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適応障害で放浪、休職2回。4月から専門学校へ。趣味はシーグラス探し。

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  • 箸やすめ

    なんでもない心の機微をちょこちょこ書き集めたもの。

  • 2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。

    悲しいかなどちゃくそブラックで二度休職した実体験を、ゆるゆるテイストでお届けします。

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2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(1)

「言いづらいんですが、自主退職ということで。」これは、2020年9月、寝たきり老人だった私の代わりに出席した怒り心頭の両親が、私の勤める会社の責任者から言い渡された一言である。 先に言っておくと、この場をお借りして告発してやろうとか、そういう野暮なことは一切考えていない。 ただ、こういう新卒もいるし、今も戦う2年目もいるという事実だけ、この世界のどこかにひっそりと残しておきたかった。本当にそれだけ。 そしてもしここに紡ぐ言葉が、今頑張りすぎている誰かに少しでも寄り添えたら

    • 幸せな夢ばかり見せないで。

      うれしい。ありがとう。 呟いて、自分の声で目を覚ます。 そして絶望する。現実は何も変わってはいなくて。 結局、夢は夢で、泡のように儚く溶けていった跡には何も残らない。 ただ、何一つ違わないわたしが寝そべっているだけだ。 悪夢から解放されたと思えば、今度は現実との乖離に苦しんでいる。 ひとの優しさに甘えて自分の足で立ってすらいない現状を、やけにカラフルな錠剤と一緒に胃の中に流し込んで。 時間がわたしを押し流して綺麗にしてくれることだけを只管祈る。 半年以上も経つのにそんなこ

      • 必要とされたい。変わりたい。

        先日、何気なく開いたスマホの画面に、旧友から一通のLINE。 「転職に興味ない?人探しているんだって!」 籍がある日まで休養して再来年専門学校に通う予定だったわたしは、一瞬送信ボタンに置く指が宙ぶらりんになってしまった。 理由は、唐突なことで頭の整理が追い付かなかったせいだけじゃない。続けて送られてきた文面には、「今年の4月入社」とあったからだ。 症状は随分改善されて、通院も間隔が空くようになってきた。でも完治できていない。薬だって変わらず何錠も飲み続けている。 約1か

        • 生きて、生きて、生きる。

          生きろ。寿命で勝て。イヤホンから聞こえる声がそう叫んでいる。 ああ確かにその通りだな、などと思いながら夜道を一人歩く。 突発的な衝動は薄れたものの、時間を持て余していると余計なことを考えてしまう日々。 「来る期日」までは療養メインとはいえ、これでいいのかと自問し続けてしまうから、自分を許す術の一つとして勉強を始めてみた。 趣味の漢検、今後必要になる色彩検定、社労士。健康保険法の傷病手当金の項目などあまりにタイムリーというか、現在の境遇にピッタリすぎて笑ってしまいたくなる。

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        2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(1)

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        • 2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。
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          今日も今日とて逃避行

          死に迫った動物が無我夢中で生殖行動を取るように、わたしはキーボードを叩く。 誰に宛てるでもない駄文を、ひたすら空白に打ち込んでいく。 二束三文にもならない。評価もされない。そんなことは分かりきっている。 ただ凌ぎになればいい。このどうしようもない感情が、今続けている行為によって消化されて、明日、至って普通の朝を迎えられれば、それで。 休職4ヶ月目。どこにも進めない身体と心。再来年の目標がなんとなく定まったとはいえ、ただ「来る期日」までだらだらと時間を消費しているこの状況に嫌

          今日も今日とて逃避行

          こんなクリスマスもたまにはあっていい

          ベッドにはワクチンの副反応でだるんだるんになった彼。 炬燵には抜歯したばかりの親知らずの跡地が疼いて、壊滅的な滑舌のわたし。 恋人たちが幸せオーラフルスロットルで寄り添い合うキラキラした夜とはあまりにかけ離れた光景が、日本のとあるアパートの一室にはある。 まあとはいえわたしはいいのだ。これは仕方ない。虫歯にもなっていないものを、完全にノリで抜いてしまった代償なのだから。長く患っていた歯だったし、これを厄払いとして年始を明るく迎えようと思い、後先考えずに踏み切ってしまった。

          こんなクリスマスもたまにはあっていい

          せめて、わたしに戻るチャンスに

          ずっと胸の中で燻っていたことがある。 それは、絵の道に進まなかったこと。 何がなんでも大学進学が当たり前、プラスでき得る限り名の通っているところに行かせようとする親の顔色。世間体。自分の実力。いろいろと自分に言い聞かせてきたけれど、どうしても諦めがつかない。 両親がくれた大卒の肩書きには感謝している。勿論その費用を出してくれたことにも。あの4年間がまったくの無駄だったとは思っていない。 でもわたしは、絵にせよ文章にせよ、やっぱり書いて発信する仕事がしたい。 …とはいえ

          せめて、わたしに戻るチャンスに

          どうか、見つかりますように

          ぼやける視界。炬燵に下半身を突っ込んだまま左隣のスマホを付けると、午後12時14分。 机の上に置かれている食事を摂って、ゆるゆると着替えてなんかいると、すぐに散歩の時間になっている。 人気のないアンダーパスを歩きながら、思う。 これでいいのか。こんなんでいいのか。 ずっと、誰でもない誰かに問い続けている。 「生きていてさえいれば」、なんてみんな口にするけれど、確かに息はしているけれど、これはわたしが描くわたしではない。 心の怪我は目に見えないし、質の悪いことに自分自身で

