「自分の気持ちに正直であること」PORTOスタッフ:ゆうこさんのこれまで(前編)
PORTO(ぽると)は、兵庫県神戸市の中心部・三宮にある「おやこの世界を広げるサードプレイス」です。大人もくつろげる室内遊び場で、一時預かりや各種イベントなども開催しています。
PORTOのことをもう少し深く発信する上で、関わる「ひと」というところからお伝えできれば、とスタートしたインタビュー「PORTOなひとたち」。
2人目は保育士スタッフのゆうこさん(吉田祐子さん)です。
簡単なプロフィールはこちらのインスタグラムをご覧ください。
今回はゆうこさんの社会人スタートから、PORTOで働くようになるまでのお仕事ヒストリーをインタビューしました。
保育園の事務員としてのスタート
ーゆうこさんは、教育大の美術コース出身ということですが、保育士になったのはどんな経緯ですか。
大学では中高の美術の教員免許を取得する勉強をしていました。教育実習先で熱心な教師たちの姿を見て、自分はそこまで出来ないと感じたことから、卒業後は教壇に立つ道ではなく、私立の認可保育園での事務員として働き始めました。
ー保育園では、いわゆる事務作業をされていたのですか。
主に経理や行政とのやりとりをしていました。でも、保育園の子どもたちからすれば大人=先生という認識で、いつの間にか先生と呼ばれていました。
また、保育士の先生方は常にバタバタと忙しい状況なので、延長保育の子どもたち数名を「ちょっと見てて!」とお願いされて、絵本を読み聞かせたりしていました。
毎日大変な保育の現状を目の当たりにして、「私でも出来るかもしれない」という気持ちが芽生えてきたことや、経営体制が変わったこともあり、保育士資格を取ることにしました。なのでいわゆる子どもが好きで保育士になったのではないんです。
ー働きながら、保育士資格を取るのは大変ではなかったですか。
それが私が受験していた頃は、年に一回の保育士試験だったけど他府県受験をしにいけたので、それが楽しかった思い出の方が強いです。
資格取得後はクラス運営や行事に多忙な日々を送っていました。その日々に追われながらも、子どもの面白さ、奥深さをより考えるようになって、時間のある時に子どもの哲学などを学んだりもしました。
保育士資格を取得し、ドイツへの研修に参加
ードイツへの研修に行かれたのはいつ頃ですか。
保育士になって8年目くらいの時にfacebookでドイツの保育・教育現場を見学する5日間のツアーメンバー募集のお知らせを見つけたのがきっかけです。
これは!とピンときたので職場への休暇の申請を出す前に申し込みました。
(その様子をまとめたアルバムがPORTOにあります)
ー保育士として働きながら、その行動力を持てるのはすごいなと感じます。
ドイツに行かれた2013年頃は、北欧の考え方や、諸外国と日本の教育の違いや見直しなど、情報としてたくさん集まっていく流れが教育業界にあったように私自身感じているのですが、ドイツで印象的だったことはなんですか?
「哲学の時間」ですね。子どもたちが答えのない問いについて対話を行い、それぞれの表現を認め合う流れがありました。また、“子どもが哲学する”ということを保育士や教師たちに専門的に教える機関があるというのは驚きでした。
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大学卒業後、美術教員になる気持ちは持てず、事務員として保育と出会ったゆうこさん。けれど色々な経験をする中で、流れに背中を押されつつ、自分の気持ちに正直に、保育士として働く道を選びました。現場の多忙さや難しさを知った後に、保育士の資格を取得して働くことは、覚悟と勇気の必要なことだったと思います。
今のゆうこさんはその覚悟や勇気を熱く重く見せるのではなく、軽やかに語ります。でも、その根幹を支えるのは、しっかりと自分の人生を考え、決めてきた自身の芯の強さと、懐の深さです。私を含めPORTOスタッフは、そんなゆうこさんにすっかり甘えさせていただいています(笑)
その芯の強さと懐の深さ、そして忙しい日々の中で海外研修に行くほどのバイタリティーを生かしてこの仕事に真摯に向き合い、学び続けてきたゆうこさん。だからこそ、PORTOでのおとな/こどもとの関わりにも深みがあるのだなぁ、と毎日勉強させていただいています。
さて、保育士として働くようになったゆうこさんの半生。ここからどのようにPORTOへと繋がっていくのでしょう。次回後編へ続きます。
(聞き手:みほ)