リカえもん

おだてられて書くことをはじめました。 小説などを書きます。

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マガジン

  • 【いぬちゃん物語シリーズ】

    かわいいいぬちゃんのお話です。

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薄色半色 うすいろはしたいろ

 いぬは神妙な面持ちでお母さんの言う事にみみを傾けていた。理屈に通らない小言から発展して「居候の癖に偉そうだ」とか「何もしてない癖に太って憎たらしい」とか「毛が汚い」とか嫌な事をたくさん言っていた。最後にいつもの決め台詞「言う事を聞けないなら出ていけ」があって、嵐は去った。  この嫌な人間一号は、わたしだけに人格を蹂躙する言葉をずけずけと飛ばしているのかと思ったらそうではなかった。いぬちゃんにもそうだし、お父さんにもそうだ。お父さんとお母さんの喧嘩を見るたびに、もう別れちゃ

    • ともだちでいよう

      近ごろ、激烈な体験が足りない。 おひがしさんの風もすっかり大昔のことに感じてしまう。まだひと月も経っていないのに。 今年起きた新しいことを指折り数えてみると、人間のじゃ足りないくらいあった。ムカデの足を借りてやっと足りるかも。 心がもやもやする、もやもやするというよりは動いていない。風がない。 風がないけど温かい? これまでにない、覚えのない平穏さ。 夕凪みたい、島から島へフェリーで行った日を思い出す。 発ったのか戻ったのか。 ゆるい波のリズムにゆっくり浸されていく感じ

      • りゅうみゃく

         風は龍穴へと注ぎ込んでいるはず。おひがしさん広場は風の通り道らしい、一体どこへ。たぶん京都駅あたりへ吹き込んでいたんじゃなかろうか、だってサンダーバードが止まっていたし…  三月二十日ははちゃめちゃな一日だった。フェリーから瀬戸大橋を見ていた時の陶酔感とは全くの別物。(なんとなく海の感じはお酒で酔っぱらった時みに似ている)  突風、悪寒、雨あられ等恐ろしいものを全部詰め込んだような天気だったから。  昨日何しに京都に行っていたかというと、こもれび書店さん主催のブックイベ

        • たからじまより

           小さなころからなんとなく心地よかった香りたち、お寺の本堂や祖母の家にあった不思議な空気感。  本堂の匂いは沈香によるもので、祖母の家のにおい(たぶんタンスの防虫剤とお線香と仏壇の花)はムスクのお香で再現できた。  つい二週間前、高校生ぶりに絵を描きはじめた。仕事で子どもたちのために絵具を使っていたのがきっかけ、忘れていたけど絵具を触るのは楽しかった。  段ボール片に自作の小説に出てくるものとかお気に入りの建物とか風景をかいています。昨日はモルゲンタウの袋と岩谷のライタ

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        薄色半色 うすいろはしたいろ

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        • 【いぬちゃん物語シリーズ】
          12本

        記事

          みぎわを見つめて

           長いものがほどけてみると、今まで締め付けられていた部分は確かに温かかった。  2023年は、怒涛のようだけど北斎の波のように泡立って艶やかな一年だった。面白いけど見るたびにくたくたに疲れる映画みたいな感じだった。  水の方から眺めてみても、年の瀬は瀬戸際なのか。年の瀬にみぎわがあるなら去年は陸だったのかな、とかそんなことを考えていると香川が揺れた。その後すぐに緊急地震速報が入って、新潟か石川県の方で大きな地震があったことが分かった。nhkのニュースキャスターの切迫した声が

          みぎわを見つめて

          ショートショート:「西天満のどんぐり」

          「西天満のどんぐり」  「お前んちのいぬしりがんほ!」  子どもたちは公園の真ん中からぱっと散って行って、真ん中にいぬちゃんがポツンと残った。いぬちゃんの赤いマフラーの先がひらひらと風を受けていて、公園にはたばこを吸いに来たオトナたちと、そんないぬちゃんしかいなかった。  いぬちゃんはベンチに場所を移して、公園中を見回した。やっぱり子どもたちはいなくなっていた。  「なんだってんだよ、あのダボ」  いぬちゃんは小さく吐き捨てた、すると寂しそうないぬちゃんを見かねたカラスが

          ショートショート:「西天満のどんぐり」

          二号館のショップカードができました

          みなさまご機嫌よう、りかえもんです。 一昨日ぐらいに念願のショップカードが届きました。 置いたり配ったりするのが楽しみです。 完成したのがこちら↓ いじわるなので裏と内ページは見せません。 現在、ポッカ二号館というサークルを作って活動しています。 二号館なに?ポッカなに?ニッカポッカ?ってよく言われるので、 少なくとも二号館については、この建物だよって説明できて とても便利です。 ポッカは秘密。 印刷はラクスルでしました。dpi300、原稿の大きさは指定されたとおり

          二号館のショップカードができました

          大阪文学フリマ奮闘記ー二度目の出店ー

           今月の10日にあった大阪文フリにポッカ二号館として出店してきました。今年の京都での開催ではじめて出店したのでコレで2回目になります。前回は大学のサークルとして出たのですが、今回は独立して初。メンバーも変わりました。かなりのドキドキとわくわく、スリル。 会場へまいろう  僕は兵庫県に住んでいるので、大阪へは西から向かいました。三宮で阪急に乗り換えて大阪へ。京都にはよく遊びに行くのですが、大阪は乗り換えか居眠りくらいでしか降りないので緊張しました。。。  阪急梅田駅に到着し

