「極めない語学」を極めるには(その①:「サバイバル語学」のすゝめ)
なんかトリッキーなタイトルですみません。
突然ですが、皆さんは英語はどれくらいできますか?あるいは他の外国語はどうでしょう?
語学の勉強って終わりがどこにあるのか、わかりづらいですよね。
「ゴールが見えない」というのも、継続できなくなる要因の1つかなあ、とも思います。
しかーし、語学が必要な時というのは、突然やってくるものです!
この間は、某シンクタンクからオーストラリア調査の企画書作成に協力してくれ、という依頼があったり、大学院の面談も一部英語で、みたいなことを突然言われたり・・・
英語だったらまだしも、他の外国語であればどうでしょう?
「できません!」と叫んで知らん顔しとくっていう手もあります。
でも、機会を損失しないためにも、最低限の対応はしておきたいじゃないですか?
そういうことで、今回は「語学をなんとかしたい」方向けに、私が思う語学学習について、独断と偏見に満ちた内容で書いていきたいと思います。
※「真面目に語学を極めたい」という素晴らしい気概をお持ちの方は参考にならないと思いますので、そういう記事がnotoにたくさんありますので、そちらを参考にしてください。
1.1つの外国語を極める必要があるのか?
日本人って、英語学習に必要な時間ってどれくらい必要だと言われているかご存じですか?
なんと、3000時間らしいです。
「米国国務省の機関FSIの調査によれば、日本人が英語を習得するためには目安3000時間が必要」ということらしいですが、一般的に中学と高校で1000時間くらいかけているらしいので、大学生以降は2000時間になるようですが・・・
一日2000時間って、一日1時間毎日勉強すると、約5.5年。毎日ではなくて、例えば週3~4回くらいで勉強すると、約10年あまりもかかる・・・
もちろん、留学に行けば、毎日英語に触れることになりますから、もっと短縮されます。英語を学習するためだけに何年も留学するということになると、費用がバカ高になります。
しかも、今って仕事がグローバル化していて、英語圏に行くよりは、アジア圏へのビジネス(あるいは旅行)が劇的に増えている状況かと思います。
そういう中では、英語+別の言語(しかも複数)というのが、スタンダードではないかと思われ、そうなってくると、1つの言語を深くやってられないよ、という状況になるのではないかというのが、実感するところです。
つまり多くの場合、1つの外国語を深く勉強するよりは、複数の外国語を浅くできるようになるーーーーつまり「極めない語学」が必要になってくるわけです。
2.1.5か月で現地の目的地に一人でたどり着ける語学を習得(サバイバル語学)
私は某シンクタンクでコンサルタントをしていた経験もあるのですが、とにかく当時はありとあらゆる案件の相談が来て対応しなくてはならなかったのです。
最も「語学が必要だ!」と痛切に感じたのは、インバウンド調査の案件。
今はコロナで訪日外国人が激減していますが、ちょうど観光庁ができたばかりの時で、案件が急増。私はマーケティングのコンサルなので、現地の消費者調査や消費動向調査などなど、なんとか対応しなくてはならない状況に直面しました(しかもリーダーとして)。
当時、日本に来る外国人って、中国・韓国・台湾・米国・香港あたりが5大地域と言われていました。来た案件が、3か月で中国本土(北京と上海)+台湾+香港+韓国を、現地調査を含めてやり遂げなければならないという過酷さマックス・・・
調査を受ける立場なので誰かがお膳立てしてくれるわけではなく、予算内でなんとかしないといけない。現地で通訳を雇うにしても、時間内にやり遂げるには最悪一人で目的地までたどり着かなくてはなりません。
そこで、けっこう必死に考えた。
「どうしたら最低限の労力でこの海外調査を成し遂げられるのか??」
それで、苦肉の策として思いついたのは「目的地に一人でたどりつける語学=サバイバル語学」の習得。
現地通訳を雇えばあとはその人がなんとかしてくれるからいいとして、問題は現地に自分ひとりで出かけて、通訳がいる目的地にたどりつくこと・・・。これを1.5か月足らずでやりとげる。(準備期間にかけられる時間のマックスでした)
でも、考えようによっては目的地にたどり着けさえすればいいのだから、なんだか大丈夫そうではないか?
と、根が楽観主義である私はそう考えた(そもそもこんな案件を引き受けること自体、楽観的でないとできないと思うが)。
英語は時間無いからやるのはやめ。なんとかなるさ(アジア圏の郊外に行くと英語が通じないし)。中国語と韓国語は全くやったことないけど、この2か国語だけに注力。
それでいろいろと調べてみると、韓国語の場合は、「ハングル文字」というほとんど記号ですか?としか思えない文字を読めるようになることのハードルがまずある。
これは探してみると、「2週間で読めるようになる」みたいな書籍が結構出ていたので、それでまずはだいたい習得(ま、本当に「だいたい」ですよ)。
さらに、「目的地にたどり着く」ためにどういうシーンに出くわすのか?を必死で想定して、そこで必要と考えられるフレーズ(例えば、チケットを買う、ホテルに滞在する、食事を頼む、道を聞く、お金を支払う・・・みたいな)を頭に叩き込む。
これは「旅行会話」みたいなサイトでインターネットでも調べることができるし、グーグル翻訳で必要なフレーズを音声とともに確認することができます。便利だ!
