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落語聞き覚えメモ『次の御用日』(笑福亭仁鶴)

(堅木屋佐兵衛、以下■)常吉はおりませぬか、常吉は何をしてますのじゃ?

(常吉、以下●)へぇ~い、あて今御膳呼ばれておりますのん(茶碗をかっこむ)。

■他の者はとっくに食べて、店へ皆出ておるのに、そちゃいつまで食べてなさるのじゃ?

●へぇ、あたい定やんへお使いへ行っとりまして、一番べべちゃんに食べたんで一番べべちゃんになっとりまんのん(おかずを取る)。

■はよ食べんか!

●食べとりまんねやがな!(茶碗をかっこむ)丁稚てなもんはつまらんもんで、御膳もゆっくり食べられへん。

■何をごちゃごちゃ言うとる。早いこと食べんか!

●食べとりまんねや!そないはよ食べはよ食べ言いなはんねやったら「常吉はまだじゃで、待ってやって一緒に食べたれ」と、おっしゃっていいただいたら今時分みなと一緒に食べて、食べ終わつてみなと一緒に店へ出とりますのに。あぁ~はよ食べはよ食べ...(茶碗をかっこむ)。

■用があるのじゃ。

●また!?

■またちゅうやつがあるかい。用をさすために置いてある子供やないか。

●そらそうですけど、ご当家は朝から晩までベタ一面のようですさかいな(茶碗をかっこむ)。銭使こたら減るもんやさかいな(茶碗をかっこむ)。丁稚使こても減らんさかいな。銭使わんと丁稚ばぁっかり使こうてな。銭使いの細こい丁稚使いの荒い家や。

■何をごちゃごちゃ言うとんねん。はよ食べんか!

●食べとりまんねや!(茶碗をかっこむ)。ん~まに。そらそうと、今日は根深とお芋のおかずでおおきにごっつぉさんでおます。

■いま時分礼言うとる。そちゃ何か、子供のくせに芋は嫌いか?

●いや、あて大好きだんねんで?ええ、お清どんが贔屓ぶりでな、太鼓の大きなところを二つもくれはりましたんや。

■それにしたかて横によけたあるやないか?

●へぇそうでんねん。あのな(茶碗をかっこむ)、こういう日の長い折にはな、ほっとせんように言うてどこのお家でもおやつが出まんねんけどな、ご当家は出まへんねん。なんせえぐおますさかい。

■えぐいというやつがあるかい。あの~...なんじゃ、いとの縫い物屋のお供をせんならん。せやさかい、はよ食べと言うてますのじゃ。 

●あぁ、とぉやんの縫物屋行きのお供やったら、亀吉どんも定吉どんもいたはります。

■いや、亀や定ではいかんねん。どういうわけか、いとはそちが虫が好くのじゃ。

●へぇー、けったいななぁ...ほんならとぉやんわてに惚れてなはんねんなぁ。

■んなアホなこと言うねやない。早いこと食べ!

●食べとりまんねがなほんまにもう(茶碗をかっこむ)....ん~まにもう!(しゃもじで掬ってそのまま口へ運ぶ)

■しゃもじで掬うやつがあるかいな!

●もぉやいやい言いなはるさかい、こないなりまんねや。ああせわしな!たった十三膳しか食べられへん。

■十三膳も食べたらじゅうぶん。早いこと行きなはれ。

●とぉやんお待っとうさんでやす。お店のみなさん、とぉやんの縫物屋行きの供をして参じます。

■ああ、気ぃ付けて行くねんぞ。

●気ぃつけるために行きまんねん。気ぃつけへんでええねやったら付いていかんでよろしい。

■理屈言うなお前は!(小突く)

●(店を出る)痛ったぁ~...とぉやんお店の人みな気ぃ荒ぉおまっせ~あての頭ぼーんと殴って。

(いと、以下○)あんたがいらんこと言うさかいやないかいな。

●あてなんも言うてしまへんがなもぉ...預かり物の頭やったら痛ぉないけど、みな自前の頭やさかい痛い痛いわ。

○あんたがいらんこと言うさかいやないか。

●けどとぉやんな、こうしてな、お供すんのありがとうおまんねんで?お店ばっかり居てて番頭はんの目ぇ気にしてたらな、息が詰まりますさかいな。へぇ、ところでな、ちかごろ堅木屋佐兵衛さんとこのとぉやんは別嬪さんにならはったいうて噂になってますけどな。安堂寺界隈では一番の別嬪さんやいうてな。とぉやん別嬪でっか?

