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【現地就職】ウィーンでの就職活動

2024年3月よりフルタイムで就職しました。やはり「仕事をする」というのは精神衛生上とても重要であると無職の期間を通して実体験しました。この記事ではウィーンでの就活体験記をまとめたいと思います。どなたかの参考になれば幸いです。


ぽめ子の経歴

ひとまず私の経歴をサラッとご紹介します。
年齢:20代アラサー
学位:博士号(医療系)
経験:研究員を1年半ほど(Vollzeit)、その他臨床業務経験あり(Teilzeitのみ)
語学:英語(C1)、ドイツ語(B1)

仕事の探し方

求人サイト

  • LinkedIn
    LinkedInは王道ですね。私もLinkedInを通して求人を見つけ、応募し、採用に至りました。特に英語対応の求人が多く見つかる印象です。

  • karriere.at, Stepstone
    これらはオーストリア版の転職サイトです。LinkedInに掲載されている求人の多くは、こちらにも掲載されています。ただし、オーストリア人やドイツ人向けのサイトなので、ほぼドイツ語必須の求人ばかりです。

  • SNS経由
    例えば、Facebookには「ウィーンの英語の仕事」といったグループがあり、ドイツ語ができない移民が情報交換しています。個人的には利用したことがありませんが、日本人専用の掲示板では、ジャパレスバイトの求人をよく見かけます。

  • 研究者向けサイト
    研究者向けのポスト(ポスドクから教授まで)はLinkedInにもありますが、以下のサイトでも探せます。私は日本の大学院での専門をオーストリアで研究している研究者を見つけられず、職探しに苦労しました。

  • 国連の求人
    ウィーンにはIAEAなど国連のオフィスがあり、Gポスト(現地採用)の募集がよくあります。これらの求人は以下のサイトにまとめられています。

Initiativbewerbung

Initiativbewerbungとは、企業のホームページなどを調べて、自分の専門に合った企業の採用担当者や人事担当者に直接連絡を取る方法です。私はこの方法で1社に応募しました。

AMS (ハローワーク)

AMSは日本のハローワークのような機関です。Arbeitsuchende(無職/就職活動中)としてAMSに登録すると、職業訓練やドイツ語講座を無料で受講できます。しかし、私の周りではAMSで良い経験をしたオーストリア人が少なく、結局登録しませんでした。どうしても仕事が見つからなければ頼ろうと思っていました。

AMSの不利な点として、「提案された面接は必ず受けなければならない」というものがあります。自分に合った仕事を紹介してくれるとは限らないので、AMSは最終手段として考えるのが良いでしょう。

必要書類

最低限必要なのは以下の2つです:

1. 履歴書(Lebenslauf)
2. 志望動機書(Motivationsschreiben)

学位記や語学証明書を一緒に送った方が良いという意見を聞いたことがありますが、オーストリアで人事業務をしている知り合い数名に尋ねたところ、履歴書と重複するものについては応募時点では不要とのことでした。

履歴書の書き方

フォーマットは日本の履歴書とは異なりますが、内容はそれほど変わりません。私が書いた内容は以下の通りです。

  • Namen(名前):大きくトップに書く

  • Foto(顔写真):上半身が写るタイプのものを使用しました。日本で撮影しました。

  • Persönliche Daten(個人データ):住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、出身地

