霊犬早太郎伝説の光前寺を散策し南アルプスの峰々をながめる 雪山歩けば [3/3] (山で★深読み)
<2/3よりつづく>
標高2600 m超の千畳敷カールが悪天候で凍えそうになったので、ロープウェイとバスで地上(といっても標高850 m)に下りてきました。
「じゃあ、時間があるので、地上ハイキングでマルスウヰスキーか光前寺のどちらかに行きましょう!」
とガイドさん。
駒ヶ根フリークの私はどちらも訪問済ですが、時節柄マルスウヰスキーに行っても《試飲》はできないのでは、と光前寺に。
光前寺は天台宗の別格本山で、
➀ 《ひかりごけ》の自生と
➁ 霊犬《早太郎》の墓で知られています。
《ひかりごけ》は、いわゆる「ひかりごけ事件」を扱った武田泰淳の小説表題で有名ですが、仁王門をくぐって伸びる参道の両側、石垣の上に自生しています。
《ひかりごけ》はわずかな生育環境の変化でも枯れてしまう《準絶滅危惧種》で、原糸体のレンズ状細胞が僅かな光を反射するため、暗闇でエメラルド色に光ります。
従って、この《エメラルド色の光》を見たければ、夜来なければなりません。光をさえぎって見ようとしたが難しい。残念!
さて、霊犬・早太郎の伝説とは(少々長い引用ですが):
つまり、光前寺で飼われていたヒーロー犬《早太郎》が、隣の遠江見附村に出没する怪物を退治するためレンタルされ、見事怪物《猩々》を倒したが深手を負い、必死の思いで故郷・光前寺に戻り、和尚に《帰還報告》して力尽きた、というお話です。
ガイド氏がこの話を紹介したら、浜松から来ている女性が、
「遠江側でも、『北の信濃から早太郎がやって来て化け物を退治してくれた』話は伝えられています」
と《証言》したため、この伝説は一挙に信ぴょう性が増しましたね。
すごいぞ! 早太郎!
ところで、極悪キャラの《猩々》ですが、こんなヤツらしい:
うーむ。ロン毛の《お調子者》っぽい絵ヅラでいけないね、これは。
ただ、若い娘をかどわかしそうな《好きモノ気配》は、顔つきに漂っていますな。
さて、光前寺を後にして、ガイドさんおススメの《南アルプス一望スポット》に向かいます。中央アルプスに比べると少々距離はありますが、雪を被った峰が連なっているのが眺められます。
やはり、贅沢な場所だね、駒ケ根は。
ハイキングを終えた後は、近くの「早太郎温泉こまくさの湯」で温泉につかり、少々早い夕食を取ります。
スノーブーツとスキースーツから解放され、湯に漬かり、……いてててて、やっぱり凍傷になっちまった! と手首から先だけお湯から上げる《降参》姿で、でも、標高2600 mで冷えた体を温めました。
今回の旅最大の後悔は、入浴後、「こまくさの湯」併設のレストランでとったご当地グルメトリオの写真を撮り忘れたことです。
まずは、「駒ケ岳醸造所」でつくられた《南信州ビール》のゴールデンエール生中ジョッキ!
細かい話になりますが、通常、地ビールの生って、一般の生より少し高価だったりしますよね。でも、ここはむしろ(30円ですが)安い!
だったら当然、地産地消でしょう。
メインは伊那谷のB級グルメ「ソースかつ丼」からご飯を抜いた《ソースかつ皿》。ソースが2種類あって、市販品よりこの食堂オリジナルの方を強く勧められましたね。
ビールのおつまみその1としてよく合いますな。
生中おかわり!
そして「ローカル珍味」は《馬モツ煮込み》。これが柔らかくてうまい!
馬の、たぶん小腸なのかな、片側だけヒダヒダが出ているモツがコンニャクや根菜と煮込んである。
馬肉は熊本が有名ですが、南信州(伊那谷、木曽谷)も馬の産地で、馬刺しなど馬肉はよく知られています。でも、馬モツは今回、初めて食べました。これはイケます!
(写真が……)
さて、最後はJR木曽福島駅から、特急しなので帰りました。
駅には、ホームに氷で作られた器の中にろうそくの灯がともされ、木製ベンチの上に並んで、旅人を見送ってくれました。
〈完〉
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