細川洋平(ほろびて)

yohei hosokawa 演劇カンパニー・ほろびての主宰、劇作、演出/俳優/アニメ…

細川洋平(ほろびて)

yohei hosokawa 演劇カンパニー・ほろびての主宰、劇作、演出/俳優/アニメライター

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掃除機のコードをつかってファミコンのACアダプタを抜く方法

2024年10月3日  一人芝居の題材をかんがえている。発表や情報解禁はいっそいいとして、年明けに一人芝居をすることにした。先月上演されていたガルバで仮チラシを折り込んでいたのだけど、誰からも「見た」と言われなかった。誰にも見られていないのだろう。仮チラシはZINEを作るみたいで、『ミネムラさん』と重ね合わせながらのたのしい作業だった。とても時間がかかったけれども。  一人芝居、というか、そういうことを、このあたりでやっておくべきだと思っていた。演出家としても活動する身とし

    • 「縛られたプロメテウス」

      2024年10月1日  過日、小泉明郎『縛られたプロメテウス』を見に、BMW GROUP Tokyo Bayまで足をのばした。台場付近はあまり土地勘もなく、はじめていく場所でもあるし、駅からもすこし歩く。1時間ほどまえに到着して、同ビルに併設されている喫茶店でアイスコーヒーをたのんで、本を読んですごす。  場所は名前のとおりBMWが試乗できる場所で、ガラス張りの施設内からは、ミニクーパーがとまっているのが見えた。トイレにいくと男子トイレは広々としていて、掃除もいきとどいてお

      • 『ミネムラさん』劇作の成り立ち(細川視点)

        2024年9月27日  劇壇ガルバ『ミネムラさん』無事に終了しました。 ご来場いただいた皆さま、誠にありがとうございました。すばらしい現場でした。  このエントリでは、作品の成り立ちや構造について、細川サイドから簡単に説明しておこうと思いました。 時系列で箇条書きに書いていきます。 ・何度かの打ち合わせを受けて3人がそれぞれ台本や構想を提出。 ・タイトルやコンセプト出しははじめさん。 ・書き方が3者で違うので当然ですが、スタートが早かったのは山崎元晴さん。次に笠木泉

        • 花瓶にもたれかかった花びらが

          2024年9月18日  劇壇ガルバ『ミネムラさん』のアフタートークに登壇してきた。  笠木泉さんと山崎元晴くんに感じていた思いを少しは伝えられたのかな。楽しい時間だった。お付き合いくださったみなさま、本当にありがとうございました。長い時間を三人で歩いてきたんだなと、笠木さんの言葉で思い出し、元晴くんの存在で一人じゃなかったなと思い出した。書く時は一人だけども。しみじみしてしまった。  今年、有料で人前に出るのはこれで終わりかな。連日いろんな方が、ガルバに足を運んでいる。改

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          湿布を貼る場所を間違えたと思いながら夜まで

          2024年9月13日  今日は劇壇ガルバ『ミネムラさん』初日を見届けた。通しより何倍も噛み締めた。俳優みなさん素晴らしく、スタッフワークも演出の試みも目の前にあり、統合されていた。  制作の陣内さんから販売用パンフレットを受け取る。思いの詰まったデザインというのは手に取るだけでもホクホクする。稽古場には数えるほどしか顔を出していなかったので、自分がチェックをした部分以外がどのような内容になっているのかは初めて知る。  今回参加した3人の作家のなかで僕だけが先に作業を抜けた

          湿布を貼る場所を間違えたと思いながら夜まで

          丸めたヨガマットを肘置きにして

          2024年9月1日  午後。藤代くんがほろびてに入ったことを発表する。たくさんのことがあり、それを書く機会は訪れないかもしれないが。この先がすこしたのしみになる。  大事なことが柱みたいに立っていく。  先日の話だが、ガルバの有料パンフレットに寄せる文章を締め切りギリギリに送る。台本もそうだが、書くべき要素が決まっていてもどれをアウトプットするのかで迷い、頭の中で組み換え、書いては書いては何度も書き直す。で、カチッと何かが噛み合う瞬間があって、ゼロから書き始めるとあらかた

          丸めたヨガマットを肘置きにして

          まとめ買いしたスケッチブックはこの夏も手つかずで

          2024年8月26日  ほとんど1日中家から出ずに作業。いつものことだけど、途中からイメージが氾濫するので頭を冷やすために小休止をいれつつ。  昨夏読んだ『STONER』が胸にまだ響きを残している。あんな作品を残してみたい。昨年は『HHhH』からはじまり、1945年付近の資料をとにかく読み漁っていたが、ものすごい量だった。近年、ああいうふうに様々な角度から同じ時期を研究されることがあるのだろうか。  作家の逡巡を、「世界」2024年9月号の兼島拓也さんと上間陽子さんの対談

          まとめ買いしたスケッチブックはこの夏も手つかずで

          同じ長さの菜箸が見つからなくて

          2024年8月24日  生きていくのは大変だ。大変だよな。本当に。  シェイクスピアやチェーホフのセリフがしみるって、生活水準が向上しようと、寿命が伸びようと、事態に対する人間の対応というものの伸びしろどんだけあるんか、という感じだ。つまり精神構造は変わっていないということか。どうなんだい。  子どもの頃に戻りたくないが、ここ数年の年齢の増え方は加速度的だ。あっという間にこんな年になった。それで、戻りたくはないが、言いたいことはある。小学校1年の自分と、小学校5年の自分に、

