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こんな教材いかが?(3年風のはたらき①)

 3年生の理科では、風のはたらきを学習中である。風が強いほど、物を動かす力も大きくなるという、概念的にはエネルギーに関わる領域だ。しかし、このことを子供が学びがいのある授業として展開することは私にとってはかなり難しいことである。
 そこで、偉大な先人の実践を参考にしつつ、次のような教材を作成した。

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 特製コースとマジックテープ付き車である。コースは2人に1つは使えるよう用意した。車の方は人数分ある。

 子供は始め、特製コースと何もついていないシンプルな車(画像の車はすでに帆がついているが)を手にし、うちわで前に進ませようとした。進むことは進むが、遅々としたものである。

 「もっと速く前に進ませたい!」

という願いが子供に満ちてきたころが、課題の提示時である。ここでは、「もっと速く車を走らせるためには、どうしたらいいだろう」という課題が子供の願いとマッチしているだろう。当然「もっと強い風を起こす」や「帆を付ける」といったアイデアがでる。両方ともやることになるが、教師として始めに「帆を付ける」アイデアを試すことを促した。(送風機で車を走らせるには高さのある帆が必要だからである。)

 ここで車に貼り付けてあったマジックテープの出番である。子供は工作用紙で好きな形の帆を作り、それにマジックテープを貼り付けることで、自由に帆の大きさや形といった条件を操作できるようになる。

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 この先の授業では、子供が風のはたらきについて「量的・関係的」に調べていけるように結果を数値や表にして残したり、調べたいことに合わせて条件を制御したりしていけるように支援していく。

 例えば、「風の力が強いときと弱いときではどのような違いがあるだろう」を課題として提示した場合、子供は調べるための方法を次のように考えだした。①コースをゴールするタイムで比較②走る距離で比較③登れる角度で比較(コースを立てかけ傾斜をつける)④コースの逆側から強い風と弱い風で同時に車をスタートさせ、相手の車を押し込んだ距離で比較
 の4つである。(4つ目はかなりおもしろい。運動エネルギーを直接戦わせている。)もちろん、どれで調べてもよいが、帆の大きさは揃えさせる必要がある。(このクラスでは子供が意見として出した。)ここでの教師の役割は記録する単位をはっきりさせ(時間や距離など)、それに応じた表を作成できるようにすることである。

 さて、この教材だが風のはたらきに関わる授業全体のうち半分の時間で使う教材である。残り半分は同時進行で担任が別の時間に、別の教材で行う。今風に言うと、カリキュラムマネジメントだろうか。そちらで使う教材については、次の投稿で。

材料
1800×900のプラスチック段ボールを縦に5分割(1枚800円しない。1コースあたり160円)
12×12×3600のアルミアングルを2分割(特価品で1本300円。1コースあたり300円)
車(学校に出入りしている教材屋から小さなプラスチック段ボールと車輪セットを購入)
10㎝×10㎝の両面テープ付きマジックテープ(100円ショップ)

作り方

両面テープ付きマジックテープ(ふわふわの方)をカットしてプラスチック段ボールに貼る。ここはプラスチック段ボールの大きさによるので、無駄がでないようにうまく調整してほしい。
マジックテープのザラザラの方は、帆を作る際に工作用紙と一緒に渡す。
コース
プラスチック段ボールにタイヤの幅の間隔でアルミアングルを貼り付ける。貼って剥がせるタイプの両面テープ(強力タイプ・これも100均)で貼ると微調整しやすかった。
子供が持ち運びしやすいように軽さを追究した結果、このような材料になった。安さを目指すならコンパネと面木の組み合わせがいいだろう。もっといい作り方があればぜひ教えてほしい。