていない(外需に牽引された成長)。

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原口議員は「消費増税→家計消費激減→デフレ突入」と認識してるようだがそうではない。

駆け込み需要の反動減が一段落した1997年Q3と景気の底の1999年Q1(グラフの赤マーカー)を比較する。

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激減したのは民間消費ではなく民間投資(在庫・設備・住宅)である。

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民間投資=民間住宅+民間企業設備+民間在庫変動
政府投資=公的固定資本形成+公的在庫変動

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1997-98年の大不況の主因は4月の消費増税ではなく11月に発生した金融危機である。

戦後日本で最も経済破綻が近かった日をあげるなら、ちょうど20年前の1997年11月26日である。多くの銀行で深刻な取りつけ騒ぎが起き、金融恐慌寸前となった。報じられなかった事実もふくめ、当事者たちの記憶をたどって改めて歴史に刻みたい。これからの私たちのために。

2008年9月のリーマンショックは世界大不況(Great Recession)を引き起こしたが、金融危機はその国内版で、信用収縮→実体経済の急激な後退→企業が債務・設備・雇用の「三つの過剰」の解消を本格化→デフレ突入、と展開した。デフレは消費増税ではなくバランスシート不況の産物である。

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原口議員が示したグラフは藤井聡の立憲民主党財務金融部会での講演資料にあるが、この中では金融危機について一言も触れられていない。原口議員もこの重大事を忘れているらしい

原口議員は「税金は財源ではない」と力説するなど、藤井聡が教祖の反緊縮偽MMTカルトに完全にはまってしまったらしい。影響力が拡大しないことを祈る。

付記

👇は財務省の国庫制度の解説。現行制度では税金は国の財源である。

国は、外交、国防、警察などのほか、社会資本の整備、教育、社会保障などの国民生活に必要不可欠な公共サービス等を提供するため、「税」という形で国民から調達しています。
国は、そのための財源として税金や国債等により民間部門から資金を調達して支出を行うといった財政活動を行っており、その所有する現金である国庫金を一元的に管理して効率的な運用を行っています。

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