見出し画像

「普段の日常から離れたくて」

ゴージャスな雰囲気を味わうためにやってきた、高級レストラン。

建物も立派で、食器や装飾品の数々も高級なものばかり。

裕美子と綾香の二人は、普段の生活から解放されたくて、

1年先まで予約待ちだった、隠れ家的な高級レストランにやってきた。

おすすめメニューしかない、オリジナルコース料理。

お品書きも存在しないので、何が出てくるのかもわからない。

二人のドキドキ感は、レベルゲージM A Xまで高まっていた。

「何が出てくるのかなぁ」と、興奮を抑えきれない裕美子。

「楽しみだね」と、意外と冷静な綾香。

二人の会話は、予想外に弾むこともなく、

止まっている時間が、ただいたずらに過ぎていった。

「お待たせいたしました」と、ウエーターが一品目を運んできてくれた。

「これは、地中海から採れた最高品種のキャビアでございます」

「ゆっくりと、ご堪能ください」

キャビアが、何か大きな手の平のような器に乗せられている。

二人はびっくりしながらも、美味しそうって思わず頷きながら、

まじまじと、大きな器を眺めていた。

色といい形といい、見れば見るほど変わった器だった。

ウエーターが去っていき、いざ食べようとしたら、

その手のような器が動き出した。

「えっ!」「何?なんで?!」

ウエーターを呼ぼうとして、二人とも叫び始めた。

「すみません、すみません」何度も繰り返し、ウエーターを呼んでみた。

一向に来る気配も感じないで、5分10分と経過していった。

呼び続けている間もずっと器は、じわりじわりと前へ進むように

動いていた。

赤い血のような液体を垂らしながら、テーブルに上を蠢いていた。


手の平に乗せられたキャビアは、本当にあった。

二人は声を揃えて、

「1日、3組限定」「来た甲斐があった」と言って、

とても美味しそうにキャビアを綺麗に食べ尽くした。

手の平の器に付いたキャビアを、舐めるように口を付けながら、

最後の最後まで美味しそうに味わっていた。


さてと、二品目は何が出てくるのだろうか。

二人は舌舐めずりをしながら、ひたすら待っていた。


二人とも、魔界からやってきたようには思えないぐらい、

目鼻立ちがすっきりとしていて、とても綺麗な顔立ちだった。

髪の毛は、二人とも薔薇のように真っ赤で、

肌の色は緑、目の色は銀色に光り輝いている、それ以外を除いては、

ごく普通の女性二人組だった。


「ごちそうさま」


「どれもとても美味しかった」


二人は、いつもの日常の世界へと帰っていった。


よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは、クリエイター活動費として使わせていただきます。自身、未熟な部分が多々ありどこまで出来るのかわかりませんが日々進化し続けることはやめないつもりです。