○んなもん言うもんやおまへん。

●いや、あて言うてやしまへんねや。ご近所のお方がみな言うたはりまんねん。もぉぼつぼつお年頃やさかい、お嫁入りしなはんねやろうか、それともご養子取んねはるのやろうか、いうてな。ご養子さんでっか?嫁入りでっか?

○そんなこと言うもんやおまへん。

●あて何も言うてやしまへん。ご近所のお方が言うたはりまんねん。あんなご大家へお入りになるご養子さんちゅうのは幸せ者やいうてな。どっからもらいなはんねん?

○そんなことばっかり言うてたらお母さんに言うし。

●お母さんに言うしやねんて!

 ごちゃごちゃごちゃごちゃ言いながら南へ南へとってまいります。東横堀であります。長堀ですな。安綿橋という橋がありましてな。その北側に住友さんのお屋敷があって、住友の浜と言われておったそうで、まことに寂しいところであったそうですな。近頃は市中で昼日中から寂しいてなことはおませんやろうけども、前方は大阪にはそういうところがあっちこっちありましたそうでね。本町の唐物町の浜、本町の曲がりなんていうたら昼日中から気持ち悪かったそうで。南では住友様の浜ですな。西は薩摩堀願教寺の横手、江戸堀四丁目七つ裏、中之島蛸の松、そらもう夜は申すに及ばず、昼日中から人気のない気持ち悪いところやったそうで。
 大体が遠くの方、川向うから夏の物売りの声ちゅうのが、このごろあんまりありませんけれども、夏の物売りちゅうのはどういうわけか寂しいもんですな。暮れの物売りちゅうのは景気がよろしいけどな。なんとなく夏は陰気でね。「葦や簾はいりまへんかな~~~?茣蓙や~~~寝茣蓙~~」寝茣蓙屋はんなんか半分寝てますわな。「京都烏丸本家、琵琶葉湯!ご婦人方には産前産後血の道の妙薬!」昼下がりです。金魚屋はんの声聞くとみな半分昼寝に入りますわな。「金魚え~~金魚~~~」まぁ昔はこの物売りっちゅうのは表に人間がおらなんだもんで暑いさかい世の中ゆっくりしていた、みんな昼寝してたんですな。しばらくしたらこれを起こしに回っている商売があって、これだけが景気よろしいねんわ、かち割り屋はんや。「割った割った割った!かち割りや!」みな目覚ましてしまうねや。おかしなもんで、このかち割り屋はんの売り声で金魚売ろう思たら難儀やこれな。「金魚や!金魚や!冷たい金魚や!」金魚がみな死んでしまいます。また、金魚屋はんの売り声でかち割りも売れんもんでね。「氷や氷~~寒氷~~」「氷屋はん一杯おくんなはれ」「みな溶けた...」いうて溶けてします。気持ち悪いなぁと思いながらやってまいります。道頓堀の北詰に安井のお稲荷さんちゅうのがありまして、そこの消防方といいますから、纏持ちですなぁ。この堅木屋佐兵衛さんとこの借家人で天王寺屋藤吉という男がおりました。昔のことですから褌一丁に法被を一枚というようなことで。がんがん日が照っておりますが、暑ないようにこの法被を日よけに被っている奴がこっちから見るとえらい大きい人間のように見えるんで。

○常吉、あて怖いわ。

●何を言うてなはんねん、この昼日中に怖いもんがおますかいな。

○そうかて向こうからあんな怖いもんが来るやないか。

●怖いもんが...あぁ怖!

○なぁ怖いやろう?往のう。

●ちょっと待っとくはれ。いま往んだらな、お前のお供のしようが悪いさかいやいうてまた叱られますさかいな。ちょっとこっちおいなはれ。

あのあたりにはボロ屋はんがずうっと並んでいたそうで。その前の用水桶の後にとぉやんをつくぼらして、この男をやり過ごそうということで。子供ながらも一生懸命ですがな。

(天王寺屋藤吉、以下▲)(法被の中から顔を覗かせながら)ははぁん、いまばたばたっと走り込んだんは堅木屋佐兵衛んとこのとぉやんやな。わしの恰好見て驚いてんねや。びっくりしとんねん、怖がっとんねや。よぉしもうちょっと怖がらしたれ。

悪い冗談というもんはせんほうがええもんで。とぉやんのそばへ行きまして、頭の上へ法被をばっと被せて「Aaahhh!!!!」えらい声出したある。この声聞いてとぉやん、それへばたっと倒れて冷とぉなって物言わんようになったん。丁稚慌てて飛んで帰って。

●旦さん!!

