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【注目】事業拡大のカギを握るPRMとは!海外で急増するPRM。スタートアップ企業も続々と誕生か。

こんにちは!Preventure編集部です!

今回のテーマは「PRM」です。近年海外では急速に普及し始めているPRM。代理店ビジネスを行う上で必要不可欠なPRMは大きく成長しているビジネス戦略手法の一つです。日本ではまだ馴染みはありませんが、世界的潮流と今後の市場の動きを掴む上でPRMは欠かせない要素です!今回はそんなPRMがなぜ注目されているのかや、国内外の市場動向、スタートアップの実例などについてまとめます!

PRMとは


PRMとは「Partner Relationship Management」の略称であり、ベンダー代理人、すなわちメーカーとパートナー企業の関係をよりよくするためのビジネス戦略です。日本でより普及している戦略としてCRM(Customer Relationship Management)があります。これはメーカーや販売代理店が顧客との直接的な関係に根差したものです。この考え方を実際にメーカーと代理店の間に応用させたものがPRMです。PRMは利害に関係する双方にとってWIn-Winな関係を構築することが可能です。

アライアンス戦略が注目される背景


まずは、代理店と契約を結び事業の展開を狙うアライアンス戦略について確認しましょう。

代理店販売のメリット

同盟を意味するアライアンスですが、昨今では外部と事業提携することで、新規事業や事業拡大を狙う戦略が注目されています。パートナー販売を行う利点は以下の通りです。

・すぐに事業を始めることができる

企業が新規で事業を始める際に必要となるのが、人材流通経路です。どちらも教育や開拓するには多大なコストがかかり、スピーディーな事業展開を行うことは難しいです。しかしパートナー販売の手段をとることで、既存の人材や流通経路を利用でき、効率的な事業運営が可能になります。

・リスクが小さい

パートナー販売を利用するメリットの二つ目は、リスクが小さいことです。一から事業を展開し失敗・撤退を余儀なくされた場合、その事業にかけた時間や資金の多くを失ってしまいます。一方で、代理店を介してビジネスを行うことで、失敗した際のリスクをある程度軽減することが可能です。

ベンダー企業には課題も


パートナー販売には上記の通り、いくつかのメリットがあります。

そこで、ベンダー企業側は代理店と契約し、事業を展開します。しかし、アライアンス戦略において、ベンダー企業が代理店を含めたビジネスを自社だけで100%管理することができないというデメリットがあります。また、それらの事業から得られるはずだったノウハウが蓄積されず、企業としての成長が妨げられてしまう課題も存在しています。これらのことから事業グロースの実現はとても難しいものであるとわかります。

アライアンス戦略の課題


ここで、アライアンス戦略の課題を契約前と契約後に分けてご紹介します。

代理店との契約前

代理店との契約前には

・提携を行う適切な代理店を見つけることが難しい
・契約の詳細を決めることにコストがかかる
・契約することで本業とのシナジー効果が期待できるのか見極める必要がある
・連携先企業の信頼など、確認しなければならないことが多々存在する
・双方の理念や価値観を擦り合わせなければならない

などの課題があります。

代理店との契約後

代理店との契約後には

・代理店の進捗を自社が管理しなければならない
・本社の意向を100%反映することが難しくなる
・自社に販売ノウハウが蓄積されない
・販売手数料などコストが別途必要になる
・エンドユーザーである顧客の顔が見えず、細かな経営支援が難しい

などの課題があります。

PRMツールの導入が増加

ベンダー企業にも代理店にもメリットのあるアライアンス戦略ですが、契約に至るまでにも上記のような課題があります。そこで、これらの課題を解決する為に、PRMを導入する企業が増えています。

PRMの最初のステップとして一般的には代理店ビジネスを始めるにあたっての戦略制定を行います。その戦略をもとにして契約形態やインセンティブを決定し、代理店との契約をする準備を進めます。これらを行うことで自社の戦略に合致した適切なパートナーを見つけることが可能になりますし、投入することのできる資金に目安をつけておくことで、過剰な出費を抑えることができます。また、代理店とも売上の増加という共通した目標があるため、意思決定など自社の意向でなくとも双方の利益になる方向へと進むことができるでしょう。

PRMツールの主な機能


次にPRMツールの機能をご紹介します。詳しい機能はサービスによって異なります。ここでは、多くのツールで搭載されている一般的な機能をご紹介します。

パートナーのデータベース構築

提携しているパートナーの実績を管理することができます。これによって、どの程度のグロースが見込まれるのかなど、企業としてのポテンシャルを可視化することができます。

資料や商品情報の一括配信

クラウド上でパートナーに新たな情報を発信することができます。これにより、パートナー側との情報の偏りをなくし、もれなく情報収集、共有することができます。また、その情報への反応やログで、パートナーのエンゲージメントを把握することもできます。

案件進捗・報酬の一元管理

先ほどは新しい情報の送受信が可能だと言いましたが、これは互いの進捗など最新の情報を常にアップデートできるツールとなっています。これによって逐一パートナーと連絡、確認をとる必要がなく、円滑な業務が可能となります。

国内事例

ここで、アライアンス戦略によって成果を上げた国内の事例をいくつかご紹介します。

Retty株式会社

Retty株式会社はグルメプラットフォーム「Retty」を運営しています。Rettyは2018年にYahoo社と戦略的パートナーシップを締結しました。その結果、2019年のコロナ禍により飲食業界が打撃を受けるまでユーザー数は右肩上がりを記録しました。このことから、Rettyはアライアンスをうまく活用して売上の拡大を実現したことがわかります。

LINE WORKS

「LINE WORKS」を運営するワークスモバイルジャパン株式会社はビジネスチャット市場で活躍している企業です。競合他社であるMicrosoft Teams やSlackとは異なり、中小企業向けの市場をメインターゲットとしています。その傾向はセールスパートナーにも見られます。

