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ヒミツの書庫《小説・詩・マンガ・アニメ》

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からくり部屋の「隠し本棚」にそっと入れたい、個人的テイストのnoter創作。
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#掌編小説

テレパシーの作法

「お主、悩みがあるそうだな」 「あなたは誰? なぜ姿が見えないのですか?」 「私はお主の脳…

与井杏汰
10か月前
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ピアニスト (掌編小説)

 ぼんやりツイッターの画面をスクロールダウンしているときだった。その記事に遭遇したのは。…

コピーする鏡

 その鏡が人を映すだけではなく、中の人が外に出てこられる、すなわち人をコピーできる、とい…

与井杏汰
2年前
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鴇色の便り【掌編小説】

ある冬の日。 郵便受けに一通の手紙が入っておりました。 淡い鴇色の上品な和紙を用いた封筒で…

ume15
2年前
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雪女(ショートストーリー)

  わしの見た雪女は、話に聞いていたのとは違っておった。 あれはわしが若い頃、反物の行商…

【掌編小説】豪腕

国重智子は今年で35歳になる会社員である。いくつかのあまり思い出したくもない恋愛を繰り返し…

青乃家
3年前
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掌編「冬、時々」

 できるだけ避けて通りたかった。ひたすら眩しいイルミネーションとか、寄り添ってきらきらした笑顔とか、ケンタッキーの予約とか、うきうきした街の音とか、どっち向いても白いボンボン付けた赤い帽子とか、ほんとに全部、勘弁してほしかった。鐘の音なんか、冗談じゃない。 「つら」  思わず呟いて顔を顰めた。一年も引き摺ったままの自分が悔しかった。 「イブの夜なのにごめん、急な仕事が入ったんだ」「明日には会えると思うから」――「仕事なら仕方ないよ、頑張ってね。明日楽しみにしてる」  こん