■なんじゃ!雪駄のまま座敷上がって!

●はぁ...はぁ...旦さん落ち着きなはれ。

■お前が落ち着かんかい。どうしたんじゃ?

●いまとぉやんのお供して住友さんの浜まで行きましたらな、とぉやんが怖いさかい言いはりまんねんな。何の怖いもんがこの昼日中におますかいな、そうかて向こうから怖いもんが来るやないかいなってふと見たら大きなおっさんがな、だんだんだんだんこっち来てだんだんだんだん大きなりまして、あても怖なったんでな、往のうちゅわはりまんねんけどな、いま往んだらまたお前のお供のしようが悪いさかいって叱られる思たさかい、ボロ屋の前のな、用水桶の後ろにとぉやんつくぼらしてな、体隠すようにしておりましたら、そのおっさんがどんどんどんどんそばへやってきてな、とぉやんの頭へ法被ばあって被せるなり、Aaahhh!!!!てえらい声出しはりましてな、この声聞いてとぉやんそれへ倒れて冷とぉなって物言わん。

■そらえらいこっちゃ!それは。おい、みな早いこと行け!

お店の者で連れて帰って医者に見せて、ようやく息は吹き返したのですが、それから人間が変わったかのようになってしもたといいますか、健忘症という病に取り憑かれました。今でいうたら記憶喪失でございますな。いままで習い覚えましたお茶お花縫い針琴三味線に至るまですっくり忘れてしもうて人間が変わったようになったん。「とぉやん向こう向いてなはれ」「ふ~ん」言うたら一時間が二時間でもそのままという。「とぉやん寝てなはれ」言うたら二日が三日そのままという。大事な娘をこないしなれて、お医者はこれ以上よぉなる気づかいはないとおっしゃる。こら放っとくわけにはいかん、お上へ願うて出ると言うたんですが、周りは「そう事を荒立てんと」ちゅうたんですが、そういうわけにはいかんというので、西の御番所へ訴えて出ます。いまの本町橋の国際ホテル、あれが西の御番所跡やそうでございます。浜側には人民控え所というのがあって、そこで原告被告が控えております。奉行所から差し紙というのが届きます。出頭せよということですな。そこへ控えておりますと、武者窓からお武家がな。

(奉行、以下◆)堅木屋佐兵衛、出ましょーー下人常吉、出ましょーー借家天王寺屋藤吉、出ましょーー町役一同、出ましょう出ましょう出ましょう出ましょうーーー。
ぞろぞろぞろぞろお白洲へやってまいります。そこにまたおっさんがいておって。

◆こりゃこりゃ、静かに歩け静かに。袴の袴板が歪んでおる、ちゃんと直しておけ。これ、さげもんはならんさげもんは。煙草入れは懐に仕舞っておけ。こらお前ちょんまげの刷毛先が歪んでおる。何者だお前は、町役か。町役だてら刷毛先歪めて。

「町役かて刷毛先ぐらい歪むわいな」ぼやきながらお白洲へやってまいります。目の粗い筵が敷いたあります、お上の情け、なんていうて。そこへみながつくぼっておりまして時刻になると、子供におしっこをさすような「しー...」静止声ですな、警蹕。これを聞きますとみな白洲に頭を打ち付けております。正面の稲妻型の襖が左右にすうっと開きますと、お出ましになりましたんがお奉行さんで。芝居見ましても映画見ましても奉行っちゅうのはええ男になってますけど、ほんまもんはいろいろあったんやろうけども、大体はええ男で。ご着座になりますと、そばにありました書面を出してきて目を通されますが、お奉行というものは文字を読むときには目で読まんそうですな。ほな口で読むのんかゆうたら口でも読まん。目で読まん口で読まんどこで読むんやゆうたら、、目と眉毛の間で読むんやそうな(書類を精査する)。文楽の人形みたいに眉毛ばぁっかり動かしたある。

◆堅木屋佐兵衛、面を上げぃ、控えておるな。

■恐れながら控えております。

◆下人常吉、控えておるな。借家天王寺屋藤吉、控えておるな。町役一同控えておるな。

●▲恐れながら控えております。

◆差し出したる願面によると、先月十三日、堅木屋佐兵衛娘いと、縫物屋行き途中において(頁をめくる)、借家天王寺屋藤吉なる者、娘いとの頭の上において「あ」と申したとあるが、奉行なんのことやら一向に相わからん。そのほう存じおりを申してみよ。

■恐れながらそのことにつきましては、下人常吉よりお聞き取りをいただきますよう...

