五月

小説も書いています🎏 http://bit.ly/3cInzZk

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マガジン

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    大学生の時に別のアプリで書いてたものです

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    本読むの好き

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日の当たらない寵児たち

インターネットで小説を書くようになって、約1年と半年が経ちました。 ありがたいことに、いくつかのコンテストで賞をいただき、その略歴をやっとプロフィールにまとめて記載しました。 自分の中で、コンテスト用に書いたものと、そうでないものとでは明確な差があります。 しかしそれは断じて、モチベーションの違いではなく、読み手の方(審査員?)に対しての意識や、お題に対しての脱線をどこまで小さくとどめられるかなどの制約的なものだったりします。 サイト内に投稿した作品はどれもお気に入り

    • 聖地巡礼

      アニメや漫画で取り上げられた土地に訪れることを、聖地巡礼というらしい! それを一回やってみたくて! 今年いちばん面白かった小説がちょうど神戸〜十三を舞台にしてたので、私も聖地巡礼をやってみました。 李龍徳先生『死にたくなったら電話して』 読まれた方いらっしゃいますか? 数年前に文藝賞を取った作品らしいです。 帯に書かれてる通り希望も光もない小説なんだけど、私はこの作品が大好きで。 まさにファムファタール。山中初美になら人生壊されても仕方ないとまで思える。 「パンダを

      • 章節

        自分には本当に仲良しな友達ができないと、 嘆いていたのを聞いて叫びだしたくなった。 私はあなたともっと近しくなりたいのに! 恋愛が駄目になるたびに、減ってしまった友達の数を思う。気軽に連絡してもいいものか、と考える時間がいちばん寂しい。 人間をやるのが、今でも苦手だ。 私にとって、自分自身を話すことは、裸を見られることより恥ずかしいのかもしれない。 小説の良いところは、すべてが実体験でも創作でも、或いは両方によって構成されていたとしても、面白ければなんでもアリなと

        • 本棚の物語

          『ぬるい眠り』についたなら、『それは秘密の』物語。 『坂の途中の家』から飛び出して、向かった先は『東京タワー』。 僕らは『宇宙のみなしご』で、『死にぞこないの青』を身に纏う。あの『少女』も、きっと、同じ。 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』が流れ始めた。『サーカスの夜に』ふさわしいメロディー。 これが僕の『ファーストラヴ』。 勇気を出して彼女に『告白』。 『ぼくは勉強ができない』けれど、たったひとつ、自信を持って言えるよ。君は『美しい人』だって。 『約束』をす

        日の当たらない寵児たち

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        記事

          好きなものを好きだと言う

          「トマト、チョッキンチョッキン、したー」 これは私が生まれてから初めて口にした文章です。めちゃくちゃに可愛いですね。子どもの頃、皆さんのお家にもありませんでしたか? マジックテープでくっつく、おもちゃの野菜と包丁。おままごとで使うヤツです。 トマトを包丁で切ったよ、それが私の「初文章」です。 母はその言葉を聞いて、天才だと思ったそうです。今まで単語しか口にしなかった我が子が、こんなに幼い我が子が、順序を間違えることなく文章を成立させている。この子にはきっと、文章を組み立

          好きなものを好きだと言う

          【読書録】サン・テグジュペリ『星の王子さま』

          本を読むのが好きだ。文章を読むのが好きだ。 いや、私はただ、文字を読むのが好きだ。物語性なんか無くてもいい、有益な知識や情報が増えなくてもいい。ただ文字を読むことが好きだ。 例えば、ペットボトルのお茶とか、コンビニで買ったシュークリームの裏に書いてある「品名・原材料名・保存方法」とか。トイレの壁に書いてある、頭の悪そうな落書きとか。 私はそういうのだって必ず読んでしまう。それくらい好きだ。読むことの楽しい所は、いつだって何かを知れることだと思う。それが本当にどうでもいいこ

          【読書録】サン・テグジュペリ『星の王子さま』

          【読書録】道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

          「嘘も100回言えば、本当になる」 と唱えたのは、ナチスの宣伝塔であるヨーゼフ・ゲッペルスである。 「もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。」が直訳だ。 そんな経験って、誰にでもあるんじゃないか。 自分にとって都合が悪いことが起きた時、言い逃れをするために思わず嘘を吐く。その嘘を何度も重ねていくうちに、いつの間にか自分が吐いた嘘の方が真実であるように錯覚する。 私はこれを、『恣意的な思い込み』と名付ける。 カップルの痴話喧嘩に

          【読書録】道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

          人間なのにえらいね

          社会人になって、昼食用のお弁当を自分で作るようになった。 初めは簡単なものばかりだったけど、最近は少し手の込んだものも作れるようになって嬉しい。 昨日の「照り焼きチキンと鶏そぼろ弁当」は、自分でもなかなかの出来だったんじゃないかなと思う。 自分が料理をするようになったら、人の料理にも興味を持つようになった。 インスタグラムでお弁当の写真をアップする主婦や、「#おべんたぐらむ」という少し笑ってしまうような可愛らしいハッシュタグを、私はフォローしている。 そんな中で、3人

