アンフィールドはファンの要塞。リヴァプール1泊2日・後編【2024イギリス旅④】
2024年2月、ロンドン中心に10日間ひとり旅してきました。
前回記事はこちら
今回はリヴァプール編の後編。
全文がフットボール。多分長くなります。リヴァプールの観光については、前編をご参照を。
なお、別日に観たブライトン戦についても、最後に少し触れている。
2024/02/28 FAカップ5回戦 リバプールvsサウサンプトン
市街地からバスに揺られて20分。ついに要塞アンフィールドに着いた。
本当に、来たんだな。俺。
試合前:さぁ、ガソリンを足せ!戦いに備えろ!
さて、試合開始は20時。ということは終了は22時前後。
もちろんロンドンには帰れないので、リヴァプールで1泊する必要がある。
今回はAirbnbで、アンフィールド至近のゲストルームを押さえてある。まずはそちらにチェックイン。
エアビーについては、ちょっと前の記事にまとめたので割愛。
さて、チェックインを終えた。試合開始まで2時間ある。
僕みたいな新参者でも入れそうなパブを探す。
混んでなさそうで、一人で飲んでても許されそうなパブ、ないかなー。
と訪れたのが、パブ「THE KOP END」
結論から言うとめちゃくちゃ居心地よかった。試合後も訪れた。
左のスカウサーは、雨に降られ入ってきた僕を途端にハグし「寒かっただろー、おーこんなに手が冷たい」的な歓迎をしてくれた。感謝。
映っていない右側のおじさんは黙ってビールを飲んでいるが、多分この店の大常連。色々なサポーターがハグしに来る。
そんな間に入り、ただニコニコとビールを飲みつつ、流れるチャントを皆で共に口ずさみ、皆のスカウスを(意味はわからんがスカウスであることは分かる)聞いているだけで楽しかった。
2パイントほどビールをいただき、店をあとに。
早めにアンフィールドに向かう。
というのも、今回のチケットはクラブ販売のホスピタリティ・パッケージ(食事やドリンク付きのチケット)。スタジアム併設のBarで飲食できる。
ということで「The Reds Bar」へ。
このパッケージ、海外のファンが買いやすいだけあって日本人やアジア人も多い。そしてmore多様なファンが、揃ってビールという名のガソリンを補充していた。
ここでも2パイントほど補充。
さて、そろそろスタンドに向かおう。
試合:アンフィールドにのまれ、おぼれた2時間。
今回のチケットはROW:7
前から7列目という、今までにない好位置だ。
スタメンが発表された。残念ながら日本代表キャプテン遠藤航はベンチ外。
3日前に、120分フル出場した激闘の後だから、仕方ないね。
リバプールもターンオーバー気味で、ベンチには若手がたくさん入った。
途中、イングランドでよくある小雨が降ってきた。
アンフィールドのライトに照らされ、なんだか神々しかった。
試合開始10分前。
周りのサポーターが立ち始める。
少しづつ立ち上がるサポが増えてきて、いつの間に総立ちとなった。
これから戦う選手を迎えるために
讃えるように、
鼓舞するように、
皆が立ち上がっている。
ここからして、他のスタジアムとはちょっと雰囲気が違っていた。
そして、試合がはじまる。
YNWAがはじまる。
アンフィールドの試合開始前と言えば、YNWA。
つまり「You Never Walk Alone」の時間だ。
わからない人は、以下の名動画を見るだけでよい。
歌った。
声高に歌った。
タオマフ掲げ、声の限りに歌った。
この時、さっきの神々しい小雨がまた降ってきて
歌詞の「and the rain」と呼応した。
何だか、震えるほど美しかった。
そして、キックオフ。
試合についての写真は、そう多くない。
写真も撮らず、試合に溺れていた。
リバプールのファンは、ある意味わかりやすい。
ボールを奪えば、拍手し、
プレスがハマれば、拍手する。
奪えそうな瞬間、「get it!」と叫び、
プレスがハマりそうな時、「pressin!」と叫ぶ。
ゴール前で前向けたら、「shoot!」と声をあげ、
ゴメスが前を向いたら、「shoot!!」と合唱する。
長い歴史の中で、
クラブのフットボールをサポーターが理解し、支持しているから、
チームのプレースタイルと応援が、完全にマッチしている。
サポーターひとりひとりの声と拍手が、選手を讃え、鼓舞する主役。
チャントは、あくまで脇役だ。
たまに全員で「li〜verpool li〜verpool」とシンプルに叫ぶ。
たまに審判や相手チームに矢印が向くことはあっても、
声援はおおむね自チームに矢印が向いている。
彼らは、我がチームがどんなフットボールを見せるかが一番大事で、
勝利はその結果にすぎない。
0-0のスコアが続く。
若手主体のリバプールが古豪セインツに押されている。
ガクポは今日も決めてくれない。
でも我々はがっかりしない。している暇がない。
すぐに次のチャレンジを鼓舞し、賞賛する。
リバプールのプレイ同様、サポーターのトランジションが、滅茶苦茶に早いのだ。
そして前半終了間際、初スタメンの若手ルイス・クーマスが、一瞬のチャンスをものにする。1-0だ。
正直、ゴールが遠くてよく見えない。でもそんなことはどうでも良い。
皆が立ち上がる。爆発的な感情がスタジアムを覆った。
余韻冷めやらぬうちに、前半終了だ。
ハーフタイム。
ほとんどのサポーターが立ち上がった。
前半を口々に振り返りながらも、試合前と同様に、選手たちを称えるように、立ち続けている。
どうやらそれが、アンフィールドの流儀のようだ。
後半が始まった。
選手もサポも、テンションは前半と全く変わらない。
そして試合終了。
3-0でリバプールの勝利!
