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落語聞き覚えメモ『口入屋』笑福亭仁鶴
(口入屋の番頭、以下●)あぁ、これ。よぉしゃべるなぁ。女三人寄ったら「姦しい」ちゅうけど、わちゃわちゃわちゃわちゃ...と。そこの子、豆を食べたらね。殻を散らかさんとまとめときなはれ、それ。なに?成駒屋に後ろ幕がしてやりたい?お前らでけへんでけへん。そんなことしたかて役者がお前のほう向いてくれると思もてんのかいな?そんな金があんねやったらもっと噺家を贔屓にしたれ。あれやったら焼き豆腐と二合とでえら
もっとみる落語聞き覚えメモ『牛の丸薬』笑福亭仁鶴
(喜六、以下●)いてるか?
(源助、以下■)上がり上がり。
●何してんねん?
■え?
●何してんねん、ちゅうてんねん。
■うーん、だいぶん温くなってきたんでな、こたつをもうしまおうかいなぁと思てな。ゆんべ裏庭へ放り出してあったんや。ところがえらい夜通しの雨で、こたつがぐちゅぐちゅになってもてな。土でできたあんねん、大和炬燵やがな。えらいことをしたなぁと思いながら土をこう指先で捻っていると
落語聞き覚えメモ『牛ほめ』笑福亭仁鶴
(甚兵衛、以下■)こっち入り!こっち入り!うちのやつお前とこにやったけども、うちのやついたかいな?
(喜六、以下●)へぇへぇ「うちのやつ」来てもらいましたけど、「うちのやつ」まだ帰ってまへんか?
■それではどっちの「うちのやつ」やわからん。
●わからな幸いや、交代で使うか?
■よぉんなアホなこと言うとぉる。まぁ上がり、話に聞いたらおまはんこのごろぶらぶらと仕事もせんと遊んでるらしいな?えぇ
落語聞き覚えメモ『ないもん買い』笑福亭仁鶴
(清八、以下■)おい!
(喜六、以下●)えぇ?
■どうしてんねん?
●あぁ。
■元気か?
●あぁ。
■大丈夫か?
●あぁ。
■何を言うとんねんお前は、元気かっちゅうてんねや。何してんねん?
●わい、立ってんねや。
■おもろいやっちゃなこいつは。若い者が昼日中から往来の真ん中で、空見上げて口開いてたら鳩が糞かけて来よんで?えぇ、おもろいことして遊ぼか!
●遊びたいけど銭ないなぁ
落語聞き覚えメモ『道具屋』笑福亭仁鶴
(喜六、以下●)おっさんこんにちは!おっさんこんにちは!
(道具屋の佐兵衛、以下■)おうやってきたな?相変わらず仕事もせんとぶらぶら遊んでるらしいな?いまお前のおかんが来て泣いてたで?
●へぇ、泣いてましたか。わいも女泣かすようになったか。
■んなあほなこと言いな、わけのわからんやっちゃ。働く気はないのんか二十五にもなって?
●誰が二十五じゃ!二十八や!
■余計悪いわ。働く気はないのんか
落語聞き覚えメモ『兵庫船』(笑福亭仁鶴)
大阪の馬の合いました二人の男が、讃岐の国は象頭山金毘羅さんへ参詣しての帰り、あれから山陽道へ出てまいりまして、明石、須磨、一ノ谷、播州路を見物いたしまして、やってまいりましたのが、兵庫鍛治屋町の浜。
(清八、以下■)さぁ出といで。早いもんでもう兵庫鍛治屋町の浜や。
(喜六、以下●)わぁ~大ぉきな池やな。
■池ちゅうやつがあるかいな。あれは海やがな。
●あぁ、海か。わしゃまた波がないさかい池
落語聞き覚えメモ『次の御用日』(笑福亭仁鶴)
(堅木屋佐兵衛、以下■)常吉はおりませぬか、常吉は何をしてますのじゃ?
(常吉、以下●)へぇ~い、あて今御膳呼ばれておりますのん(茶碗をかっこむ)。
■他の者はとっくに食べて、店へ皆出ておるのに、そちゃいつまで食べてなさるのじゃ?
●へぇ、あたい定やんへお使いへ行っとりまして、一番べべちゃんに食べたんで一番べべちゃんになっとりまんのん(おかずを取る)。
■はよ食べんか!