          人間なのにえらいね

          故意に恋する

          「恋に恋する女」は滑稽か。 私は俄然、可愛いと思うし、恋に恋していた昔の自分も可愛かったと思う。 「朝目が覚めて、真っ先に思い浮かぶ君のこと」 「思い切って前髪を切ってみたの。『どうしたの?』って言われたくて」 これは私が好きな歌、メルトの歌詞。 自分の行動全てに彼を結びつけてしまうような、世界の中心を彼にしてしまうような女は、浮世離れで頭が悪くてちょっと痛くて、それでもやっぱり、可愛くて愛すべき存在。 どうして私がこんなことを言うかって、私自身が「故意に恋する女」に

          故意に恋する

          自己紹介は終わらない

          去年の冬、氷川きよしさんは「きよし君にはさよなら。きーちゃんとして、私らしくという感じです」と自らの今後について語った。 "きよし君"とは、これまで築いてきた演歌の貴公子の姿。違う顔の自身を"きーちゃん"と表現した。 この報道を受けた当時、私は動揺することも心を動かされることもなかった。「ふーん。そうなんだ」と思ったくらい。本当にそれ以外、何も感じなかったのだ。 まだまだ数は少ないにしろ、昨今の日本で芸能人のカミングアウトは衝撃的なものではなかった。 彼らの今までの苦

          自己紹介は終わらない

          さっちゃん、最強でいてよ

          「恋」から「性欲」をマイナスすると「信仰」が残る。 思い返せば私の初恋相手は、女の子だった。 同性に対する憧れや執着が、異性に抱く恋心より勝ることって、誰でも一度はあるんじゃないだろうか。特に思春期を迎える前までは。 少なくとも私はそうだった。 小学生の頃の私は、同い年の男の子たちをガキっぽいと感じていて、ある一人の女の子を全知全能の神様みたいに信仰していた。 私の初恋の相手は、「さっちゃん」という女の子だった。 * さっちゃんは、私が通っていた中学受験塾の女王

          さっちゃん、最強でいてよ

          【読書録】早見和真『イノセント・デイズ』

          生きることとは、無数にある点を繋いで線を描くことだ。 それなのに私たちは点だけを切り取って、誰かを分かったつもりで評価する。 「そういうタイプだよね」とか「なんかいかにもだな」とか。 「不倫なんかじゃないかもしれないのにね。夫婦かもしれないし、恋人かもしれない。親子かもしれないし、兄妹なのかもしれない。そんなこと私にはわからない。わからないくせに決めつけた。全然ダメだ。全然成長してないよ」 p.456 これは物語には直接関係の無い言葉だけど、読み終えてからも頭から離れな

          【読書録】早見和真『イノセント・デイズ』

          話さない彼女と聞かない私

          ある女友達を、私はすごく好きだった。 どんな所にいても、いつの間にか場の中心に立っているような子だった。彼女はよく笑い、素直で、賑やかで、おしゃべりの話題も豊富だった。 自分の思いをストレートすぎるくらいに伝える子だったから、彼女を苦手に思う人も少なからず居たかもしれない。 だけど、私は彼女のことが大好きだった。 一度、彼女に向日葵の花を贈ったことがある。 色鮮やかで真っ直ぐ伸びる、太陽に似た花。花言葉は「憧れ」らしい。彼女にピッタリだと思った。 彼女は私にとって「憧

          話さない彼女と聞かない私

          見た目が全てじゃないけれど

          見た目が全てじゃないこの世界を、憎いと感じることがある。 もちろん私は、突き抜けて優れた容姿を持っているわけではないんだけど。至って平凡な見た目なんだけど。 「見た目」は、人間を構成する全ての中で努力や補正が可能な部分だと思う。 自分の素の顔が気に入らないなら、化粧で誤魔化せばいい。それでも駄目なら整形すればいい。体型も髪型もファッションも同じで。 そしてこれらは、比較的簡単な努力と短期的な時間で叶えることが出来る。 お金や時間を費やせば、見た目はいくらでも変えられる

          見た目が全てじゃないけれど

          【読書録】中村文則『教団X』

          戦争に代表される全体主義的思想を支えるのは「気持ちよさ」であり、軽薄な自己が大義に飲み込まれることで人間の凶暴性は解放される。 戦争の裏にあるのは大国たちの思惑で、そこには愛国心や世界平和への祈りなど存在しない。兵士より民衆より重要視されるのは、巨大化した軍需産業が利益を得ること。戦後の復活で利益を得ようと目論む企業たちも存在する。企業の利益のために多くの人が死ぬ。それが戦争の意義で、戦争が無くならない理由で、この世界の構造。 「やりがい搾取」や「愛情の搾取」っていうのか

          【読書録】中村文則『教団X』

          未来、愛しかない

          今日の集団面接で「皆さん既にお気づきだと思うんですけど、私は男です」と言った子がいた。 私には充分なLGBTへの知識がないから正しい言い方なのか分からないけど、トランスジェンダー?って言うのかな。 身体は男性で、心は女性の子だったんだと思う。 集団面接の前にグループディスカッションがあったから、その時に何度か話もしてたんだけど、私は自分のアピールに必死で気付いてなかった。だから、凄くびっくりした。 「自分のことを話して面接官に嫌な顔をされたこともあります。今日、こうやって

          未来、愛しかない