パオン

小話を書きます。いままで書いたもの→ https://kaerenakunatta.t…

パオン

小話を書きます。いままで書いたもの→ https://kaerenakunatta.tumblr.com/

最近の記事

1/22 LA

今日も朝から学校へ行った。毎週月曜日はテストの日だ。狂ったようにノートを単語で埋めたのでなんとかなるだろうと思い、ルンルンと歩いていたら川のような水たまりに片足を突っ込んでしまった。そう、今日は大雨だったのだ。神経質で繊細なのがわたしの特徴ではあるが、なんかあんまり気にならなかったな。セブンイレブン産のクッキーを買い、バスを待っているあいだにもぐもぐ食べた。しっとりしていて悪くないねえ。 テストは良い点数が取れて嬉しかった。みなさんももうおじさんおばさんになっていると思いま

    • 1/21 LA

      今日は友達の家に洗濯をしに行きました。なぜならわたしのホームステイ先では洗濯機を使わせてもらえず、毎回10ドルくらい払ってコインランドリーに行かなければならないからです。 そしてスターバックスで冷たい飲み物を飲んで(友達はいちごのかわいいのを飲んでいました)、ストレンジャーシングスをたくさん観ました。暗い画面は見づらいのですが、それについて友達が「スターバックスは映画鑑賞用に作られていない」と言っていたのが面白かったです。ひとまわり年下の友達ですが、年齢のことなどまったく気

        • 1/19 LA

          またひとり友達が卒業した。めでたい。 別れというものは、うしないつづけるものだと今までずっと思っていた。しかし、ここへ来てから、そうでもないのかもしれないと思うようになりつつある。友人との別れが当たり前のことになったからではなく、"このひととはまたどこかで会えるだろう"と思うようになったのだ。 わたしは、喪失に抗う唯一の方法は再会であると信じているし、じっさいにそれを信じうるだけの体験もした。過去と未来は時々ほとんど同じで、現在がイコールの役割を担っている。だから未来のた

          12/8 チャイナタウンでつかまえて

          結論から言うと、American Ramenは食べられなかった。なぜならふたりも友達ができてしまったから!ふたりの友達といっしょにハンバーガーを食べた。ハンバーガーを食べながら、ディズニーランドへ行く計画も立ててしまった!ハンバーガーを食べながら、このあといっしょに出かけよう!と誘われてしまった!出かけた!ハンバーガーはすごくおいしかった! 今朝はいつもよりゆっくりめに家を出ていつも通り警備員とあいさつを交わし、ゆっくりめのバスに乗ってみたが、学校にはいちばん乗りで着いた。

          12/8 チャイナタウンでつかまえて

          12/7 LA

          毎朝6:30に起きているがそんなに早く起きる必要はないのではないか?と思いつつも、7:00に起きる勇気はまだ無く(バスがいつくるのか分からないのだ)、今日も6:30に起きていつも通りのシリアルとパンとみかん。それから朝の薬を飲み、コンサータで目を覚まして頭を整理して学校へ向かう。いつもの警備員は今日は少し離れたところにいたが、離れたところから手を振ってくれた。わたしたちは仲が良い。あれからリスは見かけていない。 学校に着くと、なにやら分からん、分からん分からん。眠くて涙が出

          12/5 LA

          6:30起床。朝食。パン、シリアル、クッキー2枚。シリアルは牛乳ではなくココナツミルクに浸して食べている。 あれしてこれして通学。通学途中でリスを発見。 きのうと同じ場所で同じ警備員とグモーニンを交わす。 きのう初めて語学学校へ行ったのだが、困ったことにバス停の場所を忘れてしまった。困っていても時は進む、どうにかしようと思い個人経営のコンビニのようなところで水を買ったついでにバス停の場所を聞く。わたしはサンタモニカへ行かなければならない。英語を学びに。親切な店員さんとそばにい

          わたしはげんき?

          「文章を、小説を、まあ何らかのものを書くというのは相手に何かを渡すこととよく似ている」というようなことを旧友が何らかの場所に書いておりまして、私はその文章をどのように受け取ったのだろうか、友人はその文章を私に、または別の友人たちにどのように渡したのだろうか。  私がその文章(前述した友人の文章)をはじめて受け取ったのは、かれこれ、うーむ、。8年前、いや、そんなに経っていないかもしれない。しかし、当時の体力などを思い返すと、8年ほど前なのかもしれない。とにかく、逆算して考えてみ

          わたしはげんき?

