やさしいって、うれしい。
四月、第三金曜日。
私は嬉しい。
朝、自分のミスに気付いた。とんでもないミス。すぐに報告しなければ。
「あの、すみません。お時間宜しいでしょうか?お伝えしたいことがありまして、、」
「うん。どうしました?」
あぁ、怒られる。
怒られるのならまだいい。絶望されたらどうしよう。昨日仕事ぶりを褒めてもらったばかりなのに。
「実は、、、」
私はミスの内容を一気に伝えて、すかさず謝罪。
「本当に本当に、申し訳ありません。」
「あらま。そうでしたか。でもそんなに気にしなくて大丈夫です。」
拍子抜けした。あれ?そんな感じ?
「でも、ミスはミスなので。本当に申し訳ありませんでした。」
「本当に大丈夫。今後気を付けるのみです。あの、それ以外にも話があったりしますか?」
「いえ、ミスは、今ご報告した1件です。」
「、、、はぁー。良かったー。」
「???」
「いや、最近僕がいっぱい仕事お願いしてるから、伝えたいことがあるって言われた時に、もしかして体調崩してしまったのかなと思いました。残業続いてるけど、体調は大丈夫ですか?」
感動した。
もう一度言おう、
感動した。
部下から、お話がありますと告げられて、辞めたいって言われるのかもと思う人は多くいる。
そうではなくて、私が体調不良かもしれないと、真っ先に浮かんだのですか?あなたの方がずっと、私より長い時間働いているのに?
優しいなぁ。
この人の為なら、何でも頑張ろう。この人が少しでも早く家に帰って、家族との時間が過ごせるように。たっぷりと睡眠が取れるように。
優しさに誓った、金曜日の朝。
*ーーー*
午後から、嬉しい来客。
先月まで勤めていた女の子が、挨拶にやって来てくれた。可愛くて、優しくて、天使さんみたいな人。地上にも天使は存在する。この出逢いは、まさに世紀の大発見だった。
私のデスクへとやって来て、こっそりと、「これ、お返事です。」と手紙を渡してくれた。
彼女の最終日に渡したお手紙への、返事のお手紙。私がただ伝えたかった感謝の気持ちと、あなたがどれほどに素敵なのかを綴っただけだったのに、まさかお返事を書いてくれるなんて。
そして、有ろう事か、お手紙の中で、褒め殺されてしまった。
もう、優しい。字まで優しかった。
金曜日の午後、天使さんと再会。
優しいお手紙をもらう。
「待って〜」と、帰ろうとする天使さんを追いかける同僚。
「今日、行きつけのカフェに行ったらサービスでクッキー貰ったから、どうぞ!」
そう言って、クッキーを渡していた。ここのクッキー大好きなんだ〜って、いつも話してる。
自分の大好きなものを、誰かの為に、軽々と手放す優しさ。
どうしてそんなに優しいの。大好きなクッキー独り占めしちゃう自分を想像して、お恥ずかしい。
今週末、私が好きなクッキーを買ってこようと思った。
誰かに優しさを渡したこの人には、誰かから優しさを受け取ってほしい。
おこがましいかもしれないけれど、そう思った。
*ーーー*
残業の原因だったプロジェクトも、本日がラストスパート。私ができるところまでは終わらせて、もう大丈夫ですよと言われたし、無駄に残ってもいけないので、今週もお疲れ様でした!と、デスクで一礼。
「週末は、ゆっくり休んでくださいね。」
上司と先輩に伝える。
「良い週末をね〜。」
後ろから、隣の部署の部長さん。いつも、チョコレートをくれる人。
お互いの週末を気遣うの、嬉しいなぁ。
「みなさんも、良い週末を〜。」と、扉の前で一礼。
扉が閉まるまで、手を振ってくれる先輩たち。
優しいなぁ。
週末は嬉しいけど、また月曜日が楽しみになった、金曜日の退勤。
*ーーー*
メッセージが届いていた。
東北に住む親友から、海が見える公園の写真。
新しい土地でも、お気に入りの場所を見つけてるんだなって、安心。
私のnoteを読んでいる貴重なふたりの友人の内のひとり。私の記事を読んで、早く会いたい〜!って思ったんだよって。
嬉しい。そんな風に思ってくれて、伝えてくれて。
私もだよ〜。早く、早く、会いたいよ。
優しい笑顔に会いたくなった、金曜日の夕暮れ。
*ーーー*
帰宅して、今週が終わった〜と、ひと息。力がみるみる抜けていく。お風呂にはちゃんと入って、あとはだらだら。
そこに、一通のメッセージが届いた。
「今週は本当にお疲れ様でした。おふたりのおかげで、無事終えることができました。ありがとう。ゆっくり休んで、良い週末を。」
チームのグループLINE。チームと言っても、上司を含め3人だけど。こんな言葉をわざわざくれる上司に出逢ったのは、初めてだ。
というより、こんな時間まで働いていたなんて。こんな時間まで働いて、誰よりも疲れているはずなのに、ありがとうを伝えてくれるなんて。
優しくて、嬉しいなぁ。
今週もお疲れ様です。あなたも、私も。
みなさん、今週も、ありがとうございました。
やさしいって、うれしい。
優しさが心に触れると、ほっこり。
優しさが目に見えると、にっこり。
優しさが耳に聞こえると、にんまり。
でも、その優しさを受け取るのは、自分じゃなくてもいい。
目の前で、自分の居る空間で、誰かが誰かに優しい。
それだけで、嬉しい。
いつも優しく在ることは、難しいけれど。
優しさの余裕がなくなるくらい頑張っている、そんな人に、誰かが優しく出来たのなら。
きっと、優しさは、広がっていく。
そう信じたい。
そんな風に思えた今日だった。
やさしいって、うれしい。
ありがとう。
おかげさまで、私は嬉しい気持ちです。
金曜日の夜、優しい人が、優しい夢を見られますように。
おやすみなさい。
じっくり読んでいただけて、何か感じるものがあったのなら嬉しいです^^