  • Ausbildung(学歴):大学以上の学位を記載。高校から書く場合もあるようです。

  • Berufserfahrung(職歴):応募するポストに関連する業務を中心に、バイト経験も記載

  • Training(資格):オーストリアの資格はありませんが、日本での医療資格を記載しました。

  • IT Kompetenzen(ITスキル):大学院で使っていた解析ソフト、MSオフィスなど

  • Sprache(言語スキル):証明書がなければおおよそのスキルを記載

最近では、名前や写真、国籍を載せない履歴書も許されていますが、情報が少ない履歴書は採用につながらない気がして、必要なことは全て書くようにしました。

志望動機の書き方

具体的に「なぜ私がこのポジションに適しているのか」を書きます。私の志望動機書は以下の流れで構成しました。

  1. なぜこの求人に興味を持ったのかを端的に述べる

  2. これまでの主な業務や能力、応募ポストとのマッチングポイントを説明

  3. これまでの経験の中で応募ポストに関連するものを挙げる

  4. 自分がどのような人物で、なぜこのポジションに適しているのか、採用されたらどう貢献できるかをまとめる

履歴書はA4で2枚、志望動機書はA4で1枚に必ずまとめてください。書いた内容は現地の友人に見てもらい、ネイティブチェックを受けることをお勧めします。
StepstoneのホームページにはさまざまなTipsが書かれているのでとても参考になります。

推薦書について

求人によってはリファレンス(前職の上司からの評価など)が必要なことがありますが、私が今回応募した会社では全て不要でした。日本の職場を退職される際に、上司に頼んでおくと良いでしょう。

その他の資料

履歴書に書ききれなかったPublication listや参加した研究プロジェクトについては、1~2枚にまとめて別添えにしました。履歴書に入れると長すぎるため、別添えにすることで相手に読むかどうかを任せられるようにしました。

仕事への応募の仕方

仕事の応募は基本的にメールです。必要書類を添付して、指定のアドレスへメールを送ります。

以下は私が応募時に使用したメールのテンプレートです。ご自身の背景に合わせて、学位を経験に変えたりしてください。

件名:Stellenausschreibung: (ポスト名)
本文:
Sehr geehrte Damen und Herren,

ich bin durch Ihre Stellenausschreibung auf LinkedIn und Ihrer Homepage (URL) auf Sie aufmerksam geworden.
Ihr Bereich und Ihr Projekt wecken großes Interesse, unter anderem auch, weil ich an meiner Universität (専門科目) studiert habe.
Ich habe einen (学位) und habe an mehreren Projekten gearbeitet. Ich finde, dass meine Qualifikationen Ihrem Anforderungsprofil gut entsprechen, deswegen sende ich Ihnen hiermit meine Bewerbungsunterlagen.
Über eine kurze Rückmeldung würde ich mich sehr freuen und gerne stehe ich jederzeit für ein persönliches oder Online- Bewerbungsgespräch zur Verfügung.

Vielen Dank und mit freundlichen Grüßen,
(名前)

応募後の流れ

面接に呼ばれない場合

会社によっては何の連絡もないところもあります。私は3社に応募しましたが、そのうち1社は面接に進むことができませんでした。大分遅れてから「他の人に決まりました」というお祈りメールが届きました。

面接に呼ばれる場合

通常、先方からメールで連絡が来ると思います。会社によっては、正式な面接の前に「相手のことをもう少しよく知る」目的で電話で簡単なインタビューを行うこともあります。夫が就活した時は、突然電話がかかってきてCEOと10分ほど会話し、その後メールで面接日の設定と課題の提示がありました。

メールで日付と時間の候補を提示されるので、そこから選んで返信しましょう。私は1社はMicrosoft Teamsでのオンライン面接、もう1社は対面での面接となりました。

面接

面接の準備

  • 企業研究
    非常に重要です。自分の経験がどのようにその会社で活かせるかをしっかり話せるように、業務内容などを確認します。当然ですが、会社のHPは全てしっかり目を通しました。

  • 自己分析
    志望動機、応募ポストの業務内容の復習、これまでの経験、長所(それを仕事にどう生かせるか)、短所(それをどのように解決しようと努力しているか)などを事前にまとめておきました。短所については性格だけでなく、ドイツ語力がまだ乏しいことも含めました。

  • 語学の練習
    1社は応募から全て英語だったので、面接も英語で行われました。もう1社は応募が全てドイツ語だったため、事前に「英語で面接してほしい」とお願いしておきました。夫の協力のもと、模擬面接を英語で行い、当日緊張していても言いたいことを言えるように練習しました。

