マガジンのカバー画像

ヒミツの書庫《小説・詩・マンガ・アニメ》

64
からくり部屋の「隠し本棚」にそっと入れたい、個人的テイストのnoter創作。
運営しているクリエイター

#創作

ブルーベリー

「シフォンにブルーベリーがたくさんついてる」  下の娘がいうのを、野崎は気にも留めずにい…

FouFou
2か月前
52

応答セヨ #6/6

6  鍵を開けたのはスミスだった。  部屋のなかは真っ暗だった。真夏のことで、室内はサウナ…

FouFou
1年前
30

連載小説 hGH:3

 翌日、ホーム球場にきていた井本をGM室に呼んだ。GM室がある球団事務所とホーム球場は目…

Q四企画
1年前
335

新年の挨拶

 例年仕事納めのあとは川に入るのが日課となるのはご承知のとおりで。胸まであるゴムの胴長を…

FouFou
1年前
49

声の蝶

🦋一🦋  黒板に書かれた「形声文字」という四文字を見て、我が意を得たりと胸は高鳴ったもの…

FouFou
1年前
34

短編「ことに朝は忙しい」

 ソウのお母さんはふくよかなお腹とお餅のように柔らかい頬が自慢で、子どもは全部で十一人い…

いち
1年前
101

連載小説:トミー・ジョン#4

 二日後、私は親会社の本社ビルにいた。月に一度の定例報告だった。毎月第二月曜日にオーナーと会って、直接報告を入れる。親会社の会長が球団のオーナーだった。  会長室に通されると、まずルーティンの報告を済ませた。売りあげ、収益、広告収入、支出、観客動員、試合中継の視聴状況、チームの状態、選手個々の状態、現場首脳陣の状態、他球団の動向など。今回はどの事項も通常の報告の範囲内で、とくに焦点をあてて話す内容のものはなかった。  報告が終わるとしばらく雑談した。ころ合いを見て、私のほうか

『古いグローブ』

夜勤明け。 アパートの脇に軽自動車を停める。 決まった駐車場ではないが、誰の邪魔にもならな…

マー君
1年前
37

ラッキーアイテム(ショート)

 占い師さんにこんな話をするの変だとは思うんですけど、ちょっと聞きたいことがあって。これ…

師走
1年前
16

『流された神様』

いつからその男が住み始めたのかは誰もわからなかった。 気がつけば、その橋の下に住み着いて…

マー君
1年前
44

四月の底ゆくフラヌール

 物心ついたころから冬好きなのは確かなのに、持病の腰痛のせいで年々冷えと寒さが億劫になっ…

螺鈿人形
2年前
77

ムジナ坂

 朝のジョギングコースの中途に、「ムジナ坂」と呼ばれる坂がある。 「ハケ」と呼ばれる崖線…

FouFou
2年前
23

drive my car #6完

 愛車がある朝突然不調になる。  いくらキーを回してもエンジンがかからない。前回の修理か…

FouFou
2年前
19

鴇色の便り【掌編小説】

ある冬の日。 郵便受けに一通の手紙が入っておりました。 淡い鴇色の上品な和紙を用いた封筒です。 温もりを感じさせる色合いと手触り、少し右上がりの美しい文字。差出人を見なくとも、誰からの便りかすぐにわかりました。 カルコさんです。 頻繁にお会いするわけではありませんが、何十年来の友人です。 こうして、なにかの折には手紙をくださったりもします。 鴇色の封筒の中身は、写真展の招待状でした。モノクロ写真の撮影が趣味のカルコさんは、いつか個展を開きたいとおっしゃっていました。アート