見出し画像

こんな教材いかが?(3年風のはたらき②)

 風のはたらきを探る教材として、次のような教材も作成した。

画像1

 紙トンボである。工作用紙とストロー、セロハンテープがあれば簡単に作れる。私が授業者である3年担任に提案した単元計画は次のようなもの。(もちろんこれは私の案であり、授業者がその通りにする必要は全くない。)

 1時 教師が羽を曲げたよく飛ぶ紙トンボ(画像青のストロー)を飛ばして見せる。子供には羽を曲げていないあまり飛ばない紙トンボ(画像白のストロー)を1人1つずつ配り、自由に試させる。参考用に教師が飛ばして見せたよく飛ぶ紙トンボもグループに1つ配る。(2つの紙トンボの比較から子供は「もっと高く飛ばしたい」という願いをもつと同時に、飛距離に関連しそうな要素を考え出す。)
 2時~ 前時の子供の振り返りから、学習問題を全体でつくり上げる。「もっと高く飛ばすにはどうしたらよいのだろう」や「よく飛ぶ紙トンボと、飛ばない紙トンボのちがいはなんだろう」などになるだろう。その後、関係していそうな要素をして話し合う。(羽の大きさ、枚数、形、材質など)その後、各自で作成、実験。

 関係していそうな要素については1度に全て出るとは限らない。むしろこの単元計画では、子供はまず羽の形に注目するだろう。(よく飛ぶ紙トンボと飛ばない紙トンボを比べると羽の形が違うだけなのだから。)それで問題ない。順番に調べていった方が結果を整理しやすいし、やっていくうちに羽の大きさや枚数といった他の要素も子供は変えたくなってくるはず。(出なければ、こちらが大きな羽の紙トンボなどを作ってみせればいい。)


 この教材、回す勢いが強いほど手に当たる風が強い。エネルギーへの実感を伴う理解には適しているのではないだろうか。前回の投稿で紹介した教材も、始めに動力源としてうちわを与えたのは同じ狙いである。強くあおぐほど、強い風が生まれ、車が速く進む。自分で体感することでエネルギーに対する量感は高まるような気がする。もちろん、実験段階で風の強さを定量化するために送風機は使わなければならない。しかし、うちわという曖昧さがある道具で風を起こしているからこそ、送風機という一定の風を起こす実験器具の必要性が子供に生まれるのではないだろうか。私が思うに、実験技能とは道具の正しい使い方が分かるというだけではなく、必要に応じて実験道具を選択・考案・作成することである。

 この紙トンボ、実際に作って高く飛ばそうとすると、よく飛ぶためには様々な要因が絡み合っていることがわかる。例えば、羽は曲げすぎたり、ねじり過ぎたりしても飛ばない。大きく曲げると瞬間的に上がる強さはあるのだが、すぐ失速してしまう。きっと子供たちは、滞空時間を長くしたい子と、とにかく高く飛ばしたい子でわかれていくだろう。(両立をめざす欲張りさんもいるかも。)実際に授業をしたり、我が子にさせてみたという方がおられれば、どうだったかぜひ教えてほしい。