  • その他
    1社は研究主体の会社だったので、会社のHPにある従業員のPublication listを確認しました。募集が出ているプロジェクトに関する論文は事前にしっかりと目を通しておきました。事前知識があるとないとでは、面接のスムーズさが全く違います。研究者にとっては当たり前の話ですが、応募先が大学や研究所でなくても、Publication listと原著論文の確認は忘れずに行いましょう。

面接当日の流れ

持ち物

  • 提出書類(履歴書、志望動機書)のコピー

  • 募集要項(Stellenanzeige)のコピー

  • 身分証(使用しませんでした)

  • お水

  • iPad(自分なりにまとめた考えや企業研究データを確認するため)

服装

  • 紺のロングコート

  • ライトグレージャケット

  • 白いブラウス

  • 黒いパンツ

  • ヒールの低いパンプス

    日本のようにリクルートスーツを着て面接に臨むのはあまり一般的ではなく、オフィスカジュアルで行きました。

到着時間
面接開始の10分前にオフィスに入るのが理想です。私は早く着きすぎてしまい、ビルの前で立ち尽くしていました(笑)。

面接で聞かれたこと、面接機関

  • 自己紹介と志望動機の簡単な説明

  • 仕事内容の説明→聞いた内容を踏まえてポジションに対する興味の確認、業務内容に関する質疑応答

  • 大学院での研究内容と結果について

  • 仕事の進め方についての説明(フレックスタイム制、ホームオフィス、職場環境など)

  • ドイツ語力についての質問、今後の学習計画

  • 私からの質問

    所要時間は約30分でした。日本とは違い、ソファーに腰かけてリラックスした雰囲気で進行されました。面接官は社長と副社長でした。
    夫が就活した際は、事前にプレゼン課題が渡され、プレゼンを含めて約45分、面接自体は30分程度が標準的なようです。

面接後の対応

Stepstoneのホームページによると、面接後に感謝のメールを送ると良いと書かれていたので、翌日に以下のようなメールを書きました。

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Sehr geehrte/r (面接官の名前),

hiermit möchte ich mich gern bei Ihnen für das informative und freundliche Gespräch bezüglich der Stelle als (ポジション正式名称) bedanken.

Ich habe verstanden, dass die Aufgaben darin bestehen, (以下面接で聞いた業務内容を端的にまとめる). Ich finde, dass das spannende Aufgaben sind und ich würde mich freuen, hier einen Beitrag zu leisten.

Wie gestern im Gespräch erwähnt, empfinde ich die Arbeit (業務の重要性) als sehr wichtig, und ich würde mich geehrt fühlen, wenn ich meine Erfahrungen Ihrem Team zur Verfügung stellen darf. Dementsprechend würde ich mich sehr über eine positive Rückmeldung freuen.

Wenn Sie noch Fragen zu meiner Bewerbung haben, melden Sie sich gerne jederzeit per E-Mail oder telefonisch unter (電話番号).

Mit freundlichen Grüßen,
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結果報告

私の就活結果ですが、3社に応募して2社で面接に進み、1社で内定をいただきました。感謝のメールを送ってすぐに、内定通知が返信されてきました。

Initiativbewerbungをした会社は、私の経験に興味を持って面接まで進めてくれましたが、最終的には「当該ポジションの採用者はドイツ語母国語話者でC1以上が妥当」とのことで不採用となりました。社内データアナリストのポジションだったので、社員と問題なくコミュニケーションを取れる人が望ましいとのことでした。不採用の理由は理解できますが、やはり悔しくて悲しかったです。オーストリアでも「今後のご活躍をお祈りしています」というメールが来ます(笑)。

実際に本腰を入れて就活した期間は1か月もありませんでしたが、自分の経験や資格にマッチする求人を見つけるまでには半年ほどかかりました。月に数回、決まったキーワードで検索をかけていました。

日本と違い、オーストリアでは候補者が業務内容にどれだけフィットするかが採用の決め手になります。諦めずに求人を探し続けることと、ドイツ語を日々磨くことが大切です。特出すべき経験や学位がない場合、最低でもB2レベルのドイツ語力が必要で、その場合ビジネス英語も必須となります。

以上が私の就活体験記です。どなたかの参考に案れば幸いです!

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