中小企業庁の公表した資料によると、「デジタルツール・クラウドサービス提供者」が中小企業・小規模事業者にダイレクトセールスでサービス提供を行う割合は24%であり、自社だけでのセールス活動においてリーチすることのできない顧客が存在することがわかるでしょう。実際に提携先の多くは地方のベンダーであり、大手ビジネスチャットサービスがリーチできない顧客の開拓を進めているようです。

エイトレッド

株式会社エイトレッドはワークフロー製品の開発、販売を行う企業です。ワークフロー製品とは、企業のさまざまな業態にかかる稟議、承認、決裁に至る事務フローを電子化し、業務の効率化、自動化、内部統制の強化を図る製品の総称です。

エイトレッドでは売上全体のおよそ90%をパートナー経由で販売しています。同社はアライアンスパートナーとして14社と契約しています。この契約によって各企業で「X-point」導入におけるシステム構築の展開などを行なっており、提供サービスの質向上や効率化を実現しています。

アメリカのPRMの市場

多くのPRMサービスはアメリカで作られており、市場としてもアメリカのPRM市場が最も成熟していると言えそうです。アメリカのコンサルティング会社によるPRM市場調査によると2020年のPRM市場規模は548億2000万ドルと評価されています。また、2021年から2028年にかけて14.9%の年平均成長率を記録するのではないかと予想されています。

業界別PRMツール導入状況


業界別のPRMツールの導入状況は以下のようになっています。

1位:IT通信事業

PRMツールの中でも最も大きなセグメントを占めているのがIT通信事業業界です。IT市場は現在最も成長著しい産業であり、市場が拡大しているからこそPRMツールの人気が上昇しており、今後もPRMの需要増加が見込まれます。

2位:製造業

IT通信事業の次に大きなマーケットシェアを持つのが製造業です。製造業界はPRM市場の22.6%を占めています。製造業は小売業界などと強くつながっており、製造ラインの管理や在庫管理、流通経路の確認などPRMを利用できるシーンが多く存在しています。その結果として他の業界と比べて高いPRM導入率を記録したのだと考えられます。

3位:金融

第3位は金融事業です。金融業界は現在デジタル化が進行しています。その一環としてPRMツールも急速に業界に普及しており、年平均成長率は15.6%とIT業界や製造業界よりも高い数値であることからも、PRMの動向を最も注視するべき市場であるとも言えそうです。

PRMのデメリット


PRMツールにもいくつかのデメリットが存在します。

代理店と自社双方にメリットが生じる体制を構築する必要がある

パートナー企業として選定する際には自社の戦略に合致した企業を選ぶことになります。しかし、自社の利益になるだけではなく、契約する代理店側にもメリットのある関係を築かなければなりません。

自社だけでは運営できない

PRMは自社とパートナー企業の2社で運営していくことになります。そのため代理店側の意向を尊重し、協議を重ねていく必要があります。この点で時間的コストなどがかかり、慎重な運営が必要になりそうです。

海外のPRMスタートアップ企業


ここでは、海外のPRMスタートアップ企業をご紹介します。

Sales Cloud 

Sales Cloudとは、セールスフォース・ドットコムが提供するPRMツールです。営業活動の効率を高めることができる、取引先管理や案件管理などの機能を備えています。顧客管理を一元的に行うことで生産性を高めます。

PartnerStack

PartnerStackはパートナー管理関係プラットフォーム、及びマーケットプレイスです。同サービスは、ただパートナーシップを管理することだけではなく、両者の経常収益の増加を達成するよう設計されているため、導入することで両者にとってメリットがあると言えそうです。

Kiflo

Kifloはパートナー営業支援のサービスを提供しているフランス企業です。パートナー間で最新の情報を共有し、営業活動のプロセスを能率化することが可能です。

Trackier

TrackierもPRMツールの一つです。他のサービスとの大きな違いはAIを導入してあるという点です。AIが搭載されていることで、合理的なソリューションを提供し、利用者は自身の企業成長に専念することができます。

Fxiaoke

Fxiaokeは中国を拠点とするPRMスタートアップです。主なサービス内容はオペレーションやサプライチェーンマネージメントをサポートするものです。サービス利用社の多くはその効果を実感しており、企業成長を加速させているそうです。

Oracle NetSuite

Oracle NetSuiteは世界32,000社もの顧客を抱えるサービスです。企業の規模段階に応じたサービスが利用可能であり、企業の成長とともにそれに適したサービスを使うことが可能になります。

国内のPRMスタートアップ企業

最後に国内のPRMスタートアップ企業をご紹介します。

AppDirect

AppDirectはクラウドサービス販売に優れたプラットフォームサービスです。さまざまな機能を備える同社のサービスですが、そのうちの一つにリセラーネットワークの構築があります。これにより、間接販売チャネルを拡大することが可能です。

PartnerSuccess

PartnerSuccessはベンダー・パートナー企業間での契約管理から販売資料の提供、案件管理などさまざまな業務を集約・可視化することで、無駄なコストを削減し、パートナービジネスを拡大することを可能にします。

Zinfi

ZinfiはRed Hat社が提供するコミュニケーションツールである。同サービスを利用することで集客や見込み客の情報をパートナーと共有することが可能です。また、販売促進のためのeメール配信やウェブサイトの構築なども行なっています。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回の記事では「PRM」を紹介してきました。日本では依然普及していませんが、世界ではすでに大きな市場を形成しています。日本でも普及するのかどうかは、現在進みつつあるDX化の波にPRMサービスも乗ることができるのかだと考えられます。新たな顧客を開拓できるというPRMの利点は、伸び悩んでいる企業にとっての救済になり得るでしょうか。

最後に。。。

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