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2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(1)

「言いづらいんですが、自主退職ということで。」

これは、2020年9月、寝たきり老人だった私の代わりに出席した怒り心頭の両親が、私の勤める会社の責任者から言い渡された一言である。

先に言っておくと、この場をお借りして告発してやろうとか、そういう野暮なことは一切考えていない。

ただ、こういう新卒もいるし、今も戦う2年目もいるという事実だけ、この世界のどこかにひっそりと残しておきたかった。本当にそれだけ。
そしてもしここに紡ぐ言葉が、今頑張りすぎている誰かに少しでも寄り添えたら、本当に嬉しい。

まず簡単に自己紹介をすると、私は都内のまあまあそこそこ名の通った大学をギリギリで卒業し、日本人ならほぼ全員知っているような業界最大手の企業にスパッと入社した女(24)だ。

業務内容が大学時代4年間やっていたバイトと直結していたから不安は少なく、運良く地元から程近い支店の第一希望の部署にも配属されたため、展望は明るかった。(この部署配属が運の尽きとはいざ知らず。)

同期と比べて目標もしっかり描けていた。取りたい資格の勉強も両立できていた。初めての一人暮らしも楽しみだった。慣れない人とのコミュニケーションも割と得意だったし、だから正直自信はかなりあった。
どれくらいあったかというと、初の顔合わせである全体朝礼で、皆がバリバリ緊張して当たり障りのないテンプレートを口にする中、一人クソでかい声で「死なない程度で頑張ります~」とかほざけたくらいだ。

実際一人、死ぬ一歩手前まで来てしまったが。

話を戻そう。私が入社した2020年は皆様ご存知の通りコロナウイルスが蔓延し始めたばかりで、世の中は今以上に混乱を極めていて、通例の新人研修どころかまず入社式すらなかった。その上4月1日に顔合わせした翌日から1週間の自宅待機。

自宅待機期間は「まあ就業規則でも読んどけ」的な感じだったが賃金は満額出たので、今考えればそこだけはありがたかった。

待機期間明け、お辞儀の仕方や社会人としての基本的なマナー講座など、本当に簡単なオリエンテーションだけやって、即各部署に配属された。

冒頭に自信満々だったと書いたが、流石に初めて自部署のスライドドアを開ける瞬間は滅茶苦茶緊張した。

そして開けた瞬間に、「あ、終わったかも」と野生の勘で察知した。

弊社はどの支店も少数の正社員と多数のパート・アルバイトで成り立っている。
また正社員は別支店・部署への異動が目まぐるしく発生するため、本来上司に当たる社員より、ベテランパートの方が部署内カースト上位という謎構造。
それは短期間のオリエンテーションでも先輩社員に口酸っぱく忠告されていたほどだった。「パートのおばちゃんたちの機嫌を損ねたら終わる」と。

語弊が生じないよう先に申し上げておくと、私は決して社員の方が上、とは思っていない。これは本当に本心だ。この二十余年の人生、数えきれないほどの嘘を吐いてきたがこれだけは信じてほしい。
自分の時間と精神を削ってでも守りたかったくらい大切に思っていた。
あの人たちが毎日仕事をしてくれるからこそ、社員は自分の仕事を遂行できて、全体が円滑に回るのだから。

そんな志高い新入社員は、4月下旬にして早々に変え難い現実を知った。

そして今、私は2年次にして2度目の休職をし、日々消えてしまいたい衝動と必死に闘っている。

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