◆常吉面を上げぃ。こりゃ、面をあげぃ。

■(耳打ちする)面を上げんねや。

●へぇ?

■面を上げんねや。

●へぇ、表やったら今朝亀吉どんが開けはりましたあんねん。定吉どんが暖簾かけて、あてが庭掃いて。

■違うがな、顔上げ言うてはんねや。

●へぇ、こんな顔です。

◆差し出したる願面によると、先月十三日、堅木屋佐兵衛娘いと、縫物屋行き途中において、借家天王寺屋藤吉なる者、娘いとの頭の上において「あ」と申したとあるが、奉行なんのことやら一向に相わからん。そのほう存じおりを申してみよ。

●へぇ、そのことでしたらな、おっさん。

■おっさんちゅうやつがあるかい。

●ほかてわたい名前知らんもん。

■名前知らん言うたかて...

◆あぁ~よいよい捨ておけ捨ておけ。未だ十五に足らぬ小児ではないか。あ~言葉咎めをいたすな。いかがいたしたのじゃ?

●へぇ、その日、旦さんが「常吉どこにおるのんじゃ?」とおっしゃった折に、あて昼御膳食べとりましたん。他の者はとっくに食べ終わって出ておるのに、そちゃいつまで食べてなさんねんて言いはりまんねんけど、わたいそのとき定やんへお使いへ行っとりましてな、ほんで一番べべちゃんに食べたんで一番べべちゃん...

■そんなこと言わんでもええねがな!

◆あぁ~よいよい捨ておけ捨ておけ。

●よろしなぁ?こっからなぁ?おっさんがええ言うたはんねん、ごちゃごちゃ言いな。

◆あ~、一番べべちゃんに食べていかがいたしたのじゃ?

●へぇ、ほんだら旦さんがはよ食べ~はよ食べ~言いはりまんのん。もう丁稚てなもんは御膳もゆっくり食べられへんなぁと思ていたらね、用があるのじゃちゅわはりまんねや。うちゃもう朝から晩までの用ですさかいな。んでまぁ、銭使うたら減るもんやさかいちょっとも使わんと、銭使いの細こい丁稚使いの荒い...

■何をごちゃごちゃ言うとんねん!そんなことええねん!

●わてこっから言わなよぉ言わん!!!

◆あ~よいよいよい。いかがいたしたのじゃ?

●ほんであの、その日のおかずが根深と芋でおまんねんけどな。ほんで旦さん、子供のくせにそちゃ芋は嫌いか?ておっしゃるけど、あて好きだんねん。お清どんが贔屓ぶりでな、太鼓の大きなとこ二つくれはってん。ほかて横によけてあるやないかいって言いはりますけど、よそさんでは日ぃ長い折にはほっとせんようにておやつが出まんねんけど、うち出まへんねや。なんせえぐおますさかい。

■何をごちゃごちゃ言うとんねん!

●こっから言わなよぉ言わんわ。ほんであの、とぉやんの縫物屋行きのお供せないかんのんでちゅうて、縫物屋行きのお供やったら亀吉どんも定吉どんもいたはります、言うたら「いや、いとはどういうわけか、そちが虫が好くのじゃ」言うてね。ほんでとぉやんあてにひょっとしたら惚れてなはるのかなぁ思て。ほでなぁ、もぉはよ食べはよ食べ言われてたった十三膳しか食べられやしまへんねん...お奉行さん笑いなはったな?笑われるんやったらもぉ言わんとこ。

◆あー...笑いはいたさん。奉行努めじゃ笑いはいたさん。十三膳食べていかがいたしたのじゃ?

