「ましろ」の食べたケーキは、どんな味?『子うさぎましろのお話』――絵本を思い出すところ#6
絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。
家の近くの大好きなパン屋さん。
クリスマスが近づくと、ガラスケースの中は
ケーキでいっぱいになる。
赤いイチゴに真っ白なクリーム、口に入れればとろけるスポンジ。
毎年注文するクリスマスケーキは、変わらない味。
この絵本知ってます? 真っ白なうさぎのクリスマスのお話。
「へー、知らなかった。そういや夫婦ふたりとも、
うさぎ年だよ」だって。笑
きらきらに飾りつけられたツリーが街中に輝いて、
行き交う人が、うきうきして見える。
あたりは暗くなり、駅前のイルミネーションが灯る。
ふかふかのスポンジを切り分けて、メリークリスマス!
「ましろ」の食べたケーキは、どんな味だったのかな?
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『子うさぎましろのお話』作/佐々木たづ 絵/三好碩也
クリスマスがやってきました。白うさぎの子「ましろ」は、サンタクロースからもらったプレゼントのお菓子を、ぺろっと食べてしまいます。もっとプレゼントが欲しい「ましろ」は、炭を体にこすりつけ、黒い毛をした別のうさぎになろうとします。サンタクロースは、それが「ましろ」だとすぐに気づきましたが、袋に入った一粒のたねをあげました。「ましろ」は家に帰るため、体についた炭をはらったり、こすったりしましたが、黒いところがとれません。「どうしよう。ぼく、ほんとに べつの うさぎに なっちゃったのかしら。」……。
1970年の刊行以来、クリスマスの定番絵本として読み継がれる名作です。嘘をついた罪悪感に悩まされる子うさぎ「ましろ」の、純粋な気持ちが胸に迫ります。温かみのある線で描かれた、透き通るような雪原の風景が印象的な作品です。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/3020003.html
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(文・編集/齋藤侑太 写真/白井晴幸 撮影協力/南阿佐ヶ谷 好味屋)
ポプラ社 齋藤侑太
1985年、茨城県生まれ。2012年、ポプラ社入社。営業職、社内デザイナー、幼児向け書籍の編集を経て、2020年から絵本の編集を中心に担当。
白井晴幸
東京都生まれ。2010年、多摩美術大学卒。作家として活動する傍らカメラマンとして本の装丁や風景、建築などを撮影している。≪Website≫