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故意に恋する

「恋に恋する女」は滑稽か。

私は俄然、可愛いと思うし、恋に恋していた昔の自分も可愛かったと思う。

「朝目が覚めて、真っ先に思い浮かぶ君のこと」
「思い切って前髪を切ってみたの。『どうしたの?』って言われたくて」

これは私が好きな歌、メルトの歌詞。
自分の行動全てに彼を結びつけてしまうような、世界の中心を彼にしてしまうような女は、浮世離れで頭が悪くてちょっと痛くて、それでもやっぱり、可愛くて愛すべき存在。

どうして私がこんなことを言うかって、私自身が「故意に恋する女」になってしまったからだ。

私の最後の片想いは19歳だった。

彼の顔は確かにかっこよかったけど、私は多分彼の内面が好きだったはずで、入学してなかなか友達が出来なかった私を気遣ってくれる優しさに心を奪われたはずで、その優しさが月日が経つにつれて損なわれても、私はずっとずっと好きだった。

彼が私のことを好きじゃなくても好きだった。
私のことを好きにならない彼だからこそ、もっと魅力的に感じた。

19歳、私は恋に恋していたし、19歳の私は3年分大人になった今より、きっとずっと可愛かったと思う。

9月に彼氏が出来た。もうすぐ初めての記念日。
1年と1ヶ月ぶりの彼氏だから、去年の12月をカウントしたとしても9ヶ月ぶりの彼氏だから、もうちょっと浮かれてもいいはずなんだけど。
私はすこぶる落ち着き倒している。

私、今の彼氏のことすごく良い人だなと思う。
とっても優しいし、その優しさが押し付けがましくないところが魅力的。

だけど彼は「故意に恋した」人だなと、どうしても思ってしまう。

引け目を感じない程度の高いスペックと、私でも言い負かせそうな気の弱さと、何故か私をすごく気に入っている態度を見て、「この人となら上手く出来そうだな」と、打算で好きになってしまった。

私の選択は間違ってない。絶対に。いや多分。
前の彼氏は付き合った日から、「ミスったな〜」と後悔したし(失礼)、前の前の彼氏ならもう既に3回は喧嘩してた。

今の彼氏と喧嘩するところ、まったく想像出来ないなと思う。
ウザいこと全然言わないし、ケチじゃないし、
私の問題を自分のことみたいに捉えてくれるし、怒ってないのにすぐ謝るし、結構気が弱くて頼りないけど、それもまあ可愛いのかなと思えてきた。

多分、今は、幸せ。
だけど、もしかしたら「幸せ=好き」ではないのかもしれない。
少なくとも「幸せ=面白い毎日」の方程式は絶対にあてはまらない。

夜、好きな人を思い出して、泣いてしまうような恋がしたい。

私には情緒不安定が丁度良いのかもしれない。

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