鴇色の便り【掌編小説】
ある冬の日。
郵便受けに一通の手紙が入っておりました。
淡い鴇色の上品な和紙を用いた封筒です。
温もりを感じさせる色合いと手触り、少し右上がりの美しい文字。差出人を見なくとも、誰からの便りかすぐにわかりました。
カルコさんです。
頻繁にお会いするわけではありませんが、何十年来の友人です。
こうして、なにかの折には手紙をくださったりもします。
鴇色の封筒の中身は、写真展の招待状でした。モノクロ写真の撮影が趣味のカルコさんは、いつか個展を開きたいとおっしゃっていました。アート