学校の人

小学校の先生です。今は理科専科。あとで研究紀要等で使うかもしれないので、文章は硬めです…

学校の人

小学校の先生です。今は理科専科。あとで研究紀要等で使うかもしれないので、文章は硬めですが許してください。

最近の記事

エクストリーム退社のススメ

最近、毎週金曜日はほぼ定時で職場を出て、そのままスキー場へ直行しています。 これがかなり調子がいい。 このnoteもゴンドラの中で書いてます。 ヘルメットにはスピーカーを入れて、音楽やラジコを聞きながら滑っています。退屈なリフトの待ち時間も快適。 気が済むまで滑った後は家まで帰ってもいいのですが、宿に泊まったり車中泊したりすると更に非日常感が上がります。 スキー場で泊まると、次の日の朝いちの1番いい状態のゲレンデを味わうこともできます。 さらにさらに、2日間遊んだ

    • これからの教員研修

       これまで教師の研修といえば、「どう教えるか」を扱うのがメインだった。教師同士で授業を見合い、事後研修ではああでもないこうでもないと言い合うのである。そこでまな板の上に乗るのは当然、授業者である教師だ。 「もっとこうすればよかった。」「なぜあそこでこうしなかったのか。」 といった感じである。こんなことを授業者は大勢から言われる。これで研究授業をしたいという人がいるだろうか。そんなものだから大抵若手がやらされる。そして散々けなされ、年を重ねるにつれて逆に押し付ける側に回る。

      • 3Dプリントしてみた

        5年「流れる水のはたらき」用として、近くの川の流域のジオラマを作ってみました。 安物のプリンタにしては意外と悪くないのではないでしょうか。どうしても反りや細部のつぶれはでてしまいますが、川が流れている場所が浸食作用によって谷になっていることや、上流の傾斜を見るには十分です。 「これさえあれば、何でも作れるぞ!」という気持ちになりますが、やはりまだまだな点もあります。 このジオラマを人数分作りたいのですが、ネックは時間です。一個に5時間30分かかりました。頑張っても一日3

        • テクノロジーと教育

          新しい物好きな人間なので、なにやらわけのわからないガジェットにはすぐに飛びついてしまう。買ってから利用方法を考えることもしばしば。 でも、いいアイデアを思いつくのはそんなときだったりする。 最近買ったのは3Dプリンター。安物だが割と評価は高かったのでそこそこ期待している。今日届いたので、明日使ってみる。 利用方法はいくつか思いついている。一つは「生き物の体」の単元で使うために、生物の骨格標本をプリントするのだ。今はオープンソースで多くの生物の骨格の3Dデータが公開されて

        エクストリーム退社のススメ

          学校は何のため?②

          前回の続きです。 簡単に前回の内容をまとめます。 教育は、社会としては平和のため、個人として自由になるためにあること 平和がくずれるのは、互いの自由がぶつかり合ったときであること 人は自由への欲求が非常に強い。場合によっては平和よりも命よりも自由を求める。 人が自由を求める限り、平和は訪れないのでは・・・? この問いに一つの答えを出したのが哲学者のヘーゲルでした。 その答えとは、 自由の相互承認意味は、自分も自由になりたいし、相手も自由になりたい。このことを互いに了解す

          学校は何のため?②

          学校は何のため?①

          このことを考えない日はありません。(嘘です。考えない日もあります。) 私がこの問いに答えるとしたらこうです。 社会としては、自由の相互承認の感度を養う場所 個人としては、自由になるための力を養う場所 よくわかりませんね。特に1文目が。このことを今日は書いていきたいと思います。 社会としての人々の共通、そして永遠の願いを一言で言うならば、「平和」ではないでしょうか。この、人々の平和への願いが学校を生み出したのだと思います。 「平和に資する人を育てるところが学校である」と

          学校は何のため?①

          こんな教材いかが?(3年 明かりをつけよう)

           3年生では、回路が途切れることのない一つの輪のようになっていることを学びます。そこで、こんな教材を作ってみました。(といってもたいしたものではありませんが・・・)  豆電球の中身を見えるように開いたものです。これを人数分作りました。こうしてみると、豆電球の中も間違いなく電気の通り道ができていることが分かります。下から来た線が上部のフィラメントを通って、左側面へつながっていますね。  ただ、授業を考えるにあたって教材そのものより大切なことがあります。それは、子供はどのよう

          こんな教材いかが?(3年 明かりをつけよう)

           きれいですよね。写真で見てもきれいですが、実際に見た時は感動すらします。(見出し画像にすると上下が少し切られちゃうんですね。残念。)6年の授業で使おうと思って、最近は月が見えたら撮るようにしてます。  私たちは月が球であることを知識として知っていますが、球であることを発見したわけではありません。実は、円盤だったり円柱状だったりするのかも。  そこで、ピンポン玉やカットした発泡スチロールとライトを使って月の見え方を試してみました。すると球以外ではどのように光を当てても写真

          こんな教材いかが?(3年風のはたらき②)