●へぇ、ほんで住友さんの浜まで来ましたら、とぉやんが怖いちゅうさかい往のうちゅわはりまんのんけど、昼日中から何の怖いもんがおますかいな言うたら、そかて向こうからあんな怖いもんが来るやないか、ふっと見たらなぁ、大きなおっさんがな、だんだんだんだんこっち来てだんだんだんだん大きくなりまして、あても怖なったんでな、ほんでボロ屋はんがおまして用水があって、その後ろへとぉやんつくぼってもぉて体隠すようにしてましたらな、そのおっさんがだんだんだんだんだんだんこっち来てな、とぉやんのそばまで来て頭の上から法被ばぁって被せるなりAaahhh!!!!こんな声出した。とぉやんこれ聞いてぱたっと倒れて冷とおなって固ぉなって物言わんようになった。ほんでお店の人で連れて帰ってお医者さんに診てもぉて息は吹き返したんですけどな、人が変わってしまいはりましてな、なんでも「けんれっぽー」いう病気になってな、ほんでもうこんな大事な娘をこないしられて放っとくわけにはいかんいうてな、周りはまぁまぁそうことを荒立てんと言わはったんやけど、そういうわけにはいかんいうて....おっさんの厄介になるようになりました。もぉ堪忍しとくなはれ堪忍しとくなはれ。これからお使いもはよ行きますさかいに、御膳もはよ食べますさかいに、今回のことは堪忍しとくなはれ堪忍しとくなはれ。

◆委細相わかった。借家天王寺屋藤吉、面を上げぃ!

▲なにぶんご憐憫を以ちましてご憐憫をを以ちまして...

◆黙れ!事の黒白ついてのちほどお上にも憐憫というものがある。未だ黒白つかざるうちから憐憫を願い出るとは何事じゃ!そのほう先月十三日、堅木屋佐兵衛娘いと、縫物屋行き途中において、娘いとの頭の上においてAaahhh!!!!と申した覚えがあろう。

▲手前とぉやんのおつむの上でAaahhh!!!!てなものを申した覚えはございません。

◆なに?申した覚えがない?こりゃ常吉、申した覚えがないと申しておるぞ?

●えー嘘や嘘や!このおっさんに違いおまへんわ!Aaahhh!!!!ちゅうたん聞いたんでばっと顔上げたら天王寺屋藤吉のおっさんだんねん怖いおっさんだっせ?家賃取りに行ったかてな、「何を抜かすねん、屋根の雨漏りもなんぼ言うても直しやがらんと家賃だけきっちり取りに来やがって、そんなもん払えるかい」言うて「往んで禿ちゃんにそない言え」言うて、怖いおっさんだんねんで?体中絵描いたはりまんねん刺青で、怖いおっさんだっせ?おっさん嘘ついたら地獄で閻魔に舌抜かれるぞ?このおっさんに違いおまへん違いおまへん!

◆ここにこのように確かな証人があるにもかかわらず、この期に及んで偽りを申すか?先月十三日、娘いと頭の上にてAaahhh!!!!と申した覚えがあろう。

▲えー、手前とぉやんのおつむの上でAaahhh!!!!てなものを申した覚えはございません。

◆黙れ!相手が十五に足らぬ小児と侮り、偽りを申すか?娘いと頭の上にてAaahhh!!!!と申したもんならAaahhh!!!!と申したと申し上げてしまえ。

▲えー、手前とてとぉやんのおつむの上でAaahhh!!!!てなことを申したもんならAaahhh!!!!と申したと申し上げますが、Aaahhh!!!!と申さんものをAaahhh!!!!と申したとは申し上げられません。

◆黙れ黙れおのれ現在Aaahhh!!!!てなことを申しておきながら、この場に及んでAaahhh!!!!と申さんなどとはお上を愚弄する奴。重き拷問に行のうてもAaahhh!!!!と申したもんならAaahhh!!!!と申したと申させてみせるが、どうじゃ?

▲手前とてAaahhh!!!!と申したもんならAaahhh!!!!と申したと申し上げますが、Aaahhh!!!!と申さんものはAaahhh!!!!と申したと申し上げられません。

◆黙れ黙れおのれ現在Aaahhh!!!!てなことを申しておきながら、この場に及んでAaahhh!!!!と申さんなどとは、重き拷問に行のうてもAaahhh!!!!と申したもんならAaahhh!!!!と申し....ケホッ、ケホッ...ケッホン。あ゛~~~....この裁き喉が保たんわこりゃ。一同の者、次の御用日を待て。

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