で、やってみて気づいたのは中国語の場合は、漢字だから日本人であればだいたい意味がわかることが多いと思うのですが、発音が日本語とはかなり異なるので、韓国語と同様に必要なフレーズを、中国語っぽく言えるように、ひたすら練習に練習を重ねる。
3.目的地へはたどり着いたのか?
それで、実際目的地へはたどり着いたのか?ということですが・・・
はい。たどり着きました!やりー!
一応、必要なシーンごとにフレーズは頭に叩き込んだので、現地でそのフレーズを使用し、目的(購入とか)は達成。ただし、想定外のことを言われると理解不能なので(当たり前なのだ)、できるだけ必要な言葉を言えそうなレベルで凝縮したフレーズを使用(例:「请一个人去中山公园」(中山公園まで1人分お願いします)とか)。
韓国語が堪能な友人に「全くやったことない私のようなものでも使えるフレーズを教えろ!」と迫ったら「そりゃー『괜찮아요(ケンチャナヨ=大丈夫です)』がいいよ。」と教えてくれて、これはかなり役立った。
日本語でも、レストランで「食事は大丈夫ですか?(食事はできますか?)」などと使ったりしても意味は通じると思いますが、同じように韓国語でも使えるのですね。
「신용 카드는 괜찮습니까?(シンヨンカドゥヌンケンチャンスムニカ?=クレジットカードは大丈夫ですか?)」「식사는 괜찮습니까?(シクサヌンケンチャンスムニカ?=食事は大丈夫ですか→営業しているかを確かめる)」などなど、前に日本と同じ単語を入れるとけっこう万能に使える。
別の適切なフレーズがあるのだろうけど、1.5か月だから、そんなごちゃごちゃしたこと言ってられないです。サバイバルだから、たどり着ければいいのですよ。割り切りが重要。
4.その後のステップ
実際の調査では、中国語と韓国語が堪能なメンバーがついたので、私が一人で現地に行ったのはそれほど多くなくて済んだのですが、予算と時間が限られている中での事業だと、こういうちょっとしたことができるかできないかで、心理的な余裕度が違う。何よりもクライアントに臆することなく事業を進めることができることが大きい。
昔、同僚のコンサルタントが、
「自分ができることであえて他の人に任せるのか、それとも自分ができなくて他人に仕方なく任せるのか、その姿勢は全く違うもんだよ」
と、言っていたことがあるが、それは全くその通りだと思う。
どういう姿勢の違いがあるのか。それはその事業なりプロジェクトなりを最後まで見通せることができるのか?ということにつきる。リーダーの役割は結局のところ、目的を達成する着地点をきちんと把握して予算をオーバーすることなくスケジュール内でやり遂げることにある。
その時に、もちろん自分で全部やる必要はなくて、うまくやり遂げられる方法で、求める期待をちょっとだけ上回る形で着地できれば、恐らく誰もが満足するのである。(この「ちょっとだけ上回る」というのが意外に重要)
結局のところ、今回の場合「なぜ中国語と韓国語を現地にたどり着くためだけに勉強したのか?」というクエスチョンに対しては、「無駄な予算と人材と時間を使うことなく時間内に終えるため」と、言えるだろう。
ただ、こうやって無理やりでも中国語と韓国語をとりあえずスタートさせてみると、現地消費者からの遅れて到着したアンケートで、すでに翻訳者に頼む時間もない時に、自分で辞書で調べて判読しよう、とか、現地の資料とかも簡単なものだと自分で調べてみよう、というように、次のステップにつながることも多くなるし、何よりも、「もう少し勉強すると、もっとスムーズに話すことができるかもしれない・・」というモチベーションの向上にもつながります。
ただ、私は基本的に、あんまりお金をかけずに語学を勉強したいと思っていて、英語も特に留学に行ったわけではありませんが、ほぼ独学でTOEICは800点以上達成しています(ちなみに「サバイバル語学」を始めた時は800点は達成していませんでした。その後コスパ重視で飛躍的に伸びました。)
※TOEICで900点近くを目指すためにはもっと時間かけて勉強とテクニックを習得する必要があると思うけど、今は別に注力することがあるので中断しています。
それでめちゃくちゃおすすめなのは、「NHKゴガク」。特におすすめなのがラジオで放送されている「まいにち●●語」のシリーズです。
「ラジオ」と言ってもインターネットの「らじるらじる」でも聴けますが、これがコスパがよくて素晴らしい教材なのです。
英語のみならず、1か月1つの言語につき数百円(テキスト代)で学べるのですよ。数百円ですよ?
すごいよ、NHK!
ということで、次回はこの「NHKゴガク」のことについて書いてみたいと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?