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”モヤっと”を抱えたまま進めず、お互いの期待値を擦り合わせよう

プライベートでも仕事でも”モヤっと”を抱えることは、誰しもあると思います。そんな時、その”モヤっと”を解消せずに進めていっても、いいことはありません。重要なのは、自分と相手の期待値を擦り合わせて合意していくことです。

お互いに”モヤっと”を抱える事態が発生

最近、新しいメンバーが私の管轄するチームに入ってきました。彼は、メインの仕事とは別に、社内業務の一環として委員会といったプラスアルファの業務を抱えていました。
彼はチームに入ったばかりなので、当然ながらメインの仕事がすごくできるわけではありません。さらに、委員会活動も「将来に向けてビジョンを考えていこう」という難しく大事なテーマなので、時間がかかるものです。彼は3年目くらいで、まだまだこれからビジネスマンとして成長しなければいけない時。難しい課題に週1〜2時間向き合ったからといって、できるわけがありません。それは側から見ている時点で明らかでした。

私としては、委員会の仕事も重要なことはわかりますが、正直関係ありません。当然ながら、メインの業務を優先してほしいわけです。サブの委員会の仕事で忙しいと言われると、「それって、どうなんだろうな」と正直”モヤっと”します。
また、弊社は、タイム管理をきちんとして、その中で終わらせようというのが運営スタンス。基本的に残業は禁止で、残業したとしても1か月15時間以内に抑えるというルールがあります。定時は9:00〜18:00なので、毎日1時間以上残業したら20時間以上になってしまいます。

彼としても、メインの仕事が大事なことは理解しています。でも委員会では、自分で立候補してリーダー的立場にあります。重要な役割を担っている分、委員会の仕事も大事だと言われているし、一方で残業するなという話もあるし…そんな大変な状況で「どうしたものか」と悩み、やはり”モヤっと”していたようでした。

”モヤっと”は即解決へ!1on1で2択を問う

ここで”モヤっと”しながら仕事を進めていくと、あまりいい空気にならないことは目に見えていました。チームのメンバーたちも、「なんかよくやっているけど、メインの仕事は全然できてないよね。私はやっているのに!」といった感じになるはず。一方で、彼自身も「申し訳ないな。でも委員会の仕事も大変なんだよな。どちらも会社の仕事だし…」という感じでうまくいかなくなるだろう、と。そこで、早めに1on1で相談してみました。

私が彼に問うたのは、今後の方向性の2択でした。
①時間内に抑えて労働時間を減らす代わりに、メインを優先してサブを抑える
②メインもサブも両方チャレンジしたいなら、多少残業することは許可するから頑張る

もちろん、メインの仕事をやらないという選択肢はありません。②の場合、残業が発生すると私は管理者としてリスクがありますが、そこは「許可する」としました。(上司に「やめろ」と言われたらストップをかけなければいけないかもしれないけれど、怒られるまではやろう、と)

最終的に彼が選んだのは、②でした。方向性を合意できたことによりお互いスッキリ!ほかのメンバーにも「彼はこういうスタンスで、きちんとメインの仕事もやるから安心してね」と伝えました。特別扱いというよりは、もし同じようにやりたい人がいたら残業を許可することもある、そういうスタイルもあると周知しました。

”モヤっと”を抱えて、物事を合意せずに進めるのはよくない

お互いに”モヤっと”を抱えて、物事を合意せずに進めるのはよくありません。双方のズレが何かを明確にし、方向性の擦り合わせをしていくのはマネジメント責任。これを怠ると、こっちも不安だしあっちも不安…という感じになり、いい環境にはなりません。

これは上司部下だけでなく、同僚においても同じこと。「これは違うと思う。私はこう思っているが、あなたはどう思うか?一緒にやっていくためには、どう擦り合わせていくのか」を話していくのが重要です。それがないまま”モヤっと”した状態が続くと、不満もたまってお互いに嫌な気分になっていくと思います。会社や組織の中でやりたい方向に決められないこともあると思いますが、迷って言い出せないまますれ違っていくのは最もよくありません。

もちろん擦り合わせたとしても、想像以上に時間がかかってしまうなど細かいトラブルは出てくると思いますが、大きな方向性を握っていればOKです。

適切な期待値を設定することは、経験をよくする

「2つのE」という言葉を聞いたことがありますか?「E」とは、「エクスペクテイション=期待」と「エクスペリエンス=経験」
感動や不安を生むのは、経験そのものというより期待に対する経験のズレが原因です。

例えば、空港で搭乗する際に1分待たされること。早いと思う人もいれば遅いと思う人もいるように、その人の期待とのギャップに対して評価されます。1分待つというのは、オペレーションやロジ的な問題であって解消できないことですが、「本当は10分かかるのを1分に短縮した」と思ってもらうか、「本当は10秒でできるはずなのに、1分かかるのはおかしい」と思わせるのか。期待値形成によって、経験の評価は変わってくきます。

適切な期待値を設定していくことは、経験をよくするためにすごく重要です。正しいコミュニケーションに正しい期待値が設定され、そこに正しい経験が提供できて初めて満足や信頼につながっていくという考え方で、これは会社の中でも一緒です。

期待値設定は誤りやすい

つい最近読んだブログの記事にも、この期待値を巡るエピソードがありました。

パートで働いているシングルマザーの人の話。暇な時は15:30に上がっていいとする一方で、その際も定時の16:00でタイムカードを押してあげるようにしていたそうです。生活が苦しいのを理解しているオーナーの配慮からでした。最初はそのパートさんも「本当にすみません」と言いながらもすごく喜んでいて、いい関係が築けていたそうです。
でも、ある時から「ありがとう」の気持ちなどなくなり、15:30に帰っても当然16:00のタイムカードを押してくれるといった当たり前の権利、ルールのようになっていったと言います。
そんな中、「30分仕事をしていないわけだし、時給で払っている以上さすがにそれはおかしい」と思って、ある時からタイムカードの押し方を是正。オーナーとしては、「気づいてほしい」という気持ちで行ったことですが、パートさん的には「これまでは、やってくれていたのに」という嫌な印象にしかならず、結果的に辞めてしまったという話でした。

これぞ、まさに期待値設定の問題。最初は「時間通りにタイムカードを押すのは当たり前」という期待値でした。でも、少し早く上がっても本来の定時にタイムカードを押してあげたことにより、期待値が上昇。そのことを認識せず、感謝もなく、それが既得権益になってしまっている時に是正したことは、期待値に対して下がる行為になってしまいました。
これは、期待値設定を誤ったわかりやすい例だな、と個人的に思います。

人間関係を円滑にするには?期待値設定の難しさ

上記のような例は、往々にしてあります。家族間でもそう。夫がゴミ捨てや子どもの送迎を当たり前にやっていればやっているほど、「やるもの」という期待値ができます。そしてやらなくなったら、「なんでやらないの?」という風になってしまいます。また、妻が料理するのを当たり前だと思っていると、それがなくなった時に「なんで作ってくれないの?」となってしまいます。
本来は、毎回「本当は忙しいから作れないかもしれないところを、作ってくれた。ありがとう!」と思う方が気持ちいいのですが、なかなかそうはならないところに期待値の難しさがあります。

自分から相手への期待値もそうですし、相手から自分への期待値もそう。適切に調整していかなければ、人間関係はうまくいかないと強く思っています。


「私はあなたにこう期待しています」、「相手は私にこう期待しています」というように、会社でも家庭でもお互いに「期待」というのがあります。その期待値を擦り合わせる作業は、難しいけれど不可欠なこと。うまく合意点を見つけて、よりよい雰囲気をつくっていきましょう。

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