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【読書録】早見和真『イノセント・デイズ』


生きることとは、無数にある点を繋いで線を描くことだ。
それなのに私たちは点だけを切り取って、誰かを分かったつもりで評価する。

「そういうタイプだよね」とか「なんかいかにもだな」とか。

「不倫なんかじゃないかもしれないのにね。夫婦かもしれないし、恋人かもしれない。親子かもしれないし、兄妹なのかもしれない。そんなこと私にはわからない。わからないくせに決めつけた。全然ダメだ。全然成長してないよ」
p.456

これは物語には直接関係の無い言葉だけど、読み終えてからも頭から離れなかった。本当にその通りだと思った。

誰かの人生の一部分だけを見て、自分勝手に解釈してはいけない。
これは「悪い解釈」だけではなく、「良い解釈」にも当てはまる。

自分の恋愛観がまさしくそうだった。

正直言って、私は異性と長続きしない。
最初は彼を大好きだったはずなのに、日を追うごとに相手の悪い部分ばかり目についてしまう。
それは私が、彼の生きてきた線ではなく点だけを見て「(都合の)良い解釈」をし、自分にとっての理想の彼を創り上げるせいだと思う。
だから彼の持つ他の点を見た時、自分勝手に幻滅する。そんな人だと思わなかったなんて、一丁前に被害者面をする。
彼が変わったのではない、私が彼を見ていなかっただけなのに。

その人の「点」だけを切り取って幻想を愛すのではなく、「線」まるごとを認められる人間になりたいと思った。



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