若手が躍動し、結果は快勝。セインツもがんばっていたのだが。
初アンフィールド。
「要塞」と呼ばれるそのスタジアムは、ファンの要塞だった。
ユルゲン・クロップ監督を見に遠く日本から飛んできたが、
来て分かった。クロップだって、この要塞に支えられた側なんだと。
それぐらい、ちょっと今までのスタジアムとは温度が違っていた。
選手を鼓舞し、称える要塞だ。
日本でよく言う「一緒に戦う」じゃないのだ。
あくまで主役はピッチ上の選手だ。クロップさえも脇役なのだ。
ここに集う人たちは、選手をencourageすることに特化している。
そして、選手のプレーを見ることを、心から喜んでいる。
だから強いのだ。
試合後、テンションを戻しながら、
『あぁ、帰りの渋滞とか混雑、今日は気にしなくていいんだ』と、幸せを嚙み締めつつRedsBarに帰り、まずは乾いた喉を潤した。
その後「The KOP END」も再訪。
ビールをたらふく飲んで、幸せな気持ちでゲストルームに帰って就寝。
あまりにも快適だ。
このスタジアム+Airbnbはヤバいね。一度味わうと。
翌日:昨夜の興奮冷めやらぬスタジアムツアーへ。
あさイチの時間を予約していたスタジアムツアーへ。
これも、至近のエアビーを押さえていたおかげだ。
祭りの後の余韻を残した街並みを抜け、アンフィールドに戻ってきた。
さぁ、ここからがスタジアムツアーの佳境。
選手とスタッフたちの聖地に足を踏み入れる。
そして、やってきました。
これを触りに来たと言っても過言じゃない。
「THIS IS ANFIELD」
要塞アンフィールドを表す言葉として、これ以上の言葉はない。
ここが、アンフィールドだ。
そしてツアーは終了。
いやー、世界最高のスタジアムは、世界にたくさんあると思うが、
ここ、アンフィールドは、間違いなく世界最高のスタジアムのひとつだ。
ユルゲン・クロップに会いにきた今回の渡英。
結果、要塞アンフィールドに恋する結果となった。
この稀有な二つが交わった、幸せな空間に、はいることができた。
後悔はまったくない。ありがとう。リバプール。
おまけ:2024/02/25 カラバオカップ決勝 リバプールvsチェルシー
3日前にリバプールが優勝したこの試合。
ウェンブリーのチケットは当然ながら手に入らなかったので、観光途中にメイフェアのパブで観戦。
結局、120分フルで観てしまった。目が離せなかった。
さて、リバプール編はこれで終了なのだが、
今回の旅で観戦したもう一つの試合についても、簡単に触れておきたい。
2024/02/24 プレミアリーグ第26節 ブライトンvsエバートン
さて、時をさかのぼること4日前。
僕はイングランド南部の街、ブライトンに来ていた。
前回の渡英で訪れているので、ブライトンは既に2回目だが、今回はちゃんと試合が観れる。
スタジアムで「a~lbion~ a~lbion」を合唱したい。
この、試合前の皆がビール飲んでワイワイ話している、この風景。
これぞ、プレミアリーグといった感じだ。
三笘は残念ながら欠場も、試合は白熱。
スタメンが発表され、三笘選手は残念ながらベンチ外。
今回は2試合とも、日本人選手を見ることができなかった。
が、ついてない時はそんなもんだ。
(前回エミレーツで三笘を見れているというのは大きい)
選手入場とともに雨があがり、陽が射してきた。
さぁ、試合開始だ。
試合はブライトンがポゼッションするものの、あまりうまく攻め入れない。持たされている状態が続く。
後半、エバートンに先制され、さらにボランチのギルモアが一発退場。数的不利となったブライトン。
ただ、スタンドは皆、まず1点返すことを信じている。
そして、試合終了が近づいたAT5分。
コーナーキックから、キャプテン、ダンクの劇的ゴール!
本当の土壇場で、ブライトンが同点に追いつく。スタンドは総立ちだ。
そしてすぐさまタイムアップ。
ブライトン、勝ち点1を拾った!
劇的な結末に興奮冷めやらぬまま、帰路につく我々を、曇った夕日がやさしく照らしていた。
なんだか子供に戻ったような、懐かしい気持ちになった。
最後に印象的な出来事が。
路線バスでブライトン駅まで向かったのだが、かなりの数のファンが、ブライトン市街地に入る前に次々と下車していった。
ロンドンまで帰る客は、本当に一握りだ。
ここは、ブライトンの近所や地元に住んでいるファンこそが、ささやかに長く支えてきたクラブなんだ。と改めて感じた。
アンフィールドと比べると、色々な意味でコンパクトなチームではあるが、その分、ローカルな親しみと強さを感じた試合となった。
フットボール文学ですっかり長くなってしまった。
次回は全く毛色を変えて、ロンドンで味わったエンタメの数々について。
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