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信じることを諦めない

子供の時は年末年始が一番好きでした。

子供にとって忙しいのか、暇なのかよく分からない独特な空気。当時、家のテレビを点けたらモノクロの古い映画をやっていました。

タイトルは「34丁目の奇蹟」(1947年)
私が観たのは、サンタクロースが裁判にかけられるシーン。
ここしか覚えていません。
多分、途中で寝てしまったからです。

あれから20年近くの月日が経ったお正月。突然この映画の存在を思い出して観ることにしました。

(あらすじ)
ニューヨーク。マンハッタン34丁目にある
百貨店メイシーズ。
クリスマス商戦の幕開けとなる感謝祭パレードに現れた白髭の老人クリス・クリングル。
人事係のドリスの判断でサンタ役の代役を務めることに。
自分を本物のサンタクロースだと言うクリスに周囲は戸惑いながらも、彼の知性や優しさに溢れた仕事ぶりでメイシーズは大盛況となる。
順調に見えたクリスマス商戦だったが、とある出来事がきっかけでクリスは
「サンタは本当にいるのか」という裁判にかけられることに。


法廷という超現実的な場でどうやってサンタの存在を証明するのか。
ファンタジーとリアルが混ざったオチの付け方がとても爽快でした。

作中、ドリスが娘のスーザンに言うセリフ

信じていれば常識は問題じゃない。
物事が思い通りにいかなくても
相手を信じることを私は知ったの。

今だからこそ響くものがありました。


私自身、子供を出産するまではクリスマスが繁忙期というメイシーズのような職場で働いていました。

たくさんの人が1年に一度のイベントに向けて 大変だ、忙しいと言うけれどその顔はとても嬉しそう。お祭りの中で主人公たちを近くで眺めるセリフのない登場人物のひとりとなって、高揚感のお裾分けを貰っていた私。とてもキラキラして充実した時間でした。

今はそのキラキラとしたお祭りから離れて
「あまり人の多い場所はね。」と言いながら
息子と夫と家の中や外でマイペースに過ごしています。

このご時世という事情もあるのだけど、生まれつき他の多くの人とは違う疾患を持っている息子が年末年始に救急病院にお世話にならず入院や手術の予定も入らない。
普通に家で過ごせるというだけで私にとっては最高に贅沢な年末年始なのです。

少し前、息子と同じように生まれつきの身体の事情でクリスマス前に手術を受けた小さなお友達のお母さんから連絡がありました。

その子は手術が終わって年末には退院になる予定だったのに、思わぬ事で入院が長引いてしまうことに。
詳しく聞けば、1年前の私が経験した状況によく似ていました。


高度な医療が発展し続ける現代で、万全の体制で挑んだ手術でも予測できない事態に見舞われること。
医療ドラマみたいに展開がサクサクと進むわけじゃないんだ現実は。

その度に自分の子がどれだけのリスクを持って生まれてきたのか、奇跡を実感する一方でうまくいかない現実に絶望したりする。
入院中は特に感情の波の狭間で生きています。

「一番頑張っているのは子供なんだから
私が泣いてちゃダメだよね。」

友人の気丈な言葉に私は「そうだよね!頑張って!」と励ますこともできたと思うけれど、似たような経験があるからこそ簡単にその言葉を返せませんでした。

絶望の中にいる時こそ「大丈夫」と信じるしかない。
信じることって難しい。信じるって時には耐えてじっと待つことだと思います。

それでもドリスの言うように、うまくいかない時でも信じることを諦めなければ…きっと。
毎日は少しずつ変化していくはず。

今日より明日が良くなるように。
いつかお友達とたくさん遊べますように。

今頑張っている彼女に小さなエールを送りました。
今年も来年もずっと明るい未来を信じています。

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