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隣人特製のトマトペースト マルマラ海沿い街道の旅★2019(19)

夏のトルコはナス科の野菜が豊富で、当然値段も安い。
ナス、トマト、ピーマン、パプリカ、シシトウ、唐辛子、……そんな連中です。
異色はジャガイモですね。こいつもナス科らしいんですが、人類が食す部分は土の中で、かなり異質。ナス科で野球チーム作ろうぜ、と集まったら、ジャガイモ君は、ひとりだけ反対方向を向いて根をおろし坐り込む《キャッチャー》をさせられそう。
エースで4番はもちろん、トマトでしょう。

街で《山積み》のトマトは、キロいくらで売られているよ

ブルサに向けてつ朝も、友人Mが獲りたてトマトをつぶして、ソーセージと野菜(ピーマンと玉ねぎ、だったかな)のトマト煮をつくってくれる。

トマトソース煮とトルコ・ティーのコンビ

友に感謝しつつ、朝食ができるまで、私はしばしカキモノをさせていただくことにします。

お気に入りの場所で;こんな日がまた来るのだろうか?

朝食はいつものようにバルコニーで。トマトとキュウリのサラダ、ゆで卵に先ほどのトマト煮、バケット、トルコティー。

朝食をとりながら、友人は両親の話をする:

父親は、1960年の軍事クーデターの後、どういう罪状かもわからない状況で投獄されたという。その時、政権幹部の妻が妊娠しており、産婦人科医だった彼の母親の診察を希望した。
しかし、彼女はまず、
「私の夫はどこにいるの?」
と質問した。
すぐに父親は釈放され、投獄の記録も残っていないという。

友人は、父が理由もわからず逮捕されたことの不条理を言いたかったようだが、私には、《個人的な事情で釈放された》ことの方が重大に思える。
あるいは、どちらも同根か?

大声で話しながら食べていると、隣人(「田舎暮らし マルマラ海沿い街道の旅★2019(11)↓で紹介したおじいさん」)がヤアヤア、というノリで《越境》してきた。

隣人は私に、「アヲハタのジャム」のようなガラス瓶を3個持ってきて、土産に持っていけと言う。うち、ふたつは赤く、ひとつは赤黒い。
友人が通訳する:
隣人の庭ではこの時期、大量のトマトが生産される。すぐに食べる分を除いて、保存用に《トマト・ペースト》を作る。
トマトを煮て、熱々の状態で瓶詰めするので防腐効果がある、日本で料理に使うといいよ、とのこと。
赤黒い瓶は、唐辛子をうんと加えてあるから、スパイスとして使いなさい。トルコ人はみんなこうして、夏の間に保存用のトマトペーストを作るんだよ、とにこやかに話してくれる。
最後に握手した。
「いいかい、また、ここに来るんだよ」
この時は、すぐにまた来れる、と思っていた。

トマト・ペーストとスパイスの瓶をありがたくいただき、私たちは間もなく、教え子の結婚式が行われるブルサの町に旅立つ。


《隣人》にいただいたトマト・ペーストは、日本に帰国した後、《ラム肉のトマトソース煮》を作るのに使わせていただいた。

人参とシメジをたっぷり入れたところがトルコ流との違いかな(@Home in JAPAN)
おいしくいただきました!(@Home in JAPAN)

さて、いよいよ、結婚式の街に乗り込むぜ!

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