●食べとりまんね
落語聞き覚えメモ『池田の猪買い』(笑福亭仁鶴)
(丼池の甚兵衛、以下■)どないしたんやお前、鼻のてっぺん真っ黒にして。
(喜六、以下●)へぇ、これ灸。
■んなおかしなとこに灸据えな。鼻のてっぺんに灸吸えるやなんて...
●なに言うてなはんねん。これはこないだ来たときあんたが教えとくなはったんやで?
■わしが?んなおかしなこと教えるかいな。鼻のてっぺん...あぁ、あれかいな?何をすんねんそうやないがな。あらこないだお前が来たときに、のぼせ
落語聞き覚えメモ『あとひき酒』(笑福亭松鶴)
昔からよぉ申します、「酒なくて 何の己が 桜かな」。これからお花見どきになりまして、お花見に行くのは、やはりお酒に限ります。桜の咲いたぁる木の下で、お互いに注しつ注されつ、よぉ咲きましたなぁ、満開でんなぁ、てなことを言いながら飲んでるさかい、お花見に行った感じがしますが、同じことで、花見に行って汁粉を吸うてたんでは、あんまり感心いたしません。そかと思うと、「泣くも酒 文字では済まぬ ときの挨拶」。
もっとみる落語聞き覚えメモ『つぼ算』(笑福亭仁鶴)
●今度、お宅の近所へ宿替えしてきましてなぁ。
(徳兵衛、以下■)ああ、そうらしいなぁ。ちょっと声かけてくれたら祝い物の一つでもさしてもうたのに。けど、おまはんとこはほんまもんの宿替えやさかい、めでたいなぁ。
●ええ?宿替えにほんまとか嘘とかありまんのんか?
■まぁ嘘ちゅうのもおかしいけども、表通りから裏筋へ引っ込むやつは「逼塞」ちゅうてあんまり感心せんけども、こないだ聞いたところによると、おまはん
落語聞き覚えメモ『向こう付け』(笑福亭仁鶴)
(喜六、以下■)嬶!ただいま!
(喜六の嫁、以下□)ただいまやないがな。いまごろまでどこのたつき回ってんねんほんまに。
朝から母屋からお使いが二べんも三べんも来てんねんで。「まだ戻りまへんか、戻ったらじき母屋へ顔出すよう言うとくなはれ」って。ええ?
あんたかてそやろ?どのあたりへ行って大体どのぐらいに帰って来るぐらいのこと言うてから出かけなはれほんまに。飛び出したらどこへ行ったかわからへんね
落語聞き覚えメモ『青菜』(笑福亭仁鶴)
(旦那、以下●)植木屋はん、植木屋はん!今日は何か、仕事は済んでやったんかいな?
(植木屋、以下■)へぇ、まだちぃと残っとりまんねんけども、一区切りついたんで、まぁ今日はこれで置かしてもらおうと思とりますがな。その代わり明日またちぃと早めに寄してもぉて、この穴埋めを…
●いやいや、わたしはそんなことを言うてるのやありゃせん、あんたさえ仕事の都合がついたら、いつ閉めてもうてもええねんけどな。あん
落語聞き覚えメモ『初天神』(笑福亭仁鶴)
(喜六、以下■) 嬶!羽織出せ!
(喜六の嫁、以下□)まぁ~なんだんねん、羽織羽織って?あの羽織かてあんたの甲斐性でこしらえたんやおまへんやろ?こないだ母屋のご隠居はんが亡くならはったときに、わたいが三日三晩夜通しお手伝いしてその時に『形見分けに』言うてもうてきた羽織やないかいな。持って帰ってわたいの着物にでもと思たけども、わが亭主に羽織の一枚もないのも格好が悪い思ったさかい、あんたにあげたんや
落語聞き覚えメモ『崇徳院』(笑福亭仁鶴)
(母屋の旦那、以下●)さぁさぁ熊さん、こっち上がっとくれ。
(熊五郎、以下■)へぇ、わたい今、天下茶屋の方へ仕事に行っとりましたら、うちのやつが『母屋から急な使いや』言うてやかましゅう言うて呼びに来よりましたんで、慌てて飛んで来ましたんやが。
●ああ、そうかそうか。それは仕事の手ぇを止めてえろぅすまなんだ。用というのはほかでもないねがな、せがれの作次郎がここんとこ体の具合が悪い言うて臥せってた