          同じ長さの菜箸が見つからなくて

          冷蔵庫はいつも空か、密か、どっちか

          2024/08/22  自分の口よ止まれ、という時が訪れる。とにかくまた積み上げていく。  ガルバのパンフレット用の座談会収録があったので、稽古場にお邪魔して稽古を見ていた。ただ、たのしく笑っていた。その後、一さんと西本さんから台本についての意見をもらう。その意見が知れただけでも大収穫ではあった。  ほくほくした心で帰路についていたところで、また幸せなご報告だろうなと思いながら読んでいたSNSの情報が真逆で、したたかに衝撃を受けた。田中敦子さん。  月刊ニュータイプで「文

          冷蔵庫はいつも空か、密か、どっちか

          飼い犬の名前はペル

          2024年8月19日  母の誕生日。花を買い、持っていく。80才だ。この数年考えることが増えたが、こういう感情を愛と呼ぶのなら愛とはほんとうにこんがらがっているしどこにも進まないかもしれないがどこかに進むかもしれない、たった一人を果てしなく突き動かす力があるのかもしれない。  花屋で、赤を中心にしたものもあったけど、ひまわりが大きく映える黄色、橙色の花を集めたものを選んだら、傘寿(さんじゅ)は黄色系でお祝いするらしいと知り、安心した。母は、笑って泣いて、笑っていた。  朝は

          飼い犬の名前はペル

          カバンには水分を吸わないハンドタオルしかない

          2024年8月18日  劇壇ガルバの稽古場にお邪魔する。自分の担当パートを稽古初日の本読みを経て書き直した、その部分を確認するため。稽古場ではみんなにむかえてもらい、親戚の家に来たみたいな気持ちになって、気恥ずかしくなる。ぼくも自分の稽古場であんなふうにいろんな人をむかえたいと思った。  前回のガルバで感じた、憧れるような大人たち、先輩、同世代、後輩、そういう人たちの姿をまた今回のガルバでもみんなの中に見ている。  有料のパンフレットに収録されることがあるので、創作のこと

          カバンには水分を吸わないハンドタオルしかない

          靴下を履かずに持っていた

          2024年8月13日  墓参りへ。強火で熱したフライパンの上みたいな日照りの中でも、お盆の霊園は大変にぎわっており、細川家の墓地の隣の家族の方と初めて対面した。霊園の事務所で涼をとって、5年生から通った小学校の近くのかっぱ寿司にいく。数年前まで1皿100円、安い、高くても300円、いいネタだから安い、と思っていたけど、今や物価が全然違う。メニューをめくるたびにびっくり。  くすぶるような悲しみが逃げ道もなくつもっていく。  「物語」に逆らうような物語をずっと考えているけど

          靴下を履かずに持っていた

          夏の日差しと雷雨

          2024年8月9日  長崎県民祈りの日。何度か書いているが、小学1年〜5年生まで山口県下関市に住んでいたことと、父の旅行好きが重なって、九州は全県旅行に連れていってもらった。場所に行くことはその土地とつながりを持つことなのだなと何年も何十年も経ってから思う。  最近はじめた「あすけん」というアプリ、全然知らなかったのだけど、今の自分には知りたい情報が沢山あって驚いた。食に丁寧になりたいと思いながら作業が入るとまず食事を二の次にしてしまう。でもこのアプリだと栄養素毎に数値化し

          ミネムラさん

          2024年8月1日  7月がおわった。おわってしまった。いいさ。また来年会おう。  8月は家族の誕生日がつづく。広島、長崎の原爆の日、終戦記念日と同時に夏は子どもの頃からいろんな色がかさなる月だった。  そういえば10年くらい前に、街頭インタビューで8月15日がどのような日であるのか答えられない若者が映ったテレビの”キャプチャ”画像を見た。知らない人もいるだろう。統計学的にはいくつかのデータを取ればその年代の傾向がはじき出せるというが、テレビのニュースバラエティで絵になるのは

          およぐ

          浅瀬からやがて沖へ出る その下にはまだまだ知らない場所があるから もうすこし潜ってみる そのうち深海 まわりには光が届かない 水圧にあわせるようにゆっくりと身体をうごかして ふかく息ができるようになる どこにも線はない 見渡すかぎりを泳いでいける 急がずにおよいでいく そこらじゅうに食べものがあってあきることがない はじめて食べるものばかりで楽しいんだ 一年 二年 三年と過ごす 届かない光に身体がなれてきて目がかすむけど だからといって たべるのに困るわけじゃない ヒレを動か

          三軒茶屋とtoe

          2024年7月18日  日記ではないが、日付を入れる。  今日は三軒茶屋へ。柴田啓佑監督と久しぶりに会いいろいろと話す。柴田さんはクレバーで先のことを多様に考えている。眩しい存在だ。  柴田さんに会う前にキャロットタワーのTSUTAYA BOOKをぶらっと見てまわる。TSUTAYA BOOK STOREではなく、TSUTAYA BOOK。ロゴもピンクだったか黄緑だったかになっていた。レジの脇にある新刊コーナーをぼけーっと眺めていたら、売り場からスタッフさんがやってきて、ぼく