           風のはたらきを探る教材として、次のような教材も作成した。  紙トンボである。工作用紙とストロー、セロハンテープがあれば簡単に作れる。私が授業者である3年担任に提案した単元計画は次のようなもの。(もちろんこれは私の案であり、授業者がその通りにする必要は全くない。)  1時 教師が羽を曲げたよく飛ぶ紙トンボ(画像青のストロー)を飛ばして見せる。子供には羽を曲げていないあまり飛ばない紙トンボ(画像白のストロー)を1人1つずつ配り、自由に試させる。参考用に教師が飛ばして見せたよ

          こんな教材いかが?(3年風のはたらき②)

          こんな教材いかが?(3年風のはたらき①)

           3年生の理科では、風のはたらきを学習中である。風が強いほど、物を動かす力も大きくなるという、概念的にはエネルギーに関わる領域だ。しかし、このことを子供が学びがいのある授業として展開することは私にとってはかなり難しいことである。  そこで、偉大な先人の実践を参考にしつつ、次のような教材を作成した。  特製コースとマジックテープ付き車である。コースは2人に1つは使えるよう用意した。車の方は人数分ある。  子供は始め、特製コースと何もついていないシンプルな車(画像の車はすでに

          こんな教材いかが?(3年風のはたらき①)

          本物の学びとは?②

           前回の投稿に続き、本物の学び(専門用語では真正な学び: authentic learningという)が人にもたらす効果を記したい。真正な学びについて、詳しくは前回の投稿を読んでほしいが、一言で言うとその道の専門家と類似した本物の学び方である。今回は数学を例にあげる。  学校での数学と実際の数学の違いを、ジグソーパズルで例えた数学者がいる。学校の数学は絵が描かれ、完成系が示されたジグソーパズルである。ジグソーパズルと言われて、まずイメージするものである。  対して実際の

          本物の学びとは?②

          本物の学びとは?①

           「子供に本当の学力をつけさせたい」そう願う人は大勢いるだろう。子供と関わりがない人でも自分自身に対して「もっと賢くなりたい」とか「成長したい」と少なからず思っているに違いない。  そして、そのためにどのようなことをするかは人それぞれだ。もちろんそれは当然なのだが、成長や学びのためにとるその行動の根拠や理念もバラバラである。だからだろう、世の中には数えきれないほどの勉強法やスキルアップ法が溢れている。一人一人違うとまで言っていいレベルかもしれない。  多くの場合これらの勉

          本物の学びとは?①

          「授業でもするの?」

           と、他の先生に尋ねられたことが何回かある。今日も訊かれた。初めて訊かれたときは、意味がよく分からず「毎日してますよ」と答えた。  意味が分かったのは2回目に訊かれたときだった。私が不可解な顔をしていたからだろう、尋ねた先生は「研究授業をするくらいの準備をしてるねって意味だよ」と付け加えてくれたのだ。  研究授業というのは、授業を他の先生に観てもらい、授業のあり方を研究するものである。規模は様々だが、授業前の計画から授業後の事後研まで、お互いに意見を出し合うのが通常である

          「授業でもするの?」

          教えた方がいいか、学んだ方がいいか②

           前回はてこの核心に関わることをそれとなく教えられたクラスと、教えられなかったクラスを紹介した。つり合うときの法則に自ら気付いた児童がいたのは後者のクラスだった。  この違いはどうして生まれたのか。一番大きな可能性として考えられるのは、単なる偶然だろう。たまたま、その日が心身とも好調でひらめきやすい日だったり、てこに関しては得意な分野だったりしたのかもしれない。  でも、そうではない部分もあったかも。今回は他の可能性を探ってみる。    その1 教えられたことにより何

          教えた方がいいか、学んだ方がいいか②

          教えた方がいいか、学んだ方がいいか①

           理科専科になっていくつものクラスの授業にでれることになり、新鮮な発見がある。  授業準備は基本的にはどのクラスにも同じように行うが、実際の授業はクラスによって変わってくるところが多い。先日はこんなことがあった。  6年生は2クラスの理科を授業させてもらっている。てこの原理の単元がちょうど終わったところだ。大きな違いが生まれたのは、てこをかたむける力が「支点からおもりの距離」×「おもりの重さ」で表せることにたどり着きたいと考えた授業のときである。  一方のクラスでは、子

          教えた方がいいか、学んだ方がいいか①

          「トイレに行ってもいいですか?」

           と、授業中子供にときおり聞かれます。ある時まで、このことに特に違和感はもっていませんでした。  「ショーシャンクの空に」という有名な映画がありますよね。初めて見たのは大学生のときだったと思いますが、素敵な映画なのでテレビでやっていると見てしまいます。劇中、長年刑務所で服役した男性が仮釈放になり、スーパーで働くというシーンがあります。そこでこんな会話が上司と交わされます。  「トイレに行っていいですか。」  「許可など必要ない。行きたいときに行けばいいんだ。」  男性

          「トイレに行ってもいいですか?」