          どうか、見つかりますように

          初冬、晴れ、今日こそは

          二日間のどんよりとした曇り空に、止まない雨。スマホの天気予報にお日様マークがついている日を、ベッドの中で待ちに待って、今日。 目を覚ましたのはお昼前ギリギリだったけれど、明らかに昨日までとは心と身体の重さが違う。 今日は、今日こそは、外に出られる、かもしれない。 お気に入りのボア生地のショルダーバッグに、財布と鍵とイヤホンとお茶を詰め込んで、午後3時7分出発。 目的地は…考えていなかったけれど、近所のドラッグストアとコンビニでいいかな…。最近行き先は川ばかりだったし。いろ

          初冬、晴れ、今日こそは

          「心の天気」という言葉

          「元気?」「大丈夫?」がしんどい時がある。 しょうもない動画で笑えるようになった。ベッドから出ることができた。 でも完全復活した訳じゃない。これを書いている今だって、出所不明の焦燥感と不安が背中に張り付いている。 対策を立てようにも原因が判然としないから、ひとり、じっと耐え忍ぶしかない。 変わらないのは、もう自分を責めたくないという思いだけ。 認めてあげたい。誰に否定されたって、これはこれで上出来じゃないかと褒めてあげたい。 無理してまで愛想よくしていたくない。空気清浄

          「心の天気」という言葉

          2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(16)

          二日前に課長とのズタボロ面談(※15話参照)を終え、まともに眠れないまま時は遂に9月8日を迎えていた。 朝9時出勤。18時上がりかあ、残業ないといいなあ。やだなあ、主任と一緒じゃん。 ずるずると身体を引き摺り、売場で黙々と作業している主任に挨拶をした時だった。能面主任がさらに厳めしい顔つきになって、じっとこちらを見てくる。なんだなんだ何かミスしたか私、と焦っていると一言。 「…?今日12時出勤だろ?」 ……あっ、あー!終わったー!!! 最初はハテナが浮かんでいた思考が、

          2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(16)

          ただ「普通に」生きたいだけ

          ここ一週間ちょっと、あの独特な脱力感も虚無感も薄らぎ、比較的…というか自分的には十分元気に暮らせている。 薬のおかげなのか、治ってきたのか。それは私には判断できないけれど、こんなに急に軽減することなんてあるのだろうか。 ご飯がおいしいと感じる。ケーキが食べたい、比沙家の焼き栗が食べたい。時々サボるけれど一応お風呂にも入れる。夜気が向けばちょっと散歩にも出掛けられる。 自分でも、数週間前、川に飛び込もうとしていた人間と同じとは思えない。 上記のことができ始めて、しょーもな

          ただ「普通に」生きたいだけ

          「前を向け」なんてたやすく言うな

          その本を知ったのは、確か9月、近所の歯科医院のテレビ画面で、組まれていた特集を目にした時だ。 適応障害と診断され、休職したての午前11時半。手も足も抜けそうなその憂鬱感たるや形容できないほどだが、いかなる場合においても歯は大事。24年連続虫歯ゼロ賞の偉業を更新し続けている私にとって、3ヶ月毎の定期検診は何があろうと欠かせない。 …とはいえ、怠いもんは怠い。デキる女気取りで意気揚々と午前の早い時間に予約を入れた過去の自分を心底恨みながら、目の前で流れる映像をぼけっと眺める。

          「前を向け」なんてたやすく言うな

          夜中だから、誰か、掬い上げてくれ

          深夜2時11分、何かに急き立てられるように私は必死にこの文章を書いている。 何時ぞやの、会社からの十数万円の請求書を目にした訳でもない。母親に「(二重)顎(やばいよ)」と直接コンプレックスを抉られた訳でもない。 だから何もない、いろんな意味で本当に何もなかった一週間だった。 …とかなんとか言いつつも、消化しきれなかったから、こうして真っ暗な部屋でキーボードを叩いているのだけれど。 今週は実家を離れ、大半を好きな人の家で過ごしていた。おかげで精神の波は比較的穏やかで、本来に

          夜中だから、誰か、掬い上げてくれ

          2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(15)

          やっと!!遂に!!!あの課長との面談の話が書ける!!!! 久々に高揚しております。 9話で意味深長な予告をしていた、私の波乱万丈人生でも1,2を競う衝撃エピソードだからです。 それは同期のアドバイスと「相談すべきだって!」との激励に背中を押される形で送った、一通の社内メールから始まる。 「お話ししたいことがあります。できれば関係者のいない場所でお願いします。」 そりゃ上司同席とかだったら困るどころの話ではない。 そのメールは課長からさらに上にエスカレーションされたらし

          2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(15)

          2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(14)

          年末年始に次ぐ、ビッグイベントであるお盆を終えた頃、ほぼ決定打となるような症状が表面化していた。 目覚ましより2~3時間早く起き、目が覚めたその瞬間から全速力で走ったんですか、とでも言いたくなるような動悸。 重い身体を引き摺り、シャツを羽織って、職場用のスニーカーを履いてふと手が止まる。 開けられないのだ。玄関のドアが。 時間に余裕はない。しかも今日は「15分前出勤10分前集合」(※就規にない)と口煩い主任とペアだ。特段体調不良もないし、一刻も早く出なきゃいけない。

          2連続で上司ガチャ爆死した新卒の話。(14)