”かわいそう”と思わないで|カミングアウトできない理由。
”「私は双極性障害です」”
言葉にしようとすると
唇に力が入る。
心がきゅっと冷たくなる。
引かれないかな。
心配されないかな。
”かわいそう”って思われないかな。
私の地元はかなりの田舎で、
スーパーに行けば半分以上は知り合い。
同級生の顔と名前は全員知ってる。
誰と誰が付き合っていて、
誰がどこで不倫しているかまでわかる。
そういう環境で生きてきたから、
人の目線にはとても敏感に育った。
ただの雑談。ニュース。情報。
そんなふうに思えない。
だってそこには 必ずといっていいほど、憶測や感情がのっているから。
「○○さんちの息子さん、私立大受かったんだって!旦那さん稼いでて羨ましい~」
「○○さんちの子、落ち着きないよね。なにか障害があるのかしら。」
「○○さんち、奥さんの不倫で別れたらしいよ。いやね~」
そんな噂話ばっっっっかり。
田舎だからというのは違うのかもしれない。
幼稚園のママ友コミュニティ、会社、サークル・・・。
大なり小なり、人が集まる場所ならどこにでもそういう習慣はあるのかもしれない。
でも、首都圏で暮らしている今は、
それに触れる機会が極端に減った。
その分、たまに帰った地元でそういう話を聞くと、
心底嫌になる。
だから、言えない。言いたくない。
「ぽこって双極性障害で助産師やめたんだって。○○~」
○○に入る言葉を浴びたくない。
想像したくない。
ただの被害妄想だって思いますか?
先日、夫の友だちが結婚式を挙げた。
夫の地元もそこそこ田舎で、
首都圏から車で4〜5時間かかる距離だ。
せっかくの機会だから同行して、
私は久々に義両親と食事することにした。
「結婚式は同窓会みたいなものだから ゆっくりしてきて」と伝えていたけれど、
それでも私が心配な夫は 二次会を断ろうとしてくれた。
やさしさは嬉しかったけど、私はそれを喜べなかった。
「妻が双極性障害で調子を崩しているから」
それを理由にしようとしたから。
まぁ、実際その通りなんだけど。
だけど。
私も面識のある友だちに、事実を安易に知られるのは本意じゃなかった。
友だちが良い人なのは知ってる。
純粋に心配してくれるだけだろうとも思う。
それでも、知られたくなかった。
結局、嫌だという私の気持ちを尊重して 別の理由をつけてくれたけど。
いくら例えを出して伝えても、
私の考えは理解できないようだった。
こうして病気について、ネット上で発信しているからかもしれない。
病気のせいなのか、
育ってきた環境のせいなのか、
単に私の持つ性質のせいなのか。
私が私を、
未だにかわいそうだと思っているのか。
本当の理由はわからないし、言葉にできないけど。
誰に、いつ、どのように伝えるかは、
自分で決めたい。
私を、
”かわいそう”だと思わない人に。
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