          大阪文学フリマ奮闘記ー二度目の出店ー

          枝がゆれている

          ひとりでお茶を沸かすと、ちょうど悪い。 二人とか数人とかだったら誤魔化せた、残尿みたいな量が残ってしまうし。 母にもらったハーブティーを飲んでいます。 そういえば六月は30日まででしたね。 7月と言えば文フリのブース代の振り込み期日でしたね。 とりあえず、九月の大阪文フリに向けて作品を書いちゃおうと思っているのだけど、それと同時にこれからは文学賞を狙った作品も作っていく気持ちがめきめきと湧いて立つ。 なんか、これは直感的に感じることなんだけど、同人作家で思い描いている生活

          枝がゆれている

          カーボベルデ

          大阪に来ると変な汗が出る、 神戸と京都より気温が2度高い。 昨日と今日は長い日だった、 最近おもしろいことばっかり。 交通費がかさむけど。 駅前でエナジードリンクを貰ったので、 電車に乗る前がぶ飲みしたから気分が悪い。 今回の京都は、恩師に久しぶりに会いにいって これから何をどう書くかという話をした。 自分は知識を書く技術をもっていないので、 どうしても他のメンバーに比べて劣ってしまうのだけど、 書くと決めたテーマは心持ちのことだから、 もっと現金な態度で挑みたいと思う。

          カーボベルデ

          住之江区へ

          明石海峡大橋よりも、瀬戸大橋の方が絶対にデカい。これはプライドを持ってちゃんと言っておきたい。塔としては高いかもしれないが、長さについては瀬戸内海のが圧倒的なんだ。納得できねえ奴は、わけのわかんねえ明石焼きでも食ってろ。電車も通らないくせによ。 なんのつもりだったっけと思ったけど、そう。あれのことだった。 先月に買ったお酒が、いよいよ底を見せており、 やっぱりあれじゃん。そういうのは嫌じゃん。貧相じゃん。 充ち満ちたボトルが欲しいじゃんか。 ということで新たにお酒を買いま

          住之江区へ

          太陽の生贄

          いつか書いたように、生まれ変わるならフラミンゴになりたい。フラミンゴになって、フラミンゴ語をしゃべりたい。 怒涛の一週間というか、なんか忙しい先週がやっと終わった。 職場の人も似たようなことを感じていたらしくて、 「もしかして六月病?」とか言っていた。 あのだるさは何だったんだろ。 業種が業種なので、疲れることと反省することはあっても 落ち込むということがないけど、 体調を崩して仕事もダメ、趣味もダメという日は流石にブルーだった。 そんな先週だった… 棚の一画に読んだ本

          太陽の生贄

          かなしくて

          ウーバーイーツなら、焼鳥丼も俺がパンツを脱いでる間に届く。 じっと思うのは、万里ちゃんのウーバー。 まだ提携店も少ない時に、恋人と使いこなしていた出前アプリ。 どうして出前館でなくて、ウーバーだったんだろう。 これはjunya19982022のことになるけど、 こんな馬鹿正直な配達員をみたらさすがの万里ちゃんでも 情けの気持ちというかチップをあげたくなるんだろうか。 靴が欲しい、あと彼女についてわかったことがある。 たぶんだけど、万里ちゃんはもともと短大を出て (短大を出る

          かなしくて

          ご唱和ください

          遠い先生に小説の原稿を送るのを忘れていた。 卒業式の日ですら、僕をみるなり 「なんか書いたの」とか言っていたので はやく送りたいと思っているのに そういうことほど忘れてしまう。 孝太郎さんの歌声を聞きに、先週は香川に戻っていた。 在学中から楽しみにしていたコンサートで、 そのついでに新しく作ったフリーペーパーも研究室に入れておくつもりだった。 でも雨がすごくて家を飛び出したから、たくさん忘れ物をしてしまって、 フリーペーパーもそうした忘れ物のひとつだった。 香川での夜、地

          ご唱和ください

          からだにpeace

          本棚を整理したら読みたい本がたくさん出てきた。 今一番読みたいのはこれ 一昨年ころ 高松のよい本屋さん「ルヌガンガ」で買ってから まだ読めていない。 棚から本を漁っている時、 つまみ食いするみたいに数ページ読むのだけど 何を思ってか「もっと優先する本がある」と この本を棚に戻してしまう。 いまからでも読みたいのだけど、 これから読むつもりの本が数冊ありまして、 いまはまだ無理。 出かけない日は退屈すぎる。 退屈過ぎて頭が痛くなる。 どこかに行きたい気持ちが溢れ出ているの

          からだにpeace

          六区の灯り

          阪神対巨人の中継を見ながら 本物のウニをたべた。おいしくなかった。 就職の祝いに件の飲み屋の人がごちそうしてくれたもので、 これは気持ちが美味しかった。 内臓じみた濃厚な色をしていて、 ほっとくとちゃんと融けるし、 つやつやしていてねっとりしていた。 点数をつけるなら70点くらい。 そんなだけあって、 これまで食べたトラウマ級のウニたちとは比べ物にならない。 でも、所詮ウニはウニだった。 「たぶんここが美味しいんだろうな」みたいな風味が感じられたけど 圧倒的なウニの香りに

          六区の灯り