薬との付き合い方 妻が死にました。(13)

飲みつけていない薬を飲むことには正直抵抗があったので、薬なしで寝ようと試みたこともあるのだけれど、4時間ほど寝付けずにベッドでごろごろするはめになり諦めた。今の身体と心の状況では、薬なしで眠るのは難しい事を再確認しただけだった。

抗うつ剤と睡眠導入剤はよく効いた。感覚としては、30分もたたずに眠りにつくことができた。一か月ほどこの生活を続け、だんだんと薬との付き合い方がわかってきた。

まず、おなかが満たされている状態では薬の効きが悪い。胃袋にたまっている食べ物が薬の消化を妨げるのか、なかなか寝付くことができなかった。食べてすぐに寝るのも身体にはよくなさそうなので、寝る前の2時間はなにも食べないようになった。

また、薬を飲んでから寝付くまでの時間の記憶がたびたびなくなることに気が付いた。ドラマや動画を見ても内容をほとんど憶えていない。LINEやメールの履歴を見ると、その時間にした記憶の無いやりとりの履歴が残っていた。

少し怖くなったのは、ある日注文した憶えのない椅子が届いてからだった。誰が送り付けてきたのだろうと思ったが、Amazonの購入履歴をみてみると、ぼくが1週間ほど前に注文していた。これからたびたびぼくは注文した記憶の無い品物を受け取ることになるのだが、どの品物も「少し欲しい」と思っていたものばかりなので、ある時期からそれをプレゼントとして楽しむようになっていた。

ネットの買い物はワンクリックで買えてしまうので、ある日突然高額な商品が届かないかとひやひやもしたけれど、薬が効いているときのぼくも普段と同じであまり大胆な買い物はできないらしく、届くのは10,000円未満のものが多かった。

この時に届いたささやかなプレゼント。減量サプリ3ヵ月分。「ハコヅメ!」というマンガの全巻セット。ピスタチオ1kg。ドローン。頭皮マッサージャー。おなかに貼る電気マッサージャー。少し高額だったのが、椅子とダイソンの掃除機。不規則な生活リズムと暴食でかなり太り始めていたのを、ぼくは無意識ながらに気にしていたらしい。


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