          構想する都市

          これは完結している。

          構想する都市

          はとぽっぽ

           ミーコとそこらへんを適当に歩いている。ミーコは本名、なんていうんだっけ。長く居すぎて忘れてしまったけれど、僕がミーコって呼ぶと振り向いてくれるのはミーコだけだし、僕がミーコって呼ぶのもミーコだけだ。なんだっていいんだよ。その証拠に僕の左手はあったかい。  僕はミーコとああでもこうでもない話をしながら歩くのを心地よいと思っている。ミーコはどうだか知らない。聞いたこともないし、ミーコから言ってきたこともない。そういうことは言わなくてもいいって、僕は思っている。  ミーコは鳩とか

          はとぽっぽ

          ぼくは元気

           外出禁止令が出てぼくが部屋から出なくなってからかれこれ10年がたった。テレビでは相変わらずマスクを購入するために長蛇の列ができている様子が映されているし、トイレットペーパー類も品切れが続いているらしい。スーパーマーケットの店員が怒鳴られたり暴行を受けたりと言ったニュースも月に一度は必ず見る、毎月20日にだ。  自己紹介がまだだったね。ぼくはいま30歳で、10年前は20歳だった。当たり前か。きみもそうだろ、10年前はいまの年齢から10引いた歳だった。  ぼくは、居酒屋という

          ぼくは元気

          マヌケ戦法

           おねしょというのは、最近はしていなかったのですが、やっちまった。酩酊、朝方、なぜか炊き上がった米3号に、5時ちょうどから2分おきに鳴る携帯電話の目覚まし機能。止めても止めても止めどなく気の狂ったサイレンが鳴る。誰が鳴らしている? 甲子園球児の見る悪夢の冒頭に鳴るサイレン。それで、私の昨晩が綴ってある本は一体誰に貸出中だ?  部屋の中で割れている一升瓶と12回もの大家からの不在着信、110番しようとした形跡、いのちの電話、いのちの電話、水道レスキュー。こりゃまずいなと焦りサイ

          マヌケ戦法

          鯖の踊り子

           渋谷区は午前10時。春近く、子供が家出をする時間。一本足の灰皿を蹴飛ばしているあいだにうまく逃げるんだよ、お前。お前だよ。後ろに誰かいる? お前しかいないだろ。  メビウスとハイライト、それからラークの灰が混ざり舞う様はさながら花咲じじいのよう。セキュリティソフトのアップデートを毎日促してくるパソコンにウンザリするくらいの覚悟でお前が抜け出そうとしている家のセコムを壊してみせましょう。人間は犬に食われるくらい自由だが、お前にはもっと質の良い自由を与えよう、なんて考えているあ

          鯖の踊り子

          なんもしない

           駅前、パン屋が開いてる。おいしそうだなあ。パチンコ屋の広告に隠れて、新作パンが控えめに並んでる。おいしいんだろうなあ、たぶん。ひとつ買って、ベンチで食べたら、教えてあげたい。駅のパン屋のあたらしいパン、焼き立てでね、それから。ちょっと甘くて、あとは忘れちゃう。  コンビニ、ずっと開いてる。眠らないのは分かるなあ。眠れないのはどこかで夢を見るひとがいるからだといいなあ。ずっとしあわせな夢が見られたら、きっとそれはいつまでもあったかい、焼きたてのパンみたいに。コンビニでは売ら

          なんもしない

          もういいよ

           バカに破かれた地図が海岸線を崩してる。あいつら笑顔で破いたけれど、こっちはそれどころじゃあねえよ。そんなまぐれのツーペアでは勝てっこねえだろ。  セロテープの慈悲もなし、すぐに剥がれてしまう。串に刺さった砂肝か?そんくらいつよく、つよく結びつけたけりゃカラビナだろって、英単語帳みたいになった地図の、「apple」の裏にあるあなたのおうちの地図。いまはどうだろ、灯りはまだついてるのかな。誰もいないたこ焼き屋みたいなさみしい灯り。  ぼくの青春は英単語帳の予言みたいになって、

          もういいよ

          決して働くな

           ムームーは常に頓服薬を持ち歩いていた。ふるいミッキーマウスが描かれた、かわいいブリキのピルケースに入れて。私たちがオセロタウンに行く夜行バスに乗っていた時も持っていた。薬と間違えてオセロを飲むんじゃねえよ、そして、オセロと間違えて薬をひっくり返すな、裏は黒くない。私たちはどの面も白い。つまり、面白い。おかしみのある私たちだ。ところで、それはいつ飲むんだい?と、夜行バスの中で私は何度か尋ねていたが、さあね、とはぐらかされるだけであった。  また、ムームーは殉教願望があった。

          決して働くな