北極星🇰🇭【スーパースターを目指すカンボジアの若者たち】第13話
🇰🇭ポラリックスの誕生
カンボジアは、タイのお隣に位置しています。
陸で繋がったお隣なんだけど、当時その文化には大きな差がありました。
ダンスのレベルなんかは雲泥の差。
ケンは、世界を目指す事務所のメンバーに「世界のパフォーマンスとはどういうもんか」
を見て体感し、目標にして欲しいなぁと思いました。
カンニャがリサーチした結果、タイのパタヤでダンスバトルが開催されることが判明。
募集要項に沿って事務所メンバーで創作ダンスを踊ってビデオ撮影し、ダンスバトル大会側に送ったところ、なんと無事に選考を通過して参加できることになったのです!
さて、ここで浮上した問題が「チーム名」です。
事務所に所属するみんなには、まだチーム名がありません。
ケンは、みんなにチーム名を考えるように指示を出しました。
「ただし、あんまりありきたりな名前はダメだからな」
みんなでウーンと悩んで数日後。
7月7日、七夕がやって来ました。
レナは自己満で、事務所前の植物に短冊をくくりつけ、(…あ、願い事は聞かないてあげてね、どうせ金のことだから)一般常識のレッスンの時には「星座」についての話をしました。
ちなみにカンボジアのみんなは学校で宇宙のことも少しかじるみたいだけど、けっこう覚え間違い?してました。
月が太陽よりデカいと思っていたり、
いわゆる「水金地火木土天海冥」みたいな、宇宙に惑星が並んでいることも知らなかったし(今は順番違うんだっけ?)
地球がいかに「奇跡の惑星」であるかも知らなかったんです。
レナは、素直に目を真ん丸くして宇宙の話を聞くみんなに機嫌を良くして、
みんなの生まれた日にちで星座占いできることとか、北極星のことを話しました。
「北極星という星があって、それは、昔の人にとって重要な星だったんだって。
何故なら、北極星はずっと動かない星で、昔の人は道に迷うとその北極星を目印にしたんだって。
北極星って、人の道を照らすスーパースターだね!
あれぇっ!私の目の前にもスーパースターを目指す人たちが!
スーパースターってのは、迷ったり、元気がでなかったり、一生懸命頑張ってる人のことを明るく照らして導いてあげられる人のことを言うのかもねぇ。
みんなも立派なスーパースターにならなきゃねぇ~。
はい、今日の授業はこれでお終いです。」
レナは思いました。
ふっふっふ、今日の一般常識の授業、キマッたな・・・。
その日の夕方、ダンスの練習を終えた事務所のメンバーが、バタバタと夕飯準備中のレナのところへ駆けて来ました。
「レナ!!!ダンスのチーム名、Polaris(北極星)にする!」
「ええっ!?ちょっと待った、もしかして今日の一般常識の授業のせい?」
「そうだよ!」
「私はそんなつもりで話したんじゃないんだよ、よーくもう一回考えてごらん。チーム名は一生残るから、よーく考えて決めたほうがいいよ。」
「大丈夫、これに決めた!ケンのところへ報告しに行こうぜー」
バタバタとみんなはケンの元へ。
「ケンちゃん、俺たち、チーム名決めたよ!Polarisにする!」
「ばかやろう、Polarisなんてありきたりじゃねぇか!ボツ!」
「えー!うーんと、じゃあ・・・ポラリックスにする!」
「えぇ?なんだ、その“ックス”ってのは?」
「ねぇ、良いでしょおーーー!お願い!」
「まあいっか、じゃ、ポラリックス(POLARIX)ね。オッケー!」
こうして、ポラリックスが誕生しました。
無事にチーム名が決まり
ミッキーとカンニャでみんなのパスポートを準備して、タイに向かいました。
初めての飛行機、初めての電車、初めての高速道路
そして、初めて見るいろんな国のダンサーたちのパフォーマンス
ポラリックスは、ダンスバトルではぶっちぎりの最下位でした。
わかってはいたけど、ちょっとガッカリした気持ち、これからもっと練習しなくちゃという気持ちを胸に、カンボジアへの帰途に着きました。
ちなみに男子たち、タイや韓国の可愛いダンサー女子たちにうっとり。
ソヒャップはオネェならではのコミュニケーション能力を活かしていろんな国のダンサーにキャッキャと話しかけてお友達に。
ダンスバトルの最後に、司会進行をしていたシブい年輩のタイ人DJさんが、ポラリックスに向かってこうアナウンスしてくれました。
「君たち、カンボジアから来てくれたんだってね。来年も待っていますよ。」
そして、タイ人のダンサーさんたちが、次々に声をかけてくれたの。
「次のダンスバトルがバンコクであるから、参加しない?俺たちが交渉してあげるよ!」
ポラリックス、世界って広いわね!
そして